アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

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山伏(やんぶし)

高校山岳部の合宿で光岳に登って以来の南アルプス南部。
光岳より南の、聞いたこともないような山を歩く人がいるなんて想像もしていなかった時代に、藪の中から傷だらけの腕と足をさらして登山道に飛び出て来たおじさん(そのころにしてみればの話)2人。
当時にしてみれば、
「かっこいいな~。いずれはあんな山々を歩けるようになるんだろうか?」と憧れを持ったものだ。
でも17歳で山岳巡礼倶楽部の門を叩いてからは、クライミング三昧。
還暦をだいぶ過ぎてからようやく、憧れの南アルプス南部にやってきた。
クライミング終活の一環で、大した岩場のない山々を老後の遊び場所として軽く考えていたわけだ。
深南部と言われるエリアからは少しはずれるようだが、入門ルートとして山伏に登り、ついでに深南部の登山口周辺をドライブしてまわって概念をつかもうというのが今回の目論見。
実は、山深いエリアとはいえ端っこの山ならちょこっと登って来られるだろうと思っていたのだが、調べてみるとどこも時間がかかりそうで、軽く日帰りできそうなのは山伏くらいしかなかったのだ。
このあたりから「もしかして南アルプス深南部なめてた?」と気が付き始めた。

やたら長いがよく整備された林道のドライブで百畳峠入口の駐車場に行き、前夜泊。

駐車場から百畳峠までは10分ほど。


南アルプス南部って樹林のなかをひたすら我慢して歩くようなイメージだったけど、山伏の稜線に出たら深く大きな山々が展開。明るく嫋やかな山々でした。

1時間もかからず山伏の山頂。

南アルプス初心者なんで、山座特定は難しいけど、赤石山脈の山々から大無間あたりまでの山々が一望のようだ。

明るくひらけた稜線

さて山伏に登って雰囲気を堪能したら、各登山口付近をドライブして偵察。

まずは畑薙ダム。紅葉まっさかりでした。

車止めから少し歩いて観光スポットとなっている吊り橋までお散歩。

地図で見ると寸又峡も近いようだ。
ついでに寸又川方面ものぞいてこようと思ったけど、電車ではたった二駅ほどの井川~寸又峡間の林道は寸断されていて使えない。
行くなら静岡まで大回りしての長距離ドライブとなるので諦め。

それにしてもどこに行こうとしても、長く曲がりくねった林道を延々とドライブする必要があるようで。
なんか南アルプス南部の著名な登山口に行くだけでも大変なことを実感。
深南部の著名なピークを全部踏むだけでも、今の体力が続いたとしてあと50年くらいはかかりそうだぞ。
というわけで、ナメすぎ、知らなすぎの南アルプス南部の初体験ツアーとなりました。はは。

八王子城址「御主殿の滝」の偵察

さて「高尾周辺を遊びつくす作戦」の一環として、「藪尾根歩きも楽しいけど、やっぱりどこかクライミングらしいクライミングもしたいよね」となるのは、クライマーの必然。
「大きめの崖」は見当たらないので、やっぱクライミングするなら滝ですな。
有名な小下沢は支沢の滝も登ってみてだいたいおしまい。
第一回 第二回
底沢の謎も探ったけど、行動自体は藪歩きに終わりましたね。
「ほかにはないのか?」と検索してて見つかったのが八王子城址の、御主殿の滝というやつ。ネット上で写真は見つけたけど、規模感とかまったくわからん。

そして・・・・。
えーと。
血塗られた歴史があるらしい。
心霊スポットとしても有名なんだとか。
誰か登ってないかな?とAIのGeminiくんに質問すると、
「心霊の情報があるので登るのは危険」なんだとか。
あほなんですか?
AIの限界ってやつね。
ネット上にあるデータを上手に収集してきて、うまくまとめるけど、ネットに書いてあることはすべて真実として鵜呑みにするやつ。

いえ、心霊系、スピリチュアル系の話をばかにしているわけではないんです。
怪しげな自称気功師と縁があって一緒に仕事(怪しい仕事ではない)をしていたときに、神道とか仏教とかスピ系の人たちとかにずいぶんと知り合って、半信半疑、興味本位でいろいろやってました。
「わたしゃ触らずに人を吹っ飛ばすことができるのよ」と宣う人格的にやばめな気功の先生が次々と人を吹っ飛ばすのを目の当たりに見ていたけど、「あれは生徒たちが同調圧力で勝手にとんだふりしてるんでしょ」とか思ってた。でもある日自分が吹っ飛んじゃった。
そんなことが続いて、「信じない」、でも「疑わない」っていう基本姿勢に落ち着いたような気がする。
神社仏閣、自然やその他霊的なものも含めてリスペクトはします。でも解釈はしない・・・というかできない。
そして最後に落ち着いたのは、山で生き抜くための方法論として「信じるのは自分の直観だけ」というところだったかも。リスペクトできそうな対象に手をあわせてみたり、祈ってみたり、呼吸をしてみたり・・・いろいろやるけど、それは自分の直観に気が付くための方便だったりするのかもね。
そんでね。直観に気が付くとかかっこういいこと言ってるけど、その実効性は、実は、たぶんない。でも、そういうプロセスを経ることで、なんか聖なる気分になるっていうか、俗臭が抜けて集中力が高まるようなことはあるかもね。

雑談が長くなったけど、「心霊核心」らしい滝のクライミングをするなら、まずはその「心霊」と向き合いましょうというわけで、まずは御主殿のある八王子城址、その守り神の八王子神社にお参りです。呪われた滝にちょっかいだしていいか聞いてみましょう。

八王子城跡ガイダンス施設の駐車場からスタート。
まっ黄色のいちょうがありました。

よく整備された登山道を40分ほどで八王子神社に到着。

手を合わせながらお伺いしてみる。
「滝登ってもいいすかね?」。
よくわからんけど嘲笑われたような気がする。神様に受けてる?
そりゃもう「ご自由に!」ってことなんかなと都合よく解釈。

八王子神社の上、本丸跡をまわりこんだところの祠さんがとても気持ちよく、素敵です。

本丸の裏側へまわって石垣にそってさらに先へ進む。

北高尾山稜にいたる登山道に入ってからも、さまざまな遺構が出現して楽しい。

この辺で遺構はおしまい。あとは登山道をたどって北高尾山稜にいったん出る。

北高尾山稜の富士見台からは熊笹山を越え、途中から今日の目的御主殿の滝がある沢沿いの道をくだる。

熊笹山の先から沢沿いの道をおりると駐車場手前が御主殿の滝。

下りはじめは少し道が荒れ気味だけど、すぐに整備された林道になる。

御主殿址はきれいに整備されて観光客もうろちょろ。


そしてこの橋のすぐ下に御主殿の滝が。

なんかすごそうな滝の絵がある。ここからはまだ滝は見えない。

卒塔婆なんぞも立っていて、いろいろとお供え物?もありますな。

というわけで踏み跡を沢におりるとこれが御主殿の滝らしい。
・・・・・・。
しょぼ。

あ、もちろん雰囲気はありますが、クライミング対象として見た場合の感想ね。
登る価値なし。以上!
いや運動靴で登ってきてもよかったけど、近くで草刈りしているおじさんに怒られそうだし。

その下は軽くゴルジュ状。

林道をくだるとあっという間に駐車場でした。
1週5.8キロ、2時間40分ほどの気持ちのよい半日ハイキングとなりました。

高尾・底沢の謎はまだ謎なんだぞ探検隊

東京の家から、ほどよく近い高尾界隈を遊びつくそう。
といっても人の多い高尾山に行くつもりはなく、マイナーな尾根を伝い歩いたり、沢の支流を辿ってみたり。
下山飯は高尾駅近くの「味はる」ということで定着もしてきた。
底沢は景信山の西、堂所山南面の沢で、この山域では比較的大きめの沢。底沢の集落から底沢峠に至る登山道は歩かれているようだが、沢の記録はほとんど見つからない。
さてどこから手を付けようか。

底沢はこの一帯では比較的規模の大きな沢で支流も多い。

地図を精査していると独特な地形を発見した。

これ。
水流がここだけ太く描かれている。
大きな淵?
大きなゴルジュなら周辺に岩記号があってもいいはずなんだが。

幅約5メートル、長さ約180メートル。
ちょっとしたプール並みの水たまり?

Google earthで見た当該箇所。青く水たまりがあるように見えなくもない。
青で囲ったところが「底沢の謎地形」。踏査計画を立案してみた。

底沢集落をスタートして、沢沿いの林道を辿り、ターゲット部分を通過後は沢沿いに稜線に抜ける。
あとは堂所山を経由して底沢峠からの登山道を下山。
当然ながら下山後は高尾の「味はる」にて報告会。
高尾在住クライマーの山金さんこと山崎金一さん、それに同じく高尾在住クライマーの野口さん梨恵さん夫婦に声をかけてみた。梨恵さんは仕事の都合で報告会のみの参加。
山金さんも避けられない所用ができて、結局報告会のみ。
参加できなくなった山金さんが、前日なんと一人で偵察に行き、ターゲットまでのアプローチを確認してきてくれた。車高の高い車なら林道で行くこともできそうだとのこと。

10月30日、野口、赤沼にて踏査を決行。
実はこの時点ですでに、山金さんの報告やネット調査を通して謎地形部分には連続する堰堤のようなものがあり、その下流には膜ろ過方式の小規模浄水場があることがわかっていた。
調べるとその底沢浄水場は1973年(昭和48年)に給水開始し、1998年(平成10年)に膜ろ過方式設備導入。日量400㎥の最大供給能力があったが、2021年(令和3年)に小規模浄水源の統廃合の一環として廃止されたようだ。
さて浄水場とその上部の堰堤群?とは関係があるのか?
取水堰であったならまだダムのように水たまりがあるのか?
そこは通れるのか?はたまた泳げるか?(笑)
問いは「あの地形はいったいなにものか?」から、「どんな堰堤で、水たまりはあるのか?」と形を変えてのスタートとなった。

底沢集落で沢は二股となる。
底沢峠からの登山道を下山するつもりで、右俣に少し入ったあたりに車を停めて沢沿いの林道を歩き出す。

ほどなく底沢浄水場。
情報通り稼働はしていないようだ。

浄水場周辺。水流はさほど多くない。

林道の終点。山金さんの偵察はここまでだ。
二股となっており、どちらの沢にも踏み跡がある。
この右俣が例の謎堰堤群となる。

堰堤の右岸に伸びる踏み跡を辿る。
水たまりはない。
どうやら取水目的の堰ではなく、土砂防止用の堰堤に見える。

急な小沢に堰堤が続く。

堰堤にかけられたプレートには平成7年(1995年)竣工と記載されていた。
つまり堰堤ができたのは底沢浄水場ができてから20年以上あとのこととなる。浄水場との関係性はないのか、あるいは水源地の保水や保全という意味あいで土砂防止の必要でもでたか?
門外漢の素人としては、堰堤群の謎は結局謎のまま。
でも地図に太い水マークつけるのはなんか違うよね~。
水そんなになかったもん。期待して損したかも。

堰堤群は段々畑のように続き、地図通り180メートルほどでおしまい。

つまり神奈川県の買取り水源地として保全のために必要な堰堤だったってなところですかね。

堰堤の下には水ちょろちょろ。

最後(一番上)の堰堤だけがコンクリート製でした。

堰堤群の上は普通の小沢。
一か所だけ滝状となっていて、右の泥壁を木をつかんで登る。
足下が不安定でちょっと怖かった。

あとはこんな森林の急登。


林業用と思われる踏み跡を拾いながら行けばあっさり堂所山と景信山の間の稜線に飛び出す。

堂所山山頂。このためだけに自撮り棒持ってきた。

底沢峠経由で登山道を下山。
宴会・・・じゃなくて、報告会の時間までだいぶあるので底沢集落を観光しよう。

底沢集会所

底沢集会所のあたりで沢および林道が分岐していて、左の林道に入ると照手姫伝説というのがあって、その舞台でもある七ツ淵というのがあるらしいので、そちらに向かってみる。

のどかな集落です。

そういうことらしいです。

こんな踏み跡を辿って行くとわりとすぐ七ツ淵。

これが七ツ淵。沢靴がないと滑りそう。あ、野口さんは最初から沢靴だった。

なんだかんだ時間をつぶして報告会会場の「味はる」に。
前列左から山金さん、山岳巡礼倶楽部赤沼、YCC野口さん、ぶなの会梨恵さん。
話しがディープに、そしてグローバルに盛り上がったのは言うまでもなし。
そしてうしろが店主の久保さん。
味はるはテレビ東京の「下山飯」というドラマで紹介されてから人気が出ている様子。さあまた高尾で遊んでここで飲もう。

これが店主久保さんの役をやった俳優さん。ふむ。

新潟・金城山高棚川つばくろ岩

金城山は巻機山の北西約5.5kmほどに位置する1396mの山。
つばくろ岩は金城山から東方向に伸びる登山道のない藪尾根800mほどのところにあるイワキの頭というピーク南面の急峻なスラブ壁で、高差250mほど、幅300mほどにわたって展開している。一言でその特徴を言えば、越後の超マイナーな悪壁。
1970年台ころにあらかわ山の会、江戸川山の会、東京稜行会などによって何本かのルートが登られ情報もまとめられ、あらかわ山の会のホームページには一部公表されていたらしいが、今年2025年に会が解散となりホームページとともに情報もなくなってしまった。

今回のパートナーは野島梨恵さん(ぶなの会)。
今までに甲斐駒ヶ岳摩利支天の岩壁や雨飾山ふとん菱、それに海谷の海老嵓などでクライミングを共にした頼れる相棒。

「自分は草付き泥壁の中で至福を感じる沢屋」と言い切ってるだけあって、まるで呼吸をするように沢を歩き藪をこいでいく。

前穂高の南面で赤沼懸案のリッジルート開拓につきあっていただく予定だったが、天候不順で転進。
梨恵さんは15年も前からつばくろ岩を狙って情報を集めており、何度かこのエリアを訪れてはいたが、まだつばくろ岩本体を特定することもできずにいた。
転進先はここにした。

上の写真に写っているこのあたりがつばくろ岩だったということが、登ってみてはじめてわかった。

実はこのつばくろ岩、赤沼の知り合いでもある山登魂山岳会の鮎、オーブコンビが2009年5月に登り、往復たった6時間で登山口に帰還している。
それを見て昼までには帰るつもりでいたのだが・・・・

5月の残雪を利用してのアプローチとは裏腹別物。
「雪がなくても河原歩きで簡単に行けるだろう」なんて考え、無雪期の越後の沢の悪さを想定していなかったのはそもそも大ポカだった。

雪崩に磨かれた花崗岩系の滝がいくつも続く。
ボルダリングレベルの難しいクライミングで越えたり、延々と草付きと露岩を越えて巻いたりが連続する。
赤沼が登りだした側壁は悪すぎていきづまり、泥クラックに突っ込んだカムを捨てて懸垂しておりたり・・・・
梨恵さんがチョックストン滝を、空身になってカムと泥に打ち込んだハンマーのエイドで越えたり・・・・
垂直の藪をロープクライミングで尾根まであがっての高巻きがあったり・・・・
岩壁の取付き付近まで実に7時間の奮闘的な沢クライミングとなった。

さてどうやら取付き付近にたどりついたようだ。
で、どこ登ればいいんだ?
まわりじゅう垂直の藪と垂直のぬめりまくったルンゼといや~な感じのスラブ壁しか見えん。
しょうがないので↑こいつの右端のほうを登りだしてみる。
いやな態勢でハーケン打ったりしながらようやく岩壁帯にたどりついたけど、簡単に登れそうには見えない。
山登魂の2人はフリーソロであっさり越えてるらしいんだが、これどう見てもロープつけて、ボルト打ちながら奮戦する壁でしょ?
ふと振り返ると、谷の向かい側に気持ちよさそうな、つまり傾斜のゆるいスラブ壁が稜線近くまで続いているじゃあありませんか。
さっさと懸垂でおりて、そちらにトラバース。


いやいや。こんな快適なスラブ壁でしたよ。
これがたぶん山登魂のふたりの登ったS字スラブだろう。

ともあれ楽しい岩登り自体はあっという間におしまい。
これでだいぶ高度は稼げたけどね。

稜線に近づくと傾斜の強い藪漕ぎといやらしい露岩のミックス、つまりとてもとても越後らしい岩壁になってくる。佐梨の岩壁登ったことある人ならどんな感じかわかると思う。
下に向かって生えてるしゃくなげの根をつかんで、ぬめった露岩に足をこすりつけて、ほぼ腕力で身体を持ち上げて行くような、体力の消耗の激しいクライミング。根っこをがっちり持っている限り怖い感じはしないんだけど、間違って落ちたらまあ助からないでしょう。(そういうパートは余裕なくて写真も撮ってないす。)

岩壁部分を抜けて少し傾斜が落ちてくるも、藪漕ぎはかわらず。

もうすぐ稜線。


稜線にでたところのピーク「いわきの頭」。
登山道の通っている金城山までは1キロほどの藪稜線。
暗くなると同時くらいに金城山にたどりつき、あとは嵐となってしまった中、すべりやすい登山道をおりて登山口にたどりついた。14時間ほどの行程となった。

高棚川林道途中0622am-二股0855am-小峠付近1030am-つばくろ岩基部1330pm-イワキ頭1618pm-金城山1744pm-観音山(雲洞)登山口2030pm-タクシー-高棚川林道駐車地2045pm

地蔵岳・離山岩峰群

地蔵岳の北にひときわ目立つ岩峰群がある。
それらの最高峰は地図には離山と記載がある。

鳳凰三山の地蔵岳方面から見ると左手の岩峰が離山(2307m)。
その右手に2峰、3峰、4峰と並んでいる。
ネットで調べると藪岩愛好家やヘビーハイカーなどがたまに登っているようだ。

離山(岩峰群)の位置
アプローチも含めたトラックログ

ここを訪れた人たちの多くは石空川の駐車場をスタートして、北東のやぶ尾根からアプローチし、離山岩峰群を縦走したあと地蔵岳に抜けている。
岩峰たちは主に風化花崗岩の傾斜の強い岩壁で形成されているようで、登山者の多くはその弱点、すなわち急傾斜の木ややぶに覆われた斜面を登り、下降は懸垂下降をまじえて通過している様子。
クライマー視点で訪れたらどこまで遊べるのか?
そんなテーマで登りに行ってみた。

パートナーは石鍋礼くん。
彼が中学生のときからのつきあいなので「少年」と呼んでいるが、もうアラフィフのれっきとしたおじさん。
フリークライミングが得意でエルキャピタンなんかも登っちゃってる。

誰もいない石空川の林道奥にある駐車場にテントを張って前泊。
かなり長い行程となるので、早朝暗いうちに出発した。
先人の記録に倣い、吊り橋を渡ったあたりから離山の北東に伸びる尾根に取付く。
ときおり傾斜の強いところもあるものの、はじめのうちはゆったりとした樹林の尾根。

気持ちのよい森であちらこちらに茸が顔をだしている。
「これ松茸じゃね?」みたいのもあったけど、茸はわからないので素通り。

1914m峰の手前のピークあたりから露岩が出始める。

いよいよ離山。4峰が近づくと、行く手に次々と岩壁が立ちはだかる。
苔むした露岩のフェースと樹林や藪に覆われた急なルンゼで構成される岩場が多い。

複雑な地形を読みつつ岩場を越えて行く。
地形が複雑な分、登るルートの選択肢も多いので、難しくもやさしくも登れるのが楽しい。

いよいよ岩峰群に突入。
ルートの選択肢は減ってくる。
苔むした脆い岩場をおそるおそる登るか、木登りに逃げるか。
我々はもちろん、できる限り岩場を越えて行く作戦。

木登りに逃げるか岩で苦労するか。自分との闘い(笑)がつづく。
ここではいったん正面突破を試みる・・・・が、ハングに行く手をはばまれ・・・・・いったん木登りに逃げ・・・・「あのハングさえ越えれば中央突破の気持ちいいラインになるぞ」と再チャレンジ。
ぼろぼろクラックにねじこんだサイズのあわないカム(カム4個しか持ってこなかった)と、抜けそうな枝に通したスリングでのエイド(人工登攀)で限界ぎりぎりのクライミング。
こんな遊びがつづく。

赤沼が「このフェース、フリーで登れるんじゃね?」とトライするも恐ろしすぎて即敗退。ところがそこをじっと見つめる礼くん。
「これやってみていいすか?」と日ごろ高難度フリークライミングをこなす礼くん。
「もちろん好きなだけやってちょ」と赤沼。
荷揚げ用のバックロープも付けて空身で登る気満々の礼くん。

「でもさ。途中で支点とれないし、落ちたらその下、切れ落ちてるから大きめの怪我しそうだよ。」と赤沼が手前の木から伸びあがってカムを一つ設置。
「さあ、どうぞ!」

しか~し。取付きで岩を触りながらもじもじする礼くん。
「あははは。これが風化花崗岩じゃ!すべてのホールドがはがれるつもりで登りなさい!」と上から目線の赤沼。
そして「やめてもいいよ。左から巻けるよ~」と悪魔のささやき。
「・・・・・やめます。」としょんぼりする礼くん。
ぐわははは。これが脆壁じゃと無駄に鼻の穴をひろげて偉ぶる赤沼。

岩峰のくだりは木登りの反対、木下り?で行くが、木が途切れてきたら即懸垂下降。

離山本峰が近づいてくるにつれ、風化花崗岩の巨石が無造作に置かれたような地形になってくる。
ルートファインディングの重要性が増してくるけど、ほぼ勘と運の世界。

ざらざらに風化したスラブ帯は手掛かりがなくて、下は切れ落ちていたりしてなかなかに怖い。

まわり中こんなフェースに囲まれる。
ルーファイが難しい。

離山本峰は越えて、あとは地蔵岳に向かうだけ。
でもここからが大変だった。
巨石がごろごろしていて、その間はハイマツとシャクナゲの藪に覆われた尾根を究極のルーファイが求められる。
ハイマツのクレバスと巨石の間にはまって身動きつかなくなった礼くんがトランシーバーでアドバイスを求めてきたりもあったけど、だいぶ先まで行ってしまった赤沼は手の出しようもなく「知らんがな」と、ただ彼の自助努力を待つのみ。

藪漕ぎしながら振り返ると登って来た離山の岩峰群。その向こうは北岳かな。

巨石の間をいんぐりもんぐり地蔵岳を目指す。

地蔵岳のオベリスクが見えて来たころはもう暗くなってきちゃったよ。

周り中岩だらけ、やぶだらけ。今日帰れるんかいな?っていう風情の動画。

すでに暗い地蔵岳に到達し、夜を徹して歩き、駐車場に帰還したのはすでに深夜となってしまったわけ。
いや~長かったな~。
一応ツェルトで泊まれる体制はあったけど、北杜市の別荘に行って、風呂入って酒飲みたいし、がんばって20時間も歩いてしまった。

さてこのルート、若くて元気な人たちは10時間ちょっとくらいで踏破してますな。一般的には18時間くらい?
まあ自分たちなら15時間で踏破して、夜早めに別荘で酒飲みだすくらいのつもりだったんだけど・・・・
わけわからんクライミングでつぶした時間3~4時間、実は藪漕ぎが苦手だった礼くんのオーバータイムも考えればまあこんなもんか。
実はアラカン赤沼、20時間も歩けたことでちょっぴり自信つけちゃったりもしたよ。はは。

金峰山・千代の吹上第三岩稜A峰正面壁

金峰山山頂近く、千代の吹上の上を行く稜線登山道から眼下に望まれる独特な姿の岩峰が、3~4つの岩峰から形成される第三岩稜の一番上の岩峰(A峰)だ。

A峰を下(南面)から見上げるとこうなる。
この正面壁を登って、特徴あるチムニーにはさまり、このピークに立ちたい。
ちなみに側壁からこのピークには以前立っている。(下記リンク参照)

そしてようやくこのチムニーから念願のピークによじ登ることができた。
そしてこのクライミングで千代の吹上通いも一段落かな。

今回のパートナーは頼れる兄貴、中尾政樹さん。
B峰のクライミングもご一緒してくれた。

前回は長いアプローチを嫌って、前夜大日小屋に宿泊したが、あまりの臭さ、汚さに辟易して今回は早朝発の日帰りプラン。
砂払いの頭手前から第三ルンゼを下降。左岸に向かってA峰B峰のコルへ。
上の動画はコルからA峰周辺を撮影したもの。

コルから短い懸垂一回で取付きへ。

壁の中央付近のクラックを目指して中尾さん離陸。
「岩が脆くてどれもはがれそうだよ~」などと叫ぶ兄貴。
しかもクラックは節理がちゃんと入っていなくて苦労している様子。(赤沼は木の葉陰でビレイしているので様子がよくわからない)
そして「残置ボルトがあった~」と。
古めのリングボルトらしい。
どうやら誰か登っているみたいですな。
残置ボルトがあるとはいえ、チップが見えるほどの浅打ちで、危険な感じとのこと。
中尾さん「どうせなら登られているラインよりは、まだ登られていないラインから行こう。」と、その浅打ちボルトにそっとテンションをかけながらクライムダウンしてくる。

左よりのラインに向けてやりなおし。
10メートルほど?あがったところで、壁の中央に向けてトラバースとなるが、ロープが浮石を落とすと赤沼直撃の位置だったので、ここでいったんピッチを切ってくれた。

ここからも風化した花崗岩をだましだまし壁の中央部に行き、そのまま上部へ。ちょっとしたリッジをまわりこんで行ったため、赤沼からは様子が見えないがロープは着実に伸びて行き2ピッチ目も終了。

2ピッチ目フォロー中の赤沼

2ピッチ目も脆いところがあって気は使うけど、それほど難しくもなく、割と楽しいクライミングで例のチムニーの真下まで。
そしてこのピッチにも残置ボルトがあった。
ロープピッチとしてはそのままピークアウトできそうだがここで2ピッチ目終了。
最後のおいしいところを赤沼のためにとっておいてくれたみたい。
「最後のピッチ登る?」と言ってくれたけど、「いや今回は中尾さんが最後までやっちゃってくださいよ。こういうワイド系は中尾さんの得意分野だし。」と赤沼。

さっそくワイドクラックにはさまって楽しそうな中尾さん。
最初のこの辺が核心のようだ。
そしてチムニー内は狭すぎてヘルメットが邪魔のようで、脱いで荷揚げ用バックロープでおろしてきた。

中尾さんの身体はどんどん奥へと吸い込まれていき、すぐにピークアウト。
赤沼はせっかくのトップロープなので、核心部は中に入っていんぐりもんぐりするのを避け、レイバックでワイルドに登ってみる。

チムニーにはさまって嬉しい赤沼

ピークに出た~。
最近得意の自撮り棒で記念撮影。

A峰のピークからも少し岩稜がつづくが、面倒なのでロープをはずして樹林ごしに登って行き、途中から岩稜上に。

岩稜を少しあがったところから中尾さんの雄姿を撮影。
この画がほしくてあえて樹林から岩稜のうえに出たわけ。

もう一枚。

さて打ち上げには菊地ガメラ氏も合流して四方山話。
「今日登ったところは未踏だろうと思ってたけど、登られていたみたいですよ。」と赤沼。
「あれだけ目立つ岩場だから結構登られてるんじゃないの?そういえばY野井さんあたりが、ヒマラヤの練習のためにあの辺をだいぶ登ったらしいよ」と山岳界の事情通ガメラ氏。
Y野井さんレベルのクライマーなら、ナチュラルプロテクションで登るだろうし、練習意識なら記録なんかださないだろうし・・・・ということで、この一帯も何度かは登られているんだろうなという印象。
ともあれ、初登攀に興味があってのクライミングでもなく、あまり人に知られない楽しいラインを発掘することができたのがとても嬉しい次第。
第一岩稜、第三岩稜、第四岩稜の主だった(自分に登れそうな)ラインは完結。
第二岩稜、第一フェース、第二フェースは残っているけど、すでにだいぶ登られていて情報もあるので、「ルート発掘」的興味としてはまあ対象外。

そんなわけで千代の吹上通いはいったん卒業かな~。

山巡じじい会約11回【黒曜石巨大露頭】

今年で設立90周年となる山岳巡礼倶楽部。
そういうわけで(てか、たまたま)、3月の鷹取山につづいて今年2回目の山巡じじい会。
今回のお題は「八ヶ岳に眠る謎の黒曜石巨大露頭」。
発端は2020年の山巡じじい会3回目
わたべさんの発案で探索行を行ったもの。
この時は巨大露頭を特定する有力なヒントをつかんだものの到達できずに終了。
そして2024年、赤沼が再訪
目星をつけた場所の周辺をさんざんうろちょろした挙句に発見し、GPSのトラックログを保存してきた。
そして今回、赤沼のガイドで見学ツアーとなった次第。

暇なはずのじいさん達なのに、日程調整に案外と難航して、なんと7月3連休の初日に八ヶ岳の赤沼宅に集合。当然ながら前夜祭。
左から惣之助さん、二階さん、わたべさん。

さて。前夜はだいぶ飲んだものの早起き老人たちは元気に目覚めて出発。
国道の某所に車を停め、GPSログに従って森に突入。

北八ヶ岳の森。
最高の好天なのに、展望もない森を逍遥するなんてもったいないと思っていたけど、薄日のさしこむ苔の森は最高の癒し空間。涼しいし。

露頭に近づくにつれ赤布や踏み跡が出始める。

小一時間の散策で黒曜石露頭に到着。
件の巨大露頭自体は表面的には黒曜石らしくないが、近づくと黒光りする尖った岩肌が見える。
むしろ周辺に黒曜石らしい岩や石ころが無数にあってそれとわかる。

露頭まわりをうろちょろ。

帰りは前回気が付かなかった踏み跡や赤布を発見し、より平坦なルートで国道に戻ることができた。
散策自体はものの2時間ほどで終わってしまった。
少し観光して時間つぶし、本宴会に突入するか~というところだが、何せ学校が夏休みに入った好天の3連休とあって、観光地はすべてが渋滞。
早く八ヶ岳の家に帰って来たものの、みな昨日の宴会と今日の山歩きで疲れ気味。
ビールを少し飲んだらあとは水飲みながら野菜中心の食事にとどまり、山岳巡礼倶楽部90周年イベントについての打ち合わせなどしつつ夜は更けていった。

金峰山・千代の吹上第三岩稜B峰

懸案の第三岩稜B峰に一本のラインを引いてきた。

D峰を登った際にD峰の頭から撮影したB峰。
全3ピッチとなったが、1ピッチ目は写っていない。

第三岩稜についてはほとんど情報がなく、2024年9月に登ったときに概ね4つの岩峰からなることがわかり、上からA, B, C, D峰と仮称した。


2024年9月には一番下のD峰を登っただけで時間切れ。
同年10月にA峰を登った。

A峰(B峰の頭から撮影)は、この特徴的なチムニーを登って頭に出たかったが、向かって右側のルンゼからアプローチした際は下部フェースにルートを見出せず、右側から巻き込むようにしてこの上に立った。

その際残置ボルト一本を確認している。過去に似たようなラインで登った記録があるようだが、われわれが登った際は、残置ボルトのあるルートはとらなかった。一部かぶっているような気もするがはっきりしない。

さてA峰は不本意なラインではあったが、登ってその頭に立った。
D峰も登った。C峰は登攀価値はあまりないと判断。
今回の狙いは最後に残されたB峰。なかなかの大物に見える。

パートナーは中尾政樹さん。
シブリン南壁の初登攀、サトパント北稜の登攀などの実績を持つほか、黒部や瑞牆山などを中心に高難度ルートを多数開拓してきた心強いパートナーだ。赤沼より少しだけ年上のパイセン。
千代の吹上には前から関心を持っていたとのことで、お誘いするとすぐに食いついてきたものの、「アプローチが遠いな~」とか言うし。
なので瑞牆山荘登山口から入山し2時間ほどで到着する大日小屋をベースとして、翌早朝出発するというプランを提案。心の中で、「じいじたちの、のんびりクライミングプラン」と勝手に名付けた。

大日小屋から金峰山方面に2時間弱で砂払の頭。
ここから第三岩稜、第四岩稜の間のルンゼをおりてアプローチする。

第四岩稜のスラブ帯が右に見るあたりから、左手には先日登ったD峰の頭が見えてくる。D峰とC峰のコルに上がろうと思っていたが、露岩が多くて難しそう。
少し上に戻って樹林の斜面をあがっていくとちょうどC峰とB峰のコルに出た。

B峰とC峰の間を懸垂でおりながら、B峰のルートを探る。

歩いても下りられそうなところだが、B峰に見惚れて歩いていて怪我なんぞしてもつまらないので・・・・

中央がD峰の頭。右手前がC峰。D峰を登った際、頭から懸垂下降でC峰側に下りたが、その際の残置支点が途中からよく見えた。
1P目をリード中の赤沼。最後のクラック部分が1P目の核心。
ゼーハー言いながら1P目終了。30mくらい。
1P目フォロー中の中尾さん。
2P目は次のテラスまで。中尾さんリード中。20mくらい。
2P目フォロー中の赤沼。後ろ左がD峰。右がC峰。
2P目ビレイ中の中尾さん。後ろのクラックが3P目。
お天気最高。眺めも最高。
2P目終了点の小ピークからいったんクライムダウンして取付き。

3P目をリード中の赤沼。クラックをひろいながら高度を稼ぐ。
ピーク手前のクラックが難しそうなので、ブッシュ帯に入ったらピッチを切って、一番難しそうな核心部分を頼れる兄貴、中尾さんにまかせる作戦。

ビレー中の中尾さんを振り返る。D峰がだいぶ下方になってきた。

ところがブッシュ内は足場がなく、しょうがないのでそのまま核心のクラックに突っ込む。ロープはすでに30m以上出ていて重いのだが・・・
ブッシュから真上(右)のクラックを登るのが順当と思われたが、中に浮石がたくさんあって、これを落とすとビレーヤー直撃の可能性もあるので、左のクラックへ。
このクラックに移るところがかぶり気味。
フリークライミングにこだわりのない赤沼は即あぶみを取り出してカムエイド2ポイントでクラック内へ。そこから高度感のある気持ちよいクラック登り。このピッチでNo.6も含めて2セットのカムをほぼ使い切り。
でもあまりのロープの重さに終了点についてしばらくは横になってゼーハーゼーハー。
最難関の核心部で50mほどのロープピッチになってしまった。
中尾さんはここもフリーでフォロー。
「カムの回収がうまくいかなくて、1テンションやっちゃった。」とか言ってたけど、ロープが重すぎてビレーしてた赤沼は気が付かず。言わなきゃわかんないのにね。

3P目フォロー中の中尾さん。
3P目終了点。すぐ横がB峰の頭。

B峰の頭からA峰を望む。A峰につなげて、あのバルタン星人のはさみのようなチムニーを登りたかったが、ここで体力も時間もいっぱいいっぱい。
やぶのリッジを歩いて、A峰手前からルンゼ方向に行くと、下降点だった砂払いの頭に戻ることができた。
「この次はA峰を下のフェースから登って、最後のチムニーからA峰の頭に飛び出よう」と話ながら帰途についた。

B峰1ピッチ目終了点で撮影した、周辺の説明動画。

秋田駒ヶ岳&東北遊び歩き

妻の誕生祝いがてら、どこか登っておいしいものを食べてこようという計画。さあどこに行こう。

安達太良山やら黒姫山やらいろいろ考えていたけど、梅雨入りを思わせる不安定な気候でころころと変わる予報のため、行く先が決定できない。
前日の予報では唯一秋田あたりが高気圧に覆われることがわかって、急遽秋田駒ヶ岳まで足を伸ばすことにした。
夕方東京を出て、登山口まで7時間以上のロングドライブ。

コースはどれにしよう?
朝、秋田駒ヶ岳もありかね?とか言ってから仕事に出かけたので、今日家にいた妻は結構リサーチ済み。私はネットで誰かのブログを読んでみた程度。

私「一番軽そうなのは北側8合目小屋の駐車場から行くやつかな?」
妻「そこはまだ道が開通してないみたいよ。南の国見温泉からになるわね。」
私「残雪はどうかな?」
妻「去年の今頃のYou tubeを見たら、ムーミン谷というコースは木道の上をずっと歩いていて、雪の上も少し歩いているみたいだけど、私だけチェーンアイゼンがあればいいくらいかもね。」
私の心の声「ムーミン谷の写真見たら、クライミングによさげな岩峰があるぞ。偵察もしてこれるかもね~」
私「んじゃあ、国見温泉からムーミン谷のルートに入って、男岳の手前から阿弥陀池のほうに峠を越えて、山頂登ってから尾根コースを戻ればいいね。ちょっと長いけど、コースタイムで7時間程度みたい。がんばるか~!」

妻は軽登山靴にチェーンアイゼン持参。私は運動靴。
軽いノリで出発。

想定ルート。国見温泉から尾根をあがって、途中から左に入るのがムーミン谷ルート。男岳の手前から稜線にあがるつもり。

国見温泉の駐車場に午前様で到着。7時間半ほどのドライブだった。
2時間ほど車中で仮眠をとってから出発。
1時間の歩きで比較的なだらかな稜線に出る。これは秋田駒ヶ岳の一角をなす横岳から南西に伸びて来た稜線。
高山植物の多い山らしく、まだ時期は早いようだが道沿いにはそれらしき花々が。われわれお花に詳しくないので、写真を撮ってきてあとでGoogle画像検索で花名を特定する作戦だったが、いまいちわからないのが多いね~。


稜線から田沢湖を望む。
なだらかに横岳に伸びあがる稜線。空も真っ青で気持ちいい~♪

稜線の途中からムーミン谷への分岐。
左から雌岳、男岳、横岳かな。なんかそこそこ雪があるみたいだぞ。


登山道は雪渓に覆われてなくなってますよ。
妻がYou tubeで見た昨年の今頃とは状況がだいぶ違うっぽい。
これじゃあムーミン谷名物のお花はあるわけなし。
今年は残雪が多いのはわかっていたけど、だいぶ軽く考えていたね。はは。

谷の右側はデブリ(雪崩のあと)が残ってます。
小規模のブロック雪崩や落石がたまに落ちてくるので、左よりにルートをとって行く。あまり人も入っていない様子だが、同じようなラインを歩いている足跡が少しだけある。ラインどりから見て山慣れた人でしょうね。

妻もだいぶ慣れてきて、アイゼンなしでもこんなところが歩けるようになってきた。

左のなだらかな稜線から、こちらのムーミン谷にそれてきた。

妻は人生初めてのブロック雪崩と落石を見てビビり気味。

左のピークが男山。その右側の斜面を登るつもりだったけど、雪渓に覆われていて、落石も怖い。妻はこんな雪斜面登りたくないと言うし。


まあ確かに、登ろうと思っていた斜面は少しリスクが高めなので、このままムーミン谷をつめて男岳の向こう側の稜線まで回り込むことにする。

五百羅漢あたりかな?このへんの岩峰が登れるか偵察したかった。ピッチは出ないけど登れないことはなさそう。これを左からまわりこんで稜線目指します。
稜線に這い上がる手前に急な雪の斜面があって、登山道を完全にブロックしてる。雪の横の急斜面から雪の上に乗るあたりが今回のハイライト。
付近はフキノトウが群生してる。

こんなやばいところに来てしまい、妻は怒り出すかな?と思ったら、「なんかアドベンチャーで楽しいね♪」とか喜んでるわ。

ここからすぐ上が稜線。向こうに田沢湖。この稜線から登山道を歩いていくとすぐに男岳。
稜線に出た。
左側の谷(ムーミン谷)から回り込むようにこの稜線にあがってきた。まもなく男岳山頂あたりを登る妻。
男岳山頂から振り返るムーミン谷方面。この辺一帯を含めて秋田駒ヶ岳ということになる。独特の地形ですな。
山頂。天気はよいし、それなりに冒険的だったし、独特の山の雰囲気があったしと妻もここですでに大満足。ほんといい山です。
男岳からはよく整備された登山道。見えているのは阿弥陀池。ここを経由して最初に登って来たなだらかな稜線を下る。左の最高峰男女岳は割愛。もう満足したからどうでもよくなっちゃった。
ここからはよく整備された登山道を下る。ここを往復でもよかったねと言ったら、妻は「今日登って来たところのほうが楽しかった」のだそうで。
歩いてきたルートを振り返る。
花、花、花
のんびりと下る。

7時間ちょっとの山歩きでした。

へたくそなホーホケキョ。
ムーミン谷から稜線にはいあがる手前。急な雪斜面にはばまれた。

この日は秋田在住の友達から教わった水沢温泉泊。
乳頭温泉の手前の静かな温泉街。
お風呂も料理も最高でした。

さてどうしよう?
これから天気が下り坂だから、山はもういいや。
前食べておいしかった米沢牛の店でディナーしたいという妻。
では一日ゆっくりと寄り道しながら米沢までくだることとしよう。

結局歩いたルート
田沢湖ドライブ中
昨日登って来た秋田駒ヶ岳
角館の武家屋敷
この後秋田の友達から薦められた安藤醸造でだしやら、味噌やらを大人買い。
通りすがりの素敵な神社

なんだかとっても不思議で素敵な街、ますだ。

そして米沢焼肉のあとは一気に東京まで帰ってきました。

鳥居峠から栗屋山

このエリアを特定する名前がないものか調べてみたがわからなかった。
西は韮崎あたりから塩川ダム、信州峠を越えて川上村に抜ける小尾街道(穂坂路)。北東に金峰、瑞牆。南に茅ヶ岳や金が岳や曲岳。
奥秩父西部の茅ヶ岳山麓エリアとでも言ったらいいのかな?
その中心に甲府幕岩や樫山岩塔などの岩場があって、スポーツクライマーにはわりと知られた場所ではある。

先月、金が岳に連なる兎藪という山に遊んだ際、その一帯に伝わる修験道や金峰山への参道(みたけ道)に至る古道、天狗や仙人についての逸話などを聞きかじった。
小尾街道に沿っては信玄の烽火台や、山城址も多い。
「おもしろい土地だな~。北杜市の家からも近いしもう少し歩き回ってみよう」。

今回は比志城址に近い鳥居峠というところから、尾根を東方面に歩いてみよう。その先には地図に記載がないが、栗屋山というのがあるようなので、そこを目的にしてみよう。今回も妻とのんびり山散歩のつもり。

韮崎から塩川ダムに向かう県道23号を北上。小尾街道または穂坂路というやつですな。
塩川ダム手前の鳥居峠トンネル手前から小森川沿いの道に入り、最初の大渡という村落から歩き始め。トンネルの上に見えてる峠が鳥居峠だ。

トンネル方向に村の道を行く。


石仏たち
峠に向かう切通し(村の道はここを通らず大回りしている)
兎藪方面
そこここに藤の花
これも石仏?
あっという間に鳥居峠が見えてくる
鳥居峠にもうすぐ
鳥居峠の北側は舗装された林道があった。こちらから来たほうがよかったかな?
鳥居峠から東に向かう尾根に階段
階段の上に修験者の像があった。寛永とか書いてあったような。江戸時代?ここを越えてなだらかな尾根を東へ向かう。
下草もなく歩きやすい。
全体に赤い。赤松か。
尾根はところどころ細くなるが歩きやすい。
栗屋山手前のピークで視界が開ける。金峰山、瑞牆山などが遠望できる。

金峰山

瑞牆山

栗屋山
八が岳が見えた。
栗屋山山頂から樫山の村を見下ろす。
南の林道まで急な斜面をおっかなびっくり下る。
あとは歩いてきた尾根の南の林道を戻るだけ。
藤の花びら
右が歩いてきた尾根。南側はずっと崖になっている。
石仏など。林道沿いに多い。
お気楽半日コースでした。

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