アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

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南相木グレートトラバース(エクステンディッド)

徒然に地図を眺めていて、何気に訪れてみた城山(海ノ口城址)。
そこから長野県のなぁ~~~んにもない村、南相木村での山歩きが始まった。
南相木村の村界はほとんどが登山道もないような山稜だ。
城山を歩いた後、長野県南牧村との村界尾根をすべて歩き、(酔狂で)南相木グレートトラバースと名付けた。鹿や狸の踏み跡をたどっての素敵な山歩きとなった。
今回はその起点となった馬越峠から反対側(東)に向かって、川上村との村界尾根を歩いてみた。グレートトラバースルートがアップグレード(Extended)されたわけで、城山からはじまって、南牧村との村界尾根にさらに川上村との村界尾根が加わったものを新しい南相木グレートトラバースとしてしまおう。
この先は北の村界尾根を踏破し、それらすべてを包含して「南相木村サーキット」ないしは「ラウンド南相木」とでも名付けてしまおうと思っている(笑)

さて今回も車2台で行って、1台は下山予定地にデポ、もう一台で登山口に向かう作戦。

相棒は長友さん。車も持っているし、山に関しても全幅の信頼がおけるパートナー。ただ彼は4月に右手を怪我してしまい、今はリハビリ中。右手でのクライミングは無理だし、転んで手をつくのもNG。
それでもプロテクターで手を固めての参戦。頼もしいというか無謀というか。

彼の状態を考慮して、馬越峠から登山道のある御陵(おみはか)山往復というぬるいプランを提案したのだが、逆にさんざん長駆登山をそそのかされ、南相木村/川上村の村界尾根全踏破をすることとなり、結局18キロ近くにおよぶ8時間半のロングランとなった。

下山予定地の南相木ダムの駐車場に車を1台デポ。
日本一標高の高いダムと言われるここを訪れるのはすでに4回目。
さて今日中にここに帰って来られるのか?

南相木村村界尾根の南側山稜(南相木グレートトラバース)を横切る唯一のまともな車道、小沢しなの入トンネルを越えて川上村側に抜ける。
登山口となる馬越峠は南相木村、川上村間の峠道で、当然南相木村側からもあがることができるのだが、当分の間は南相木側が工事中で通行止め。なので遠回りしてあがるのだ。

馬越峠から東に向かって歩き出す。

馬越峠から西へ登山道を辿れば先日も通った天狗山。反対側は擁壁となっているが、左の隅に踏み跡があり、登山道に入れる。御陵山までは比較的よく整備された道。

御陵山って、この山域に唯一残る伝説、悲運の皇子重仁親王の陵?とか思ってたけど、違うことが書いてありますな。まあ強引に結び付けて仮説をたててみたりするのも楽しいでしょうが、それはまた今度。

壊れかけた祠に手を合わせてさらに先へ。
振り返れば天狗山
登山道はなくなるが尾根は歩きやすい。踏み跡もそこここに残っている。

御陵山から東に1.5キロ程度縦走した先、1753m峰あたりが地形的には今回の核心部。何せ長友さんは、転んで手をつくことが絶対許されないのだ。

岩稜ぽくなってくる。慎重にルートファインディングしていく。
川上村側にまたまたソーラ出現。

そういえば馬越峠の手前も伐採中とあって、大量の樹林を切り倒していた。どうやら川上村は南斜面のすべてをソーラにするつもり?
薄っぺらい偽善と拝金の匂いがプンプンして不快感マックス。

しばらく岩稜がつづく

尾根がなだらかになってきたあたりで、川上村から南相木村に抜ける林道をまたぐ。

尾根は延々とつづく。少し飽きも入ってくる。

ところでほとんどの行程を長友さんに先導してもらった。
体力差を補うのにこれはかなり有効だった。
道を読んで、GPSで確認して、ペース配分して・・・という作業がかなり体力を使っているんだろうと思う。
ただひたすら長友さんの後ろ姿を追って歩くのが楽で、癖になりそうだ。
これも長友さんに全幅の信頼がおけるがゆえ。道もたまには間違うが、それは自分も同じだし。間違いも含めて信用してついていく。そんな気持ちになれるのがなぜか嬉しい。

今回は8時間半ほどの行程だったが、道中のかなりの部分を二人で喋り散らした。これも毎度のパターン。

長友さんによれば私の登山は「最高に享楽的」なんだそうな。
最大限の誉め言葉として受け取る。

クライミングばかりやってた10台最後から20台のころ。
仲間がばたばたと亡くなっていくのを見ていて、自分の寿命も長くて30くらいだろうと思っていた。だったら死ぬまでの残り少ないクライミング行を最大限に楽しいものにしないと・・・と思った。
無駄な山行をなるべくしないよう、少しでも多くの感情を味わい、多くのものを見て、怖い想いもして、多様な山の楽しみに、クライミングという最高にクリエイティブな表現行為を通して触れなければならないという強迫観念に突き動かされていたように思う。

30過ぎても、40過ぎても、50過ぎてもなぜかまだ生きていて。
だんだんそんな切羽詰まった気持ちも薄れてきて。
でも還暦過ぎて、人生の終わりまでの時間を数えはじめた今、なぜかあの頃に近い感覚が戻ってきているみたい。
死ぬまでにできるクライミングはもう限られている。
だから無駄な暇つぶしみたいな山はやりたくない。
すごい山とか難しい山をやりたいわけではなく、自分として納得のいく山との触れ合い方、素敵なパートナーたちとの関係性、岩や山肌の感触、まだまだあるだろう未知の感情・・・・そういう無数で多様なものをすべて自分のなかに封じ込めて死にたいな~
なんて話を道中ず~っと話していた。

もちろん長友さんの登山論、美意識などについても興味深く拝聴した。
今回は前のように高いところから低いところに縦走するという楽な道をとらず、登りの多い道中になったのも長友さんのそんな美意識によるものが多い。そのへんこだわらない私は従うのみ。

道半ばを過ぎた1907m峰あたりでお昼。今回は飢えないようにおにぎりいっぱい持ってきた。

私の持ってきたシャトレーゼのよもぎ饅頭、長友さんのカロリーたっぷりビスケット、ウィダーインゼリーなど、おにぎり以外の食の楽しみをとっておいて、「あのピークについたらこれを食べよう!」というのを大きな楽しみに道を進める。

今回の最高到達地点。高天原山。国土地理院の地図には山名記載がなかったが、Geographicaには出ていた。ここで南相木村/川上村の村界尾根はおしまい。

ここから北に、今度は群馬県上野村との村界尾根に入る。すでに南相木ダムの東側に回り込んでいるので、このままダムに下りれば今回は終了。

南相木村の山は、北斜面がなぜかみなシダに覆われている。尾根をたどってダムにおりようと思ったが、シダに覆われた足元が見えなくて、倒木や苔に覆われた岩が滑るので危険。

尾根をやめて沢下りにする。三川は南相木側、奥三川湖(南相木ダムのあるところ)の最上流だ。

南相木ダムの遊歩道から三川に伸びる林道に着く。
南相木ダムの遊歩道をぐるっと半周して、デポ車を停めた駐車場へ。
南相木ダムに到着

【記録】

トラックレコード(西から東へ)

左端の馬越峠から歩き出し。東へ御陵山。その先は登山道はなし。
踏み跡をたどってさらに東へ。オソネ、東沢の頭と名付けられたピークを越えてさらに東へ。
再東端は高天の原山。北東には御巣鷹山。このまま東へ行けば三国山。

高天の原山から北上し、途中から適当に西の尾根に入る。三川の沢を下って南相木ダムに到着。

歩いた日:2022年6月26日

馬越峠 7時30分発
1753m峰 9時30分
オソネ  11時11分
1907m峰 12時10分
1935m峰 13時15分
高天の原山 13時45分
三川林道  15時15分
南相木ダム駐車場 16時着
全行程約17.5km 8時間半の歩きだった。

ビバ!南相木村–臨幸峠~村界尾根の無名峰

2022年5月2日

スマホの無料GPSアプリも普及し、地図に道のない山はかなり身近なものとなってきた。
1)カシミール3Dで地図を眺める。
2)気になったピークの地域名や標高で検索
3)まあ大概、地図に記載のない山の名前とGPSトラックデータ入りのヤマレコデータなんぞが見つかる。
4)トラックデータをiPhoneに転送して、そのあたりに出かける。

そんな山の楽しみ方も普通にできるようになってきた。

さて最近ちょっと気になってる南相木村の山々。

マイナーな山ヲタクの掃きだめ、ヤマレコあたりを見てもこの地域の情報は希少だ。
でも地形データを眺める限り、ここは絶対楽しいはず。
どうも宝の山な匂いがする。

臨幸峠という峠が気になる。
南相木と佐久をつなぐ小沢志なの入トンネルが開通する以前は山道があったが、今では廃道に近い状態らしい。
この臨幸峠から南方向は、きれいな尾根が男山と天狗山間の稜線にまで伸びている。北方向は、先日登った海ノ口城址のある城山に至る。この尾根は佐久の南牧村と南相木村の村界尾根にあたる。
山歩きの記録がないか検索してみたがなにも見つからない。
これはかなり疑わしい。パトロールに行かざるをえまい。

先日登った立岩の横から伸びる林道の行き止まりに車を停めて出発。

臨幸峠までは沢沿いの急斜面。古い踏み跡はあるらしいが、シダ類に覆われて判別つかず。妻は気持ち悪い~を連発。
臨幸峠に出ると展望が開ける。樹林の間に北岳~甲斐駒~八ヶ岳~浅間山などが見える。男山もすぐ近く。
尾根に出てシダ類から解放され、ご機嫌な妻
1544mピーク。期待した山名表示等は一切なし。
先日登った峰雄山かな?
今日はここまで。1591m峰。やはり山名標識などない。
最終到達地点。
往路を戻る。
臨幸峠からの下り。地図上は沢沿いに破線の記載があったが、踏み跡が沢の左岸尾根方面に伸びているのを発見。こちらのほうがシダ類の急斜面を回避できて快適。
樹間を蛇行する快適な尾根道を下山。
下山後は南相木ダムの観光。ずみ岩、天狗山などが眺望できる。

南相木村・立岩~峰雄山

群馬県の西上州エリアには妙義を中心に特異な岩峰が多く、それらを愛好する篤志家たちがいる。
その西、長野県の東信州エリアには八ヶ岳や浅間山などの名峰が連なり、川上村には小川山や男山、天狗山といったクライマー好みの岩山も多い。
南相木村はちょうどそれらの狭間にあって、存在感の薄い感じがする。
つまり・・・・玄人好みの地味な山が多くあるだろうと思われる。
先に投稿した「恩賀高岩偵察行」に行く予定だった日、予報に反してアプローチしたとたん雨が降り出したので、天気の持ちそうなこの南相木村に遊びに行くことにした。(恩賀高岩の偵察はその翌日行った。)

さて観光資源も有名な山も乏しい南相木村にあって、数少ない名所の一つとされているのがこの立岩。
立岩湖のほとりにある60mほどの岩峰で、山頂には祠があって、クライミングのルートもあるらしい。
まずはこいつを登ってみようということになった。

立岩湖への道をドライブしていくと林道の対岸に屹立する立岩が見えた。

立岩へは村道のすぐ先の橋を渡って裏側から登るのが一般的らしい。
高差は正面に比べてだいぶ少なく20m程度か。
階段状の簡単なフェースのようで、ハンガーボルトもべた打ちしてある。

これはすぐ登れるとして、まずは岩の正面側まで基部をまわりこんで偵察におりていく。

真下から見上げた正面壁

傾斜強い、節理ない、組成も柔らかそう・・・・つまりやばそうな壁。
どうも登られた形跡もないようですな。
結局、登られているのはてっぺんに行くだけが目的の易しそうなルートと、その近くにとってつけたようなフリールートらしきものだけの様子。
この正面壁は今回のようなついでな気持ちでは登れるわけもなく、まあてっぺんに行ってこようかと、裏側に戻る。

裏側のルートを野口さんリード中
てっぺんの祠から県道を見下ろす

昼から雨という天気予報を見てでかけたので、かなり早起きして出かけたためまだ時間はたっぷり。

カシミール3Dの地図によれば、南相木村で山頂名の記載された山は二つだけ。峰雄山とずみ岩というもの。ずみ岩というピーク名にはかなりそそられるものがあるが、まずは手前の峰雄山に登ってみよう。

以前調べたところ、立岩から峰雄山に縦走している人がいて、岩場の通過に苦労している由。まあそんな記述を見て、岩登れるところあるかもな~という下心もあって、岩場偵察もかねようというわけ。

注:ちなみに御座山、男山、天狗山などが南相木村の山として紹介されることもあるが、地図をよく見ると御座山の山頂は北相木村、男山、天狗山は川上村にあるように見える。国土地理院の定義では「山とは地面の盛り上がった場所」という意味しかないそうなので、特定の山頂=特定の山とは限らないわけで、御座山などの山体が南相木村にあることもたしかなこととすれば、南相木村の山と言ってもいいのかもしれない。

立岩湖から峰尾山まで稜線が続いている。
縦走は長いので、まずは山頂に行こう。

峰雄山南面の村道から林道に入り、山頂に一番近そうな林道終点から歩き出す。

なんとなく踏み跡もあって歩きやすい。
岩もごろごろと出てくる。比較的硬そうな岩。
ここが山頂。

稜線を立岩方面に少し歩いて別のルートを下りようかと思ったが、南斜面はかなり急なので往路を戻ることとする。

奥に見えるのは御座山かな
ところどころ岩場が出てきて回り込みながらの歩きとなる。

日本一標高の高い場所にあるダムらしい。



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