アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

佐久・天狗山右壁右稜

天狗山ダイレクトの右に広がる急峻なフェースの、右カンテライン(右稜)を10月21日に登ってきた。天狗山南面の岩場の中では東稜という位置づけになる。

赤線が登攀ライン。すぐ隣の左上していくリッジが天狗山ダイレクト。

天狗山南面岩壁群の偵察の際には、上図の上段岩壁、中段岩壁をまとめて上部岩壁と仮称していた。
しかしその後、3年をかけて「ひなばすビュー」というルートを開拓された方が、Rock and Snow誌の最新号(101号)への投稿で、このように記載されていたので、混乱を避けるためそちらにあわせることにした。(偵察記も後日修正予定)

青線が天狗山ダイレクト。赤線が今回のトラックレコード。

ところで10月8日に南面岩壁のまんなかあたりを登るつもりで、北杜市移住組クライマーのエリサさんと出かけた。下部岩壁のフェース部分を登り、上部岩壁(上段+中段岩壁)の左の稜へとつなげて山頂に至るプランだ。(左は下部フェース登攀中の写真)

この時は連日の山登りで疲れ切って風邪気味。しかも前夜からほとんど食事をしない状態で悪戦苦闘のクライミングをしている最中、一時的に記憶が混濁するというレアな体験をして敗退となった。

今回10月21日は関西系クライマーのアンジーと一緒にどこか登ろうと約束をしていたので、このルートの完成につきあってもらうこととした。

しかし関西から夜行バスで来たアンジーを、朝の新宿でピックアップしたはいいが、中央道の渋滞で登山口についたのは10時過ぎ。
この日は、時間のかかりそうな開拓プランは無理と判断。

馬越峠に向かう林道から見える岩壁が気になり、ではそちらを偵察し、あわよくば登ってしまおうということになった。

その岩壁は馬越峠から天狗山への登山道を歩くと、ちょうど中間くらいの小岩峰の南面にある。馬越峠側から見て天狗山の前衛峰ともいえる岩峰で、こちらも南面に上段、中段、下段とフェースが見える。ちなみに天狗山ダイレクトへのアプローチの際は、この前衛峰を越えた先のコルから南面に踏み跡を辿って下ることになる。

3つの岩場の基部を歩いてみたが、思っていたより規模が小さく、それぞれに1ピッチで終わりそう。しかも傾斜が強く結構ハードなクライミングとなりそう。う~む苦労する割に楽しいラインにはなりそうもないなぁ。

ふと天狗山ダイレクトのほうを見上げると、その右側に天狗山山頂のほうに伸びあがる岩稜がある。稜のすぐ右は樹林の尾根で、なんだか木登りになってしまう可能性も高いけど、見え隠れする岩を拾って登れば面白そうじゃない?なんてのりで、登ってみることにした。

前衛壁の下から見上げる右壁右稜。木に覆われているが岩登りの要素もありそうな予感。
稜の末端はこんな感じ。やはり木に覆われてる。ここから登ってみる。
アンジーのリードでスタート。ここからほぼつるべ(1ピッチごとにリードを交代する登り方)で登る。

すべて樹林の斜面を登ってもいけるが、あえて岩場部分を登っていく。

想像したよりも岩登りらしいところが多い。
振り返ると先ほど偵察してきた前衛壁南面の岩場が見える。
これが右壁。この稜上を登っていく。岩壁の上部と樹林の境目あたりを行くので、この辺からだいぶ高度感がでてきて楽しい。
緩やかなスラブ壁が所々出てくる。難しくはないが分厚いじゅうたんのような苔?に覆われている。足元がふわふわのスラブ登りだ。
だんだん樹林よりも岩場が多くなってくる。すでに相当楽しい気分になっている。
後半は右壁のふちを登っていくのでだいぶ高度感がある。
天狗山ダイレクトがすぐ近くになってきた。大勢登っているのがわかる。
難しくない快適岩稜。下は紅葉がまっさかり。


最後のほうは完全に岩登り。支点も木よりもカムが主流となってくる。
天狗山ダイレクトのクライマーを撮ってみた。
右稜上から、今日偵察してきた3段の岩場を振り返る。

結局10ピッチのクライミングで天狗山ダイレクトの終了点上について終了。踏み跡を辿ればすぐに山頂だ。

木登りでもいいやと登りはじめた岩稜だったが、紅葉をバックにやさしめの岩稜登りとなった。3時間ほどのことのほか楽しいクライミングだった。

こんなルートだから人が登ったような痕跡はないものの、私たちのような篤志家?が登っていないとも限らないねなどと会話しながらの下山となった。

前穂高岳・第二尾根

【雑談】五郎山合宿だ!

3件のコメント

  1. 稲葉春紀

     赤沼様から連絡を頂いたのですが、操作不慣れで消去してしまいました。何やら私が許可するとかの内容だったようなのですが・・。消えてしまった今では、何を返信すればよいのやら。不手際、申し訳なく思います。もとより、人様の為されることに口を挟むつもりは毛頭ありません。

    • gams

      稲葉様

      コメントをいただきありがとうございます。
      稲葉様の開拓された「ひなばすビュー」の投稿(Rock and Snow誌101号)を拝読し、ご挨拶がてらFacebook messengerにてご連絡させていただきました。

      以下にお送りした文章を掲載させていただきます。
      Facebook messengerでももう一度送らせていただきます。

      ーーーーーーーーーーーーーーーー
      はじめまして。
      突然のメッセージ失礼いたします。
      ロクスノで記事拝見しました。
      未開拓なエリアでの素敵なクライミング、そして老いについての考察など共感しながら読ませていただきました。
      実は私も天狗山南面の岩場に興味をもって、何度か足を運んでいます。
      地域研究と題して、私の所属している(と言っても実質私ひとり・・・)山岳巡礼倶楽部という古い山岳会のホームページでまとめ始めています。
      ひなばすビュールートについては、天狗山ダイレクトを開拓されたガイドさんから情報をいただき興味を持っておりましたが、今回のロクスノの記事で詳細を知ることができた次第です。
      誠に勝手ながら稲葉さんのルートについても、山岳巡礼倶楽部のホームページで少し言及させていただいております。
      もしご迷惑でしたら削除いたしますし、内容の間違いなども修正したいと思っております。
      https://clubgams.com/tenguyama/
      ご挨拶まで失礼いたします。

      • 稲葉春紀

         ご配慮いただきありがとうございます。身に余ることであります。私がどうこう申し上げることではなく、ご遠慮いただくこと心苦しいばかりです。どうぞ、天狗山での山行、思う存分楽しんでいただければと思います。
         あまりチェックしないので、返信が今日になってしまいました。失礼いたしました。山への向かい方、共感をもって受け止めさせていただいています。
         これからの山行が、今まで同様に充実したものでありますように。

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