アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

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お散歩シリーズ第10弾 伊豆・長九郎山(955m)

2016年5月(わたべ)
お散歩シリーズ第10弾・伊豆長九郎山(955m)
          山岳巡礼倶楽部ハイキング部・小田原支部

 この時期に咲き乱れるという、この地域の固有種で南限でもあるアマギシャクナゲを求めてお散歩に出かけた。

 今回はとにかく歩かされた。
このシリーズ最長歩行距離と時間で、しかもバスの通る道やコンクリート舗装の林道を延々と歩いたのだ。
万歩計を忘れたのが悔やまれる。今やマイカーの使用は必須で、1日数本のバスでは全く頼りにならない。

 小田原発下りの一番早い電車にのって、下田・松崎間のバスを蓮台寺から乗り、大沢温泉口着8:40、長九郎山頂12:20着。
これまで登り1時間半を目安にしてきたのが、倍以上。
このうちバス道路と林道がゲートで閉められたところまで車がつかえれば2時間は省略できた。
実際ゲートのところに1台軽乗用車が停められていた。

 今回は池代登山口からの往復コースとなってしまったが、大沢温泉から八瀬峠を経てのコースは立ち入り禁止になっていたので仕方がなかったのだ。
久しぶりに日曜日のお散歩で、シャクナゲの時期でもあるのでかなりのハイカーがいるのでは、と思っていたのに全く会わず、コースの真ん中くらいで下りてくる70歳を超えたと思われる男性と遭遇。
今日初めて人と会った、と言われる。
この人がゲートのところに置いてあった車の持ち主だった。「あそこまで林道を車で来るのも命がけだったよ」との話に、少し大袈裟だなと感じたけれど、実際林道はガードレールはほとんどなく、路肩の怪しいところがあり、道が山腹の高いところにつけられていて谷が深い、落ちれば致命的なものになるのは必定。
帰り道に林道から落ちて木に引っかかった車の写真を撮った。

 このコースは、山腹を迂回するような感じで道がつけられていて、急登のところがほとんどなく、何か所か踏み跡が曖昧なところがあったが比較的よく整備されている。
美しい渓流やワサビ田の脇を通るところも多く心地よい。
ただ、小学生の遠足向きと書いている人がいたのには疑問がある。
谷まで100m近い高さのところにある幅数十センチの道は、手すりやガードするものはなく、足を滑らせれば単なるケガでは済まないだろう。
また岩や石を利用して沢を渡るところもあり、さらに水量が増えれば徒渉になるだろう。
行きは難なく通ったが、帰りはなぜかバランスが必要で難渋した。

 頂上では、あのおじいさん以外に全く人に会わなかったのが、修善寺ハイキングクラブの人たちが15人くらいいて賑やかだった。
登頂写真はそのメンバーの方にお願いした。
ヤマツツジはほとんど見なかったが、アマギシャクナゲはぽつりぽつりで、群生という感じはしない。
まだいくらか時期が早いのかもしれない。
私の記憶では、群生というなら佐久・男山のシャクナゲの方が見事だろう。
ただ長九郎のシャクナゲは薄ピンクで清楚な趣だ。
ここの頂上は、シャクナゲなど高い樹木に覆われていて全く眺望がない。
そこで5メートルの鉄製の立派な矢倉があり、山の高さ995mと合わせるとちょうど1000mになる。ここからの眺めは抜群で、うす曇りのため富士山や駿河湾がよく見えなかったのが残念だった。

 帰りは同じ道をひたすら下る。
今回は膝サポーターでがちがちに固めてきたので、何とか膝は持ってくれた。
池代に下りてきたのが15:40で、伊豆鞍馬の閉店時間が過ぎてしまった。
携帯を持ってないので公衆電話を探すがなく、近くのタバコ屋さんで電話を借り、今日は松崎に泊まって明日美味しいそばをいただきに行きますと、連絡ができた。

お散歩シリーズ第9弾・伊豆城山(342m) 山巡ハイキング部・小田原支部

2016年4月22日(わたべ)

かつて訪れた湯河原の城山、そして小田原の町名にもなっている城山はシロヤマと読むが、大仁辺りで忽然と現れる山容怪異の岩山はジョウヤマである。
 ここはその昔(40年くらい前か?)先輩や仲間と通った岩登りのゲレンデがあり、山の標高の割にはスケールが大きくその高度感は素晴らしい。ただ頂上に行ったことはなかったので、今回はその忘れ物を取りに行くことにしたのだ。最も大きく人気のある南壁は、明るくその標高の故もあり暖かいので冬場に行くことが多かったように思う。現在のクライミングは、僕らの人工登攀(ピトンやボルトで作った人工的な支点にアブミをかけ替えて登る)の時代に比べると格段にレベルが上がっている。その昔には考えられないことだが、写真のオーバーハングなどもアブミを使わずフリーで乗り越えていく。
 8時少し過ぎに小田原の自宅を出立し、電車を三つ乗り換え狩野川大橋を渡るのに逆方向に行ったりというロスはあったものの、12時頃には城山のサミットに到達。急峻な岩壁を持つ岩山にもかかわらず、一般のハイキングコースは、さしたる急登もなくお散歩気分で頂上に到達してしまう。クライマーは何パーティーかいたが、ハイキングコースは頂上手前で若い女性一人とすれ違っただけで、今回も登頂写真は撮れないなと思っていたところ、オジサンが一人やって来たのでシャッターを押してもらう。
 帰りは、南壁の取り付き点に行ってクライミングの写真を撮ろうと思い、頂上直下にあった「ロッククライミングルート」の標識のある方向に下ったのだが、これが問題でこのお散歩シリーズ中最も危険を感じることとなった。続きは、30円の情報料を払ってくれた方のみにお知らせいたします。

黒富士

2016年4月10日(赤沼)

山梨の黒富士という山が気になっていた。
まずはその名前ですね。
それからメジャーな登山道からいくらか隔絶された感のある立地。

エリア的に岩場も多いので、もしかしたら面白い登攀対象もあるかも・・・なんて野心もあったりして。

中途半端な時間を見て行ってきました。

さてこの黒富士、国土地理院の地図では道がない。
しめしめ・・・・静かな登山ができるか・・・・とエアリアみたら、ちゃんとコース載ってますね~

ということで、一番楽な道はどこか。
黒富士と太刀岡山の間の越道峠からが案外近いかなということでまずは車でここに向かいます。
マイナーな林道っぽいけど、まあ大丈夫だろうとたかをくくっていたら、だめでした。
コンパクトカーだし、まあしょうがないね。
こっちがだめならあっちから。
反対側からあがっていったらやっぱだめ。
行けるだけ登って、車とめて越道峠までは約10分でした。

峠からよく踏まれた道を登っていきます。
案外歩きやすい。

このへんは昇仙峡も近いので岩場との遭遇を期待してたけど・・・
いまいちしょぼいね~

開けた感じの稜線歩きとなります。
ただ稜線まではかなりの急登。

あっさり山頂。でも疲れた~

足尾・松木沢「メパンナフェース壱号」ルート開拓

2015年11月4日(赤沼・メパンナ)

先週の爆弾ルンゼに引き続き、松木沢の側壁を登ろうとメパンナこと、Sさんと出かけた。
しかし生憎前夜まで雨が降り続き、当日も天気は回復したものの壁は濡れていてとても登れる状態ではない。

一応壁が乾くことに期待をかけて、出発はしたものの目指す側壁は真っ黒に濡れているし、そのまま足を延ばしたウメコバ沢も出会いの滝からしてびっしょり。

クライミングはあきらめつつ少し上流を見ると、小さいながら独立した岩峰のように見える岩場を発見。
ここを登って、相棒メパンナに命名をしてもらった。
そのもずばりの「メパンナフェース」壱号とのこと。

こんな壁です。

詳しくはメパンナのブログにて

霞沢岳・八右衛門沢上流の岩場偵察

2015年9月12日(赤沼、メパンナ)

若いクライマー時代は憧れたものですよ。
あの上高地帝国ホテルに泊まってみたいと。

まあついにそういうことを実現する年齢になったということなんですが、その時にはもうここをベースに登りまくるなんて体力はもうないわけで、歩くのは部屋とバーの往復のみ。自分のかつて作ったルートなんぞを眺めながら来し方に想いをはせる楽しみもまたありか。もくもく(パイプの煙&遠い目)

にゃはははは
な~んて気取ってみたものの、部屋の窓から見えた霞沢岳の岩場(つまり一番安い部屋は穂高側でなくて、霞沢を向いてるわけね)なんぞに魅入っている自分があったと。そういうわけで。

まずは偵察に行ってまいりました。

登れるなら登ってしまおうという下心はあったわけですが、諸事情から日帰り登山となり、上高地発のバス時間にあわせたタイムリミットを設けてその時間まで登って帰って来ようということで出かけました。

相棒はメパンナことSさん。フリーの実力もめきめきあげてきてアルパインもデビューしようとはりきるクライマーです。

メパンナのブログはこちら

帝国ホテルのバス停から少し戻るとすぐに八右衛門沢の出会い。ここから林道を使って入谷。林道終点からはガレガレの沢をあがります。
ちょこちょこと滝がでてきて結構難しめなところもありますが、ルーファイさえ間違えなければとくにロープなしでも登れる範囲。

ガレはかなり急になってきて登りづらいこと。
そろそろ岩壁がいろいろと見えてきます。

まず正面に見える壁ははっきり言ってしょぼいし急だし、それでいて危険な登攀になりそう。はい。対象外。
ちょうど三本槍沢をわけた直後あたりですね。

本谷をもう少し遡行すると右岸はもう岩だらけ。

ああこのへんが登攀ポイントだな~というあたりの写真ですが、全体像をおさえる撮影ポイントなし。
このうえは霞沢岳方面に伸びる急なリッジにつながるようです。
傾斜のゆるいところはザレザレでやばい登攀を強いられそうですが、うまくルートを選んだら真っ白な花崗岩の長大なルートが完成しそうですよ。

ろうそく岩先のリッジなんかもありなんですが、脆いところをだいぶ含んでそう。

気合いれて登るならこれもあり。終了部はボルト連打になるかな~

まあこんな感じで、現地は登れそうな岩場に事欠かず。ただしルーファイ難しいな~
いずれにせよどこ登るって決めて行ってというよりは、ガチャもってあがって、勘とやる気にあかせてつっこむというスタイルが似合うフィールドかもね。

沢の詰めあたりから右岸岩壁群をふりかえる。

ただ岩場偵察して帰るよりは沢をつめたいというメパンナの希望で、稜線に抜け、えんえん徳本峠経由で下山いたしました。

鋸岳~甲斐駒ヶ岳

2015年8月(赤沼、赤沼息子)

恒例の親子登山に行ってきました。
高校では、中学から続けてきたはずの陸上部には入らず、山岳部も高校になく、なぜかテニス部の活動に明け暮れる息子と、やはり突然テニスを始めた親父が久々で山に戻ってきたのだ。

戸台から延々アプローチ歩くのやだな~
というわけで、北沢峠行のバスに乗って、丹渓新道のところで途中下車。

丹渓新道のここから下は廃道とされているが、踏み跡も割としっかりしていて歩きやすい。
戸台川に降り立ったら、少し川沿いに降りていくと角兵衛沢出会いの道標がある。(左岸の道を降りるが川に近いほうの踏み跡を行かないと見過ごすかも)

角兵衛沢は少し水が多いので靴を脱いで渡渉。

角兵衛沢の登りは急なガレ場が続く。

稜線に抜けた。

稜線に抜けたら鋸岳の第一高点は間近。

稜線は結構鎖場が続くが、かなり新しい鎖が設置されていて安心感あり。

有名な鹿の穴をくぐって、ガレを下る。この辺からが嫌なところだが、天候が悪くなってきてルートファインディングに苦労する。

鹿の穴をくぐってガレ場をおりたあたりから振り返る。

第二高点に到達。
この周辺が核心部となるが、余裕がなくて写真なし~

歩いてきた稜線を振り返る。

甲斐駒ケ岳に到着。
あとは北沢峠のバスに向かって走れはしれ~

八ヶ岳・東ギボシ西壁「山巡ルート」開拓

2015年7月25日(赤沼ほか1名)

冬の西岳から権現方面を遠望したときに見た特異な岩峰を登ってみることにした。
この八ヶ岳とは思えぬ顕著な雪稜はギボシの西面の岩稜らしい。
ちょっと調べてみるとこの辺一帯は宗教的な巡礼の対象であったようだ。

なかなか訪れるチャンスがなかったが、ようやく偵察のため間近まで登山道をたどったのはもう夏。
観音平から権現に至る道を行く。
青年小屋から少し登るとまずは西ギボシの西面の岩壁が眼前に立ちはだかる。

西ギボシの岩壁群。下の岩峰は急ながら節理が入っているので、登攀対象にはなるか。上部はかなり脆いと思われる。支点のとれない不安定な登攀になるかも。

西ギボシの稜線を超えるとすぐに東ギボシが見える。

西面に2~3本のリッジが落ちているのがわかる。顕著なスカイラインのリッジが鋸の歯のようにぎざぎざに伸びあがってるのが印象的。

偵察の次の週に登攀具を持って再訪した。
登ったのは結局このスカイラインリッジの左となりの、大きなピナクルで終るリッジの側壁。

登山道から岩壁手前のはいまつの尾根とガレ場を降りていくとあっさり取りつきに至る。

右から2本目の岩稜を20メートルほどで、2本の顕著なリッジをわけるルンゼに入る。ルンゼに下部岩稜が出会ったところはかぶり気味でしかもかなり脆い組成。カムを決めようとしたら50センチ程度の岩がはがれてきて、とっさに身をかわしてルンゼ下部に落としたものの足を若干負傷した。

はがれた岩にきめていたカムは当然落ちてしまったので、周囲の脆い岩場にようやく探したリスにハーケンを3本分散打ちしてから、かぶり気味のルンゼ内にフリーで突っ込む。

1段あがったところの上がさらに垂直となっており、ムーブ的にはフリーで越えられそうだが、いかんせん脆さも最高潮で危険極まりないので、ボルト2本を固め打ちしてじわじわと乗越す。

ここから左のリッジに向かって側壁を登って行く。

傾斜はきついがカムもそこそこ使えて、気持ちのよい登攀20メートルでリッジ上に出る。

ここからリッジを少し登るとピナクルにあたるが、下部はかぶっておりかなり難しいフリークライミングとなりそうなのと、先が見えないのとで、ルンゼのほうにトラバース気味に下降。

このままルンゼの上部を行くとすぐに東ギボシの山頂となった。

「ルート開拓ごっこ」足尾・松木沢側壁 爆弾ルンゼ右壁(仮称)

2014年10月11日(赤沼ほか1名)

アイスであれクライミングであれ、松木沢に通ったことのある人なら誰もその存在に気がついているのではなかろうか。
銅親水公園の駐車場から林道を歩き、奥のゲート(前はここまで車で入れた)から左にジャンダルムを眺めながら15分も進むと左手に見えてくる側壁群のことだ。
がれ場をつめていかなければならないジャンダルムに比較して、この側壁群は松木沢の水流からいきなり岩壁が始まり、上部石塔尾根のほうに向かって急峻でしかも実にいやらしそうな岩層を露出させている。

今簡単に入手できる松木沢の資料を見る限り、ここにルートが拓かれた形跡はない。
脆くてやばすぎるのか?
登ってみると実はかなりちんけな岩場で誰も発表してないだけか?

いろいろと憶測をしつつも気になっていたここにとにかく行ってみることにした。

松木沢右岸の無名沢を越えると側壁群が見えてくる。ここから黒沢あたりまでこんな感じとなる。

松木沢の対岸に見える側壁群はやはり相当切り立って見える。
「な~に岩場なんてたいてい下まで行けば、案外寝てるもんよ~」
とか言いつつアプローチするが、登れるところあるんかいな?という気持ちがかなり強まってくる。
全体が黒光りしていることもあり、比較的白い壁の露出が多いフェースを一応のターゲットとして渡渉して行く。

ターゲットの白いフェースの下はハング気味でしかも黒光りしているので、左よりのフェースを登ることにする。
そのフェースと白いフェースの間にはいかにも岩雪崩の出そうないやな感じのルンゼが切り込んでおり、実はこのルンゼをアプローチするのが一番楽なことに後で気がついたが、このときは落石をなるべく避けたい気持ちからこちらに取り付いたわけだ。

まずは草つき交じりのフェースから取り付く。
小さなフェースを越えるとすぐ右側からのルンゼに合流。
そのままルンゼを登るのが一番優しそうなルートになるが、落石におびえつつがれがれのルンゼを登るのも気持ちが乗らない。
初志貫徹しようと右のフェースを見上げる。

ルンゼに合流すると階段状の滝となる。滝をあがったあたりが右フェースへの取り付きとなる。

右のフェースは傾斜は強いものの摂理がきれいに入っていて、カムも効きそうだ。
ここでなんと残置ハーケン発見。かな~り古い。
先人もここに来ていたかと気持ちを強くして登攀開始!

2P目のフェースは上部で少し傾斜を増してくるもののカムをいれるクラックには事欠かず、安心して登ることができる。体感5級といったところ。
慎重に登りすぎてカムが足りなくなり、フェースの中心に飛び出したところでピッチを切る。

3P目は遠くから顕著に見えていた白いフェースのど真ん中を直上するピッチとなる。実に気持ちよくぐいぐいと高度を上げる。

4P目。これが実質最終ピッチ。白いフェース最上部のまんなかにきれいなクラックが走っているので、どうせならここを登ろうと取り付く。左のフェースをあがれば少し易しいようではあるが・・・

クラックを越えると実質終了点。ここから先は岩稜を歩いて石塔尾根まで行けるが、取り付きにザックをデポしてきているし、体力も自信がないのでここから潅木を支点に懸垂下降する。

登って下りてきたルートを真下から見上げる。
右の岩塔のてっぺんが終了点。このフェースのどまんなかを登るルートとなった。

2014年10月11日登攀。取り付き10:30am終了12:30pm。カムは小さめを中心に2セット程度使用。下降用に長めの捨て縄があったほうがいい。

瑞牆山・十一面岩錦秋カナトコルート

2014年9月29日(赤沼ほか)

日帰りでお気楽クライミングしたいな・・・とまたいつもののりで、瑞牆行ってきましたです。

取りつきはこんな感じ。フレークをつかんで登っていきます。

核心部。

気持ちのよいフェースをあがってルートは終了。

Triglav/Slovenija

2014年8月

スロヴェニアのユリアンアルプス最高峰、Triglav (2864M)に行ってきました。

トリグラフ北壁全景と登攀ルート(赤線ライン:German short route)

今年はヨーロッパも日本同様おかしな天気で、雨と曇りの毎日。
天気予報をにらみつつ、ぷらぷらと散歩を繰り返す日々だったが、なんとか2日くらいは持ちそう!ということで16日の夕方に急遽小屋まで行くことにした。山麓の村MojstranaからTriglavふもとの小屋までは12キロ程度。舗装された道だが、バスは走ってない。途中に滝があったり、山が見えたり、気持ちのいい道ではあるが微妙にずっと登りだし、歩いていくのは大変。で、お願いして知り合いの車に乗せて行ってもらった。小屋の標高は約1000M。小屋に着くと、目の前にばーんと真っ白い山肌が姿を現す。これがあの北壁かあ。すばらしい!!ちなみに、夏休みだということもあり、駐車場も小屋も満杯の様子だったが、小屋に混雑感は全くなく、とても快適に過ごせた。

8/17 晴れ
本当に久しぶりに朝から快晴。小屋から見える北壁が美しい。


この日は一般ルートから山頂を目指す。一般ルートは3つあるらしい。続々と登山者が歩いていき、三々五々に分かれていくので、どっちに行けばいいのか何度か悩んだ。

行きはPrag wegという北壁の合間をたどるルートからTrigrav Dom(小屋)へあがり、そこから山頂まで岩稜を約1時間。帰りはBamberg wegという別の道をたどる、という周回コースをとった。上りも下りも、あちこちにワイヤーや補助の鉄棒が取り付けられていて、必要そうなところには岩場にしっかりステップが切られている。とは言うものの、普通にⅢ~Ⅳ級はありそうな立った岩場がばんばん出てくる。クライミングが難しいということはないものの、高度感と露出感にかなり緊張させられた。(フェラータ用のカラビナをつけ、ワイヤーで確保を取りながら上り下りしている人も結構いた。また、ヘルメット着用率もかなり高かった)登山者はとても多く、年代も様々。スロヴェニアだけでなく、ドイツ、オーストリア、チェコなど近隣の国から来ている人が多く(なぜかすぐ隣のイタリア人はいなかった様子)いろいろな言葉が飛び交っていたが、Helloと声をかけるとみんな笑顔で挨拶してくれた。

登りルート(Prag weg)1:こんな風に鉄棒がいっぱいついている

登りルート(Prag weg)2:Triglav Domが近づくと、周りはこんな岩山だらけ。

登りルート(Prag weg)3:真っ白な石灰岩が広がる

下りルート(Bamberg weg)1:急な下り。

下りルート(Bamberg weg)2:トラバースも高度感たっぷり。

下りルート(Bamberg weg)3

下りルート(Bamberg weg)4:小屋までの谷筋。

Mountain goat(ヤギ)があちこちに。

小屋からピークまでの標高差が1800M以上もある長丁場だったが、周りを取り囲む石灰岩の岩がとにかく圧倒的で、また、歩きながら眺める景色もすばらしいので、1日があっという間だった。小屋や頂上付近に大勢人がいたにも関わらず、歩いている間はあまり人気を感じず、広大な山塊の中をとても心地よく歩くことができた。

この日は小屋でもう一泊。気分がよくて、地図や写真を眺めつつ、ついワインのグラスが進む。確か一杯1.3ユーロ。

8/18 晴れ→曇り→雨
この日は北壁のGerman routeへ。北壁で2番目にやさしいルートということだが、それでも標高差が800Mはあり、小屋に着いてからずっと眺めている北壁を自分も登れるのかと思うととても嬉しく気持ちが高揚しているのがわかる。と同時に緊張も。 German routeは中盤で、頂上直下に抜けるLong routeと左に抜けて最終的にはPrag wegに合流するShort routeの二手に分かれている。この日は天候が下り坂との予報で、また初めての登攀ということもあって、Short routeへ。岩はもろいところもあったが、注意して登れば不安を感じるほどのもろさではない。石灰岩特有のしっかりしたホールドが多く、フリクションもきき、ガシガシと登れて快適!高度感ははんぱなく、まわりから迫る岩壁の迫力もすごい。快適にさくさく登っていったものの、岩場はやっぱりかなりでかく、だいぶ登ったと思ってもはるか上にそびえるピークにはなかなか近づかなかった。それでも楽しいから全くつらくないし、飽きることもない。

ホールドばっちりで気持ちいい!

ここは長い壁の弱点をつないでいるルートで、途中歩いたりコンテで移動するところもあり、残置を追っていけばいいというわけではないので、初見者同士ではルーファイで悩むところが結構あると思う。一見どこでも登れそうに見えてしまうので、安易に取り付くとルートからは簡単に外れてしまい、そのため事故も時々起きているようだった。なお、支点は岩と同化してしまっているような古いハーケンがところどころあるのみだったが、小さめカムが使えそうなところも結構あった。

所要時間は取り付きまで1時間半程度、ルートは5時間程度、下山に2~2.5時間、といったところか。ちなみに、German routeは手ごろで人気ルートとのことだが、この日は誰にも会わなかった。

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