アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

投稿者: gams Page 1 of 13

山岳巡礼倶楽部のサイトを運営している赤沼です。
人手不足につき、登っているのもほぼ赤沼中心です。

黒姫山

夫婦で日帰りできる山歩きコースとしてキープしておいた、黒姫山に行ってきた。

北杜市の家を早朝に出て、7時過ぎに大橋林道コースを歩き出し。
天気が良さそうで期待値大。
静かな山歩きがしたくて平日を狙ったけど、登山口で10人近い団体登山者に鉢合わせしてしまい、一気に抜き去る作戦でぜーぜー言いながら稜線近くまで飛ばす。

快晴で稜線あたりからは槍ヶ岳から白馬あたりまでが一望できた。

西は高妻山。その左に戸隠が案外低く見えている。
北に妙高山。そこから左に火打山、焼山、遠くに雨飾山。2回登った雨飾山フトン菱の岩場が真正面に見えていて嬉しいけど、あれはもう4年前らしい。
ふとん菱をズームで撮ってみた。登った中央稜が白い岩壁のど真ん中に見える。
山頂手前の絶景ポイントで自撮り。
野尻湖を右向こうに見ながら気持ちのよい稜線を歩くと間もなく山頂。
山頂
山頂の祠
下山しながら山頂を振り返る。
紅葉はちょうどピークくらいかな。

下降は古池をまわるコース。沢に出会うともうすぐ古池。

古池に沿った木道。
登山口まではもう一息。
古池の取水路って言うのかな?

新潟・金城山高棚川つばくろ岩

金城山は巻機山の北西約5.5kmほどに位置する1396mの山。
つばくろ岩は金城山から東方向に伸びる登山道のない藪尾根800mほどのところにあるイワキの頭というピーク南面の急峻なスラブ壁で、高差250mほど、幅300mほどにわたって展開している。一言でその特徴を言えば、越後の超マイナーな悪壁。
1970年台ころにあらかわ山の会、江戸川山の会、東京稜行会などによって何本かのルートが登られ情報もまとめられ、あらかわ山の会のホームページには一部公表されていたらしいが、今年2025年に会が解散となりホームページとともに情報もなくなってしまった。

今回のパートナーは野島梨恵さん(ぶなの会)。
今までに甲斐駒ヶ岳摩利支天の岩壁や雨飾山ふとん菱、それに海谷の海老嵓などでクライミングを共にした頼れる相棒。

「自分は草付き泥壁の中で至福を感じる沢屋」と言い切ってるだけあって、まるで呼吸をするように沢を歩き藪をこいでいく。

前穂高の南面で赤沼懸案のリッジルート開拓につきあっていただく予定だったが、天候不順で転進。
梨恵さんは15年も前からつばくろ岩を狙って情報を集めており、何度かこのエリアを訪れてはいたが、まだつばくろ岩本体を特定することもできずにいた。
転進先はここにした。

上の写真に写っているこのあたりがつばくろ岩だったということが、登ってみてはじめてわかった。

実はこのつばくろ岩、赤沼の知り合いでもある山登魂山岳会の鮎、オーブコンビが2009年5月に登り、往復たった6時間で登山口に帰還している。
それを見て昼までには帰るつもりでいたのだが・・・・

5月の残雪を利用してのアプローチとは裏腹別物。
「雪がなくても河原歩きで簡単に行けるだろう」なんて考え、無雪期の越後の沢の悪さを想定していなかったのはそもそも大ポカだった。

雪崩に磨かれた花崗岩系の滝がいくつも続く。
ボルダリングレベルの難しいクライミングで越えたり、延々と草付きと露岩を越えて巻いたりが連続する。
赤沼が登りだした側壁は悪すぎていきづまり、泥クラックに突っ込んだカムを捨てて懸垂しておりたり・・・・
梨恵さんがチョックストン滝を、空身になってカムと泥に打ち込んだハンマーのエイドで越えたり・・・・
垂直の藪をロープクライミングで尾根まであがっての高巻きがあったり・・・・
岩壁の取付き付近まで実に7時間の奮闘的な沢クライミングとなった。

さてどうやら取付き付近にたどりついたようだ。
で、どこ登ればいいんだ?
まわりじゅう垂直の藪と垂直のぬめりまくったルンゼといや~な感じのスラブ壁しか見えん。
しょうがないので↑こいつの右端のほうを登りだしてみる。
いやな態勢でハーケン打ったりしながらようやく岩壁帯にたどりついたけど、簡単に登れそうには見えない。
山登魂の2人はフリーソロであっさり越えてるらしいんだが、これどう見てもロープつけて、ボルト打ちながら奮戦する壁でしょ?
ふと振り返ると、谷の向かい側に気持ちよさそうな、つまり傾斜のゆるいスラブ壁が稜線近くまで続いているじゃあありませんか。
さっさと懸垂でおりて、そちらにトラバース。


いやいや。こんな快適なスラブ壁でしたよ。
これがたぶん山登魂のふたりの登ったS字スラブだろう。

ともあれ楽しい岩登り自体はあっという間におしまい。
これでだいぶ高度は稼げたけどね。

稜線に近づくと傾斜の強い藪漕ぎといやらしい露岩のミックス、つまりとてもとても越後らしい岩壁になってくる。佐梨の岩壁登ったことある人ならどんな感じかわかると思う。
下に向かって生えてるしゃくなげの根をつかんで、ぬめった露岩に足をこすりつけて、ほぼ腕力で身体を持ち上げて行くような、体力の消耗の激しいクライミング。根っこをがっちり持っている限り怖い感じはしないんだけど、間違って落ちたらまあ助からないでしょう。(そういうパートは余裕なくて写真も撮ってないす。)

岩壁部分を抜けて少し傾斜が落ちてくるも、藪漕ぎはかわらず。

もうすぐ稜線。


稜線にでたところのピーク「いわきの頭」。
登山道の通っている金城山までは1キロほどの藪稜線。
暗くなると同時くらいに金城山にたどりつき、あとは嵐となってしまった中、すべりやすい登山道をおりて登山口にたどりついた。14時間ほどの行程となった。

高棚川林道途中0622am-二股0855am-小峠付近1030am-つばくろ岩基部1330pm-イワキ頭1618pm-金城山1744pm-観音山(雲洞)登山口2030pm-タクシー-高棚川林道駐車地2045pm

地蔵岳・離山岩峰群

地蔵岳の北にひときわ目立つ岩峰群がある。
それらの最高峰は地図には離山と記載がある。

鳳凰三山の地蔵岳方面から見ると左手の岩峰が離山(2307m)。
その右手に2峰、3峰、4峰と並んでいる。
ネットで調べると藪岩愛好家やヘビーハイカーなどがたまに登っているようだ。

離山(岩峰群)の位置
アプローチも含めたトラックログ

ここを訪れた人たちの多くは石空川の駐車場をスタートして、北東のやぶ尾根からアプローチし、離山岩峰群を縦走したあと地蔵岳に抜けている。
岩峰たちは主に風化花崗岩の傾斜の強い岩壁で形成されているようで、登山者の多くはその弱点、すなわち急傾斜の木ややぶに覆われた斜面を登り、下降は懸垂下降をまじえて通過している様子。
クライマー視点で訪れたらどこまで遊べるのか?
そんなテーマで登りに行ってみた。

パートナーは石鍋礼くん。
彼が中学生のときからのつきあいなので「少年」と呼んでいるが、もうアラフィフのれっきとしたおじさん。
フリークライミングが得意でエルキャピタンなんかも登っちゃってる。

誰もいない石空川の林道奥にある駐車場にテントを張って前泊。
かなり長い行程となるので、早朝暗いうちに出発した。
先人の記録に倣い、吊り橋を渡ったあたりから離山の北東に伸びる尾根に取付く。
ときおり傾斜の強いところもあるものの、はじめのうちはゆったりとした樹林の尾根。

気持ちのよい森であちらこちらに茸が顔をだしている。
「これ松茸じゃね?」みたいのもあったけど、茸はわからないので素通り。

1914m峰の手前のピークあたりから露岩が出始める。

いよいよ離山。4峰が近づくと、行く手に次々と岩壁が立ちはだかる。
苔むした露岩のフェースと樹林や藪に覆われた急なルンゼで構成される岩場が多い。

複雑な地形を読みつつ岩場を越えて行く。
地形が複雑な分、登るルートの選択肢も多いので、難しくもやさしくも登れるのが楽しい。

いよいよ岩峰群に突入。
ルートの選択肢は減ってくる。
苔むした脆い岩場をおそるおそる登るか、木登りに逃げるか。
我々はもちろん、できる限り岩場を越えて行く作戦。

木登りに逃げるか岩で苦労するか。自分との闘い(笑)がつづく。
ここではいったん正面突破を試みる・・・・が、ハングに行く手をはばまれ・・・・・いったん木登りに逃げ・・・・「あのハングさえ越えれば中央突破の気持ちいいラインになるぞ」と再チャレンジ。
ぼろぼろクラックにねじこんだサイズのあわないカム(カム4個しか持ってこなかった)と、抜けそうな枝に通したスリングでのエイド(人工登攀)で限界ぎりぎりのクライミング。
こんな遊びがつづく。

赤沼が「このフェース、フリーで登れるんじゃね?」とトライするも恐ろしすぎて即敗退。ところがそこをじっと見つめる礼くん。
「これやってみていいすか?」と日ごろ高難度フリークライミングをこなす礼くん。
「もちろん好きなだけやってちょ」と赤沼。
荷揚げ用のバックロープも付けて空身で登る気満々の礼くん。

「でもさ。途中で支点とれないし、落ちたらその下、切れ落ちてるから大きめの怪我しそうだよ。」と赤沼が手前の木から伸びあがってカムを一つ設置。
「さあ、どうぞ!」

しか~し。取付きで岩を触りながらもじもじする礼くん。
「あははは。これが風化花崗岩じゃ!すべてのホールドがはがれるつもりで登りなさい!」と上から目線の赤沼。
そして「やめてもいいよ。左から巻けるよ~」と悪魔のささやき。
「・・・・・やめます。」としょんぼりする礼くん。
ぐわははは。これが脆壁じゃと無駄に鼻の穴をひろげて偉ぶる赤沼。

岩峰のくだりは木登りの反対、木下り?で行くが、木が途切れてきたら即懸垂下降。

離山本峰が近づいてくるにつれ、風化花崗岩の巨石が無造作に置かれたような地形になってくる。
ルートファインディングの重要性が増してくるけど、ほぼ勘と運の世界。

ざらざらに風化したスラブ帯は手掛かりがなくて、下は切れ落ちていたりしてなかなかに怖い。

まわり中こんなフェースに囲まれる。
ルーファイが難しい。

離山本峰は越えて、あとは地蔵岳に向かうだけ。
でもここからが大変だった。
巨石がごろごろしていて、その間はハイマツとシャクナゲの藪に覆われた尾根を究極のルーファイが求められる。
ハイマツのクレバスと巨石の間にはまって身動きつかなくなった礼くんがトランシーバーでアドバイスを求めてきたりもあったけど、だいぶ先まで行ってしまった赤沼は手の出しようもなく「知らんがな」と、ただ彼の自助努力を待つのみ。

藪漕ぎしながら振り返ると登って来た離山の岩峰群。その向こうは北岳かな。

巨石の間をいんぐりもんぐり地蔵岳を目指す。

地蔵岳のオベリスクが見えて来たころはもう暗くなってきちゃったよ。

周り中岩だらけ、やぶだらけ。今日帰れるんかいな?っていう風情の動画。

すでに暗い地蔵岳に到達し、夜を徹して歩き、駐車場に帰還したのはすでに深夜となってしまったわけ。
いや~長かったな~。
一応ツェルトで泊まれる体制はあったけど、北杜市の別荘に行って、風呂入って酒飲みたいし、がんばって20時間も歩いてしまった。

さてこのルート、若くて元気な人たちは10時間ちょっとくらいで踏破してますな。一般的には18時間くらい?
まあ自分たちなら15時間で踏破して、夜早めに別荘で酒飲みだすくらいのつもりだったんだけど・・・・
わけわからんクライミングでつぶした時間3~4時間、実は藪漕ぎが苦手だった礼くんのオーバータイムも考えればまあこんなもんか。
実はアラカン赤沼、20時間も歩けたことでちょっぴり自信つけちゃったりもしたよ。はは。

金峰山・千代の吹上第三岩稜A峰正面壁

金峰山山頂近く、千代の吹上の上を行く稜線登山道から眼下に望まれる独特な姿の岩峰が、3~4つの岩峰から形成される第三岩稜の一番上の岩峰(A峰)だ。

A峰を下(南面)から見上げるとこうなる。
この正面壁を登って、特徴あるチムニーにはさまり、このピークに立ちたい。
ちなみに側壁からこのピークには以前立っている。(下記リンク参照)

そしてようやくこのチムニーから念願のピークによじ登ることができた。
そしてこのクライミングで千代の吹上通いも一段落かな。

今回のパートナーは頼れる兄貴、中尾政樹さん。
B峰のクライミングもご一緒してくれた。

前回は長いアプローチを嫌って、前夜大日小屋に宿泊したが、あまりの臭さ、汚さに辟易して今回は早朝発の日帰りプラン。
砂払いの頭手前から第三ルンゼを下降。左岸に向かってA峰B峰のコルへ。
上の動画はコルからA峰周辺を撮影したもの。

コルから短い懸垂一回で取付きへ。

壁の中央付近のクラックを目指して中尾さん離陸。
「岩が脆くてどれもはがれそうだよ~」などと叫ぶ兄貴。
しかもクラックは節理がちゃんと入っていなくて苦労している様子。(赤沼は木の葉陰でビレイしているので様子がよくわからない)
そして「残置ボルトがあった~」と。
古めのリングボルトらしい。
どうやら誰か登っているみたいですな。
残置ボルトがあるとはいえ、チップが見えるほどの浅打ちで、危険な感じとのこと。
中尾さん「どうせなら登られているラインよりは、まだ登られていないラインから行こう。」と、その浅打ちボルトにそっとテンションをかけながらクライムダウンしてくる。

左よりのラインに向けてやりなおし。
10メートルほど?あがったところで、壁の中央に向けてトラバースとなるが、ロープが浮石を落とすと赤沼直撃の位置だったので、ここでいったんピッチを切ってくれた。

ここからも風化した花崗岩をだましだまし壁の中央部に行き、そのまま上部へ。ちょっとしたリッジをまわりこんで行ったため、赤沼からは様子が見えないがロープは着実に伸びて行き2ピッチ目も終了。

2ピッチ目フォロー中の赤沼

2ピッチ目も脆いところがあって気は使うけど、それほど難しくもなく、割と楽しいクライミングで例のチムニーの真下まで。
そしてこのピッチにも残置ボルトがあった。
ロープピッチとしてはそのままピークアウトできそうだがここで2ピッチ目終了。
最後のおいしいところを赤沼のためにとっておいてくれたみたい。
「最後のピッチ登る?」と言ってくれたけど、「いや今回は中尾さんが最後までやっちゃってくださいよ。こういうワイド系は中尾さんの得意分野だし。」と赤沼。

さっそくワイドクラックにはさまって楽しそうな中尾さん。
最初のこの辺が核心のようだ。
そしてチムニー内は狭すぎてヘルメットが邪魔のようで、脱いで荷揚げ用バックロープでおろしてきた。

中尾さんの身体はどんどん奥へと吸い込まれていき、すぐにピークアウト。
赤沼はせっかくのトップロープなので、核心部は中に入っていんぐりもんぐりするのを避け、レイバックでワイルドに登ってみる。

チムニーにはさまって嬉しい赤沼

ピークに出た~。
最近得意の自撮り棒で記念撮影。

A峰のピークからも少し岩稜がつづくが、面倒なのでロープをはずして樹林ごしに登って行き、途中から岩稜上に。

岩稜を少しあがったところから中尾さんの雄姿を撮影。
この画がほしくてあえて樹林から岩稜のうえに出たわけ。

もう一枚。

さて打ち上げには菊地ガメラ氏も合流して四方山話。
「今日登ったところは未踏だろうと思ってたけど、登られていたみたいですよ。」と赤沼。
「あれだけ目立つ岩場だから結構登られてるんじゃないの?そういえばY野井さんあたりが、ヒマラヤの練習のためにあの辺をだいぶ登ったらしいよ」と山岳界の事情通ガメラ氏。
Y野井さんレベルのクライマーなら、ナチュラルプロテクションで登るだろうし、練習意識なら記録なんかださないだろうし・・・・ということで、この一帯も何度かは登られているんだろうなという印象。
ともあれ、初登攀に興味があってのクライミングでもなく、あまり人に知られない楽しいラインを発掘することができたのがとても嬉しい次第。
第一岩稜、第三岩稜、第四岩稜の主だった(自分に登れそうな)ラインは完結。
第二岩稜、第一フェース、第二フェースは残っているけど、すでにだいぶ登られていて情報もあるので、「ルート発掘」的興味としてはまあ対象外。

そんなわけで千代の吹上通いはいったん卒業かな~。

高尾・小下沢逆沢~景信山

つい一昨日、山巡のじじーズで行った小下沢にすぐまた行くことになった。
自分としては支流をつめて景信山まであがる心づもりだったのだが、じじーズ山行では支流の滝を登っただけで帰ってきてしまったので、リベンジの意味あいもある。どうせやぶ沢だろうと想像はしていたが、それでも自分にとっての空白部を歩くことに意味があるわけで。
パートナーはアカネさん。
音大を出てからウィーンにまで留学した実力派のソプラノ歌手で、大学で音楽関係の教鞭もとっている。
その傍らテレマークから沢登り、クライミングまでをこなすアクティブな女性でもある。
昨年は東京文化会館小ホールで開催された彼女のソロリサイタルで、歌声は堪能させてもらったが、直接会って話をしたことはない。
メッセージのやりとりで一緒にとある岩壁にご一緒しようとなったはいいが、だったら一度くらいは会って酒くらい飲んでおかないとね~・・・・というわけで今回ご一緒することになった。
つまりまたまた「飲み」がメインの沢登り。

狙う支流は北高尾の小下沢コースの林道から分かれて、北から景信山に伸びる沢。並行して登山道?が通っているようだが、沢とは交錯していて源頭部分は状況がわからない。
先週じじーズと大騒ぎしながら登った滝を越えて、その不明部分を通って景信山に登る計画。


飲みの時間から逆算して、朝ゆっくり目に出発。小下沢林道からアプローチ。

2日前にじじーズと登った滝はあっさり越える。
というか、赤沼のリードしたルートは物足りないらしく、あえてやばそうなラインを登って滑ってみたり、遊び登りしてるわ、この人。

滝の上は予想どおりの渓相です。
蜘蛛の巣だらけの藪沢。

赤沼が倒木をひょいとまたいで行くと、
「え?」と、けげんな顔をするアカネさん。
「マムシまたいだよ~」って。
早く言ってよ。
まったく気が付かなかったわ(汗)

並行して伸びて来た道に合流。
ここからしばらくは沢沿いの道(踏み跡程度)を行く。

源頭部は沢を離れて右岸の尾根上のコルを目指す。
短いけど急登。
湿度があって暑いわ。

景信山までは一投足。

登山道を小仏までおりて、一昨日と同じ「味はる」さんには予定どおり開店と同時に飛びこんでしゃべり倒した。
短いながら、普通のクライマーはぜったい嫌がる蜘蛛の巣だらけのやぶ沢~道のない斜面の急登。
それを「いつもの沢のあとの藪漕ぎからしたら楽勝ですよ~」と淡々と話す強めのパートナーひとりゲット。
来月予定しているクライミングが楽しみになってきたぜい。

ところでこの支流。マイナーだし名前なんぞないよね・・・と調べたら、物好きはどこにもいるらしく、登った記録もあった。
これは逆沢という沢だったらしいよ。
高尾のプチバリエーション目指す篤志家にはお薦めです。

山巡じじい会約12回目【高尾・小下沢】

高尾在住クライマーのリエさんから、下山飯に最適な居酒屋を3軒ほど教えてもらった。
その話をすると即座に食いついてくる二階さん。
かくして下山後の飲みから入る山登り。
まあいつもの山巡じじいズの典型パターンです。
さて高尾に下山する山登りっと・・・・
登山道を普通に歩くのは暑すぎるよな~
では涼みがてら沢登りに行きましょう。
そしてこれもリエさんから教わった小下沢。
小下沢は滝も少なく、いわゆるウォーターウォーキングの沢で、沢沿いには林道がずっと平行しているので、水の中を歩いたり林道を歩いたり自由に遊び歩きができるらしい。
支流にはリエさんのつけた踏み跡もあるとのこと。
メンツは箱根あたりでひとり歩きをして休養日になってるわたべさんが不参加で、惣之助さん、二階さんと赤沼の3名。

高尾駅北口から小仏行きのバスで、大下下車。
ここから歩き出します。
飲みだす時間から逆算しつつ歩くルートを決める作戦。

林道の適当なところから沢におります。
平凡な沢なので、飽きたら林道にあがります。

支流をひとつわけると水量はぐっと減ります。

支流に大きめの滝。
「あれ登れんじゃね?」と二階さん。
そして二階さんのザックから20メートルほどのロープがでてきます。
太さ5~6mmですね。細い細い。
赤沼「もしかしてそのロープつけて滝を登れと・・・」
二階さんは誰かのブログでこの滝に目を付け、あわよくば登ろうというつもりでいたらしいす。

支点なんかないし、この細いロープはリードで落ちたら保たないだろうし、つまりは赤沼にロープセッターをやれと、そういうことのようです。

時間的にこの滝登って引き返すことになったので、空身で登ります。

滝の1段目上から撮影

滝は3段20メートルってなところでしょうか。
1段目は小さいけれど、なかなか難しそうです。
でもよく見ると水流の左にホールドも続いているようなので慎重に登ります。

1段目リード終了。左の水線を登った。

1段目を登ってくる二階さん。
あれ?なんかハーネスまで持ってきてたの?私と惣之助さんはロープを腰にブーリン結びで巻き付けてるだけなんですが・・・・?
途中でロープにぐっと体重がかかったように思ったけど、きっと気のせいでしょう。

「二階おまえルートの選び方が悪いよ~」
とか言いつつ得意げに登ってくる惣之助さん。
沢靴でなく普通の運動靴だし。
下又白谷の山巡稜を初登攀して、その時見た菱型岩壁を紹介した往年の名クライマー。後期高齢者になってもまだクライミングいけてますね~。

2段目をフォローする二階さん。なんかすごいシャワークライミングになってます。

2段目を登る二階さん(動画です。音声注意)

2段目を登る惣之助さん。(動画です。音声注意)

3段目も登って3人自撮り。
さてここまではよしとして、実は右岸の巻道を下りるのが核心でした。
かなりやばい感じの踏み跡で、下は滝なんで落ちたらちょっとただではすまない感じ。
念のため立ち木にロープをセットして、赤沼はごぼう(懸垂下降でなくただロープをつかんでおりること)で先行します。
滝の上をトラバースしていく感じで、バランスのとりにくい下降になります。
さて2番手は惣之助さん。
なにせお歳なので、ひやひやしながら見守ります。
と、露岩の上のトラバースポイントで足を滑らせ滝のほうに滑っていきます。
いや、いくらロープがあるとはいえ、後期高齢者の腕力では体重を支えられないだろう。
かなりやばい状況と判断しましたがどうやら身体は振られただけで止まってます。
実は惣之助さんごぼうではなく、肩がらみ懸垂下降の体制で降りてきていたのでした。このびしょ濡れの細いロープで肩がらみなんて。惣之助さんは自分の年齢や能力をわかっていて、あえてその手を使っていたわけですな。やばいクライミングをしながら長生きしてきた人ってこうなんだよなと思いましたよ。さすがです。
この滑落場面も動画に収めてましたが、ここは惣之助さんの名誉のため非公開(笑)。

ただ沢を歩くだけでなく、少しでも滝を登ったことですっかり満足して、ここで宴会開始。もちろんザックからは酒がでてきます。

そして下山宴会は焼き鳥屋の味はる
以前、リエさんの夫、高尾在住のニコちゃんこと野口さんと一度飲んだことのあるお店。
時々店をしめてヒマラヤあたりに行ってしまう山大好き店主さんのお店です。下山飯にはほんと最適。

おいしい焼き鳥を食べながらさんざん飲み散らかしてお開きとなりました。
が、赤沼は酔っ払いすぎて高尾駅に携帯を落とし、東京の最寄り駅についてから高尾までもう一往復することになったのでした・・・・(泣)

山巡じじい会約11回【黒曜石巨大露頭】

今年で設立90周年となる山岳巡礼倶楽部。
そういうわけで(てか、たまたま)、3月の鷹取山につづいて今年2回目の山巡じじい会。
今回のお題は「八ヶ岳に眠る謎の黒曜石巨大露頭」。
発端は2020年の山巡じじい会3回目
わたべさんの発案で探索行を行ったもの。
この時は巨大露頭を特定する有力なヒントをつかんだものの到達できずに終了。
そして2024年、赤沼が再訪
目星をつけた場所の周辺をさんざんうろちょろした挙句に発見し、GPSのトラックログを保存してきた。
そして今回、赤沼のガイドで見学ツアーとなった次第。

暇なはずのじいさん達なのに、日程調整に案外と難航して、なんと7月3連休の初日に八ヶ岳の赤沼宅に集合。当然ながら前夜祭。
左から惣之助さん、二階さん、わたべさん。

さて。前夜はだいぶ飲んだものの早起き老人たちは元気に目覚めて出発。
国道の某所に車を停め、GPSログに従って森に突入。

北八ヶ岳の森。
最高の好天なのに、展望もない森を逍遥するなんてもったいないと思っていたけど、薄日のさしこむ苔の森は最高の癒し空間。涼しいし。

露頭に近づくにつれ赤布や踏み跡が出始める。

小一時間の散策で黒曜石露頭に到着。
件の巨大露頭自体は表面的には黒曜石らしくないが、近づくと黒光りする尖った岩肌が見える。
むしろ周辺に黒曜石らしい岩や石ころが無数にあってそれとわかる。

露頭まわりをうろちょろ。

帰りは前回気が付かなかった踏み跡や赤布を発見し、より平坦なルートで国道に戻ることができた。
散策自体はものの2時間ほどで終わってしまった。
少し観光して時間つぶし、本宴会に突入するか~というところだが、何せ学校が夏休みに入った好天の3連休とあって、観光地はすべてが渋滞。
早く八ヶ岳の家に帰って来たものの、みな昨日の宴会と今日の山歩きで疲れ気味。
ビールを少し飲んだらあとは水飲みながら野菜中心の食事にとどまり、山岳巡礼倶楽部90周年イベントについての打ち合わせなどしつつ夜は更けていった。

月山・山伏修業(体験)の人々

すっかり山にはまってしまった妻とのほぼ月一回ペースの山歩き。
私が妻の要望を聞きながら最適な山を探すスタイルから、最近は妻が勝手にリサーチして山を決めてくるスタイルになってきた。
今月のお題は「月山」。
6月に行った秋田駒ヶ岳が楽しかったせいかまた、東北の高山植物で有名な山シリーズ。
前夜7時間ほどのドライブで登山口へ行って車中泊。月山8合目登山口への県道は冬期閉鎖から開通したばかりだった。朝から登って温泉宿でのんびり休んでから帰るというパターンも定着してきた感じ。
直前に登った人のブログによれば、登山道に雪は残っているがアイゼンはいらないらしい。

午前中の天気がよさそうなので早めに出発。
平日の朝早くから駐車場はなんか騒然としていて、おそろいのヘルメットに沢装備?っぽい体格のよいお兄さんたちのグループがいるかと思えば、白装束の山伏姿の団体もいるぞ。そして警察官が寄ってきて「ここで行方不明になっている人がいるので、情報があったら連絡してください。」と遭難者の特徴なんかの書かれたチラシを受け取った。それはそれはご苦労様。ほんと頭が下がるわ。
つまりヘルメットのグループは警察の捜索隊だったわけですな。

県警のヘリも午前中ずっと飛び回っていたけどこの日は見つからなかったらしい。

ニッコウキスゲの群落の木道からスタート。歩き始めが8合目なんでいきなりの良いとこどり。
朝のうちは天気がよくて鳥海山も遠望できた。

さすがに百名山。道もよく整備されてるね。

標高があがるとそこかしこに雪が残っているが、登山道は大した雪斜面もなく、運動靴で十分歩けるレベル。

高山植物はまさに花盛り。
高山植物初心者のわれわれは事前に「月山でこの時期に見られる花」の写真を集めて、花名とともにプリントして行ったのだが、そのプリントを車に忘れるといういつものやつ。

佛生小屋を過ぎると少し急なところもでてくる。

山頂手前はしばらく雪の上を歩くようになる。

雪の上を行くと、いつの間にか月山頂上への分岐を通りこし、月山神社をまわりこむようにして月山頂上小屋に来てしまった。
月山神社は500円払ってお祓いを受けないと立ち入りできないんだそうで、面倒なのでパス。てか駐車場で会った山伏姿の一行が大勢ここにいて混雑してそうだったのもあったし・・・。

最近われわれの間でブームの山頂カップヌードル。
月山神社を巻いて戻り、月山神社と双子峰みたくなっている山頂へ。こっちは無料。
下山中。すでに「ああチングルマね」とか「またイワカガミか」みたいな感じになってる。

というわけで往路を下山後、湯田川温泉で打ち上げして帰ったわけですが。

ちょっと山伏のお話。

山頂まで前方を件の山伏装束の人々が歩いていて、月山神社でもわらわらしていて、そしてわれわれがランチを終えて通りかかると、彼らは月山小屋でお弁当タイム。
それを外から覗き込んだ妻が「ほぼ全員欧米人よっ!」って。
「そういえばほら貝下手くそだったよね~。」と私。
道中もそのほら貝を聴きながら、「横に行ってパオーンとか叫んだらこっちのが本物ぽく聞こえるかも。」なんて軽くディスりつつ。

この人たちってどんな動機でこんなことしているんだろう?
誰がそういうツアー?を企画してるんだろう?
そもそも本気で修業したいのか、ただ観光的に体験してるだけなのか?
いろいろ気になったんで、帰宅してからGeminiさん(GoogleのAI機能)と相談。ネット情報を網羅的に調べてもらった。最大公約数的な二次的情報をとることに関してはAIってきわめて優秀ですな。

まず山伏とはなんだったのか?から始めてみよう。
質問「中世の山伏の実態について調べてちょうだい」
Deep Researchかけたら報告書膨大すぎ。
抄訳してもらったものをさらに人力で要約すると。

庄内観光サイトの「観光の舞台裏Vol.7 山伏/出羽三山宿坊 養清坊 当主 星野博」という記事だ。

羽黒町で400年以上宿坊を営む星野家に生まれた当主は、山伏としてそれを継ぐものとして育った。紆余曲折を経て彼は「出羽三山の魅力を多くの人に伝えたい」と切望するようになる。
山を鼓舞する目的のために作ったグループはやがて400人ものボランティアを迎え、荒廃した寺を復元、整備したり、かつて多くの月山詣での人々でにぎわった山小屋を復元するなどの活動をはじめた。
そんななかで山伏修業のすばらしさも訴える。
文化を絶やしてはいけないと、星野氏自身が協会長を務める、羽黒町観光協会で山伏修業体験塾なども手掛けている。

アルファベットで「Shugendo」というワードをGoogle検索すると、Wikipediaにつづいてまっさきに羽黒町による山伏トレーニングの案内サイトがヒットする。

こういった資料類を読むにつけ、山伏修業体験を呼びかける側も、それに感応して参加する側にも本気度を感じてきた。

山伏体験塾は外国人ツーリストに特化した観光アミューズメントなどではなく、修験道の文化に感応した人に等しく与えられた機会であり、実際日本人も予約がなかなかとれないほどの盛況ぶりが伺える。
今や山岳信仰という、今は特に根源的な重要性を持つ文化に、日本人よりも海外の人たちがより深く共鳴して、熱心に参加機会を探っているのかな~と、居住まいを正す必要を感じた次第。

月山は想像通りものすごく素敵な山だった。でも有名登山ルートゆえの俗っぽさを感じて、月山周辺はもうこれでいいかな・・・と思っていたのだが、出羽三山もコンプリートしなければかな~?

金峰山・千代の吹上第三岩稜B峰

懸案の第三岩稜B峰に一本のラインを引いてきた。

D峰を登った際にD峰の頭から撮影したB峰。
全3ピッチとなったが、1ピッチ目は写っていない。

第三岩稜についてはほとんど情報がなく、2024年9月に登ったときに概ね4つの岩峰からなることがわかり、上からA, B, C, D峰と仮称した。


2024年9月には一番下のD峰を登っただけで時間切れ。
同年10月にA峰を登った。

A峰(B峰の頭から撮影)は、この特徴的なチムニーを登って頭に出たかったが、向かって右側のルンゼからアプローチした際は下部フェースにルートを見出せず、右側から巻き込むようにしてこの上に立った。

その際残置ボルト一本を確認している。過去に似たようなラインで登った記録があるようだが、われわれが登った際は、残置ボルトのあるルートはとらなかった。一部かぶっているような気もするがはっきりしない。

さてA峰は不本意なラインではあったが、登ってその頭に立った。
D峰も登った。C峰は登攀価値はあまりないと判断。
今回の狙いは最後に残されたB峰。なかなかの大物に見える。

パートナーは中尾政樹さん。
シブリン南壁の初登攀、サトパント北稜の登攀などの実績を持つほか、黒部や瑞牆山などを中心に高難度ルートを多数開拓してきた心強いパートナーだ。赤沼より少しだけ年上のパイセン。
千代の吹上には前から関心を持っていたとのことで、お誘いするとすぐに食いついてきたものの、「アプローチが遠いな~」とか言うし。
なので瑞牆山荘登山口から入山し2時間ほどで到着する大日小屋をベースとして、翌早朝出発するというプランを提案。心の中で、「じいじたちの、のんびりクライミングプラン」と勝手に名付けた。

大日小屋から金峰山方面に2時間弱で砂払の頭。
ここから第三岩稜、第四岩稜の間のルンゼをおりてアプローチする。

第四岩稜のスラブ帯が右に見るあたりから、左手には先日登ったD峰の頭が見えてくる。D峰とC峰のコルに上がろうと思っていたが、露岩が多くて難しそう。
少し上に戻って樹林の斜面をあがっていくとちょうどC峰とB峰のコルに出た。

B峰とC峰の間を懸垂でおりながら、B峰のルートを探る。

歩いても下りられそうなところだが、B峰に見惚れて歩いていて怪我なんぞしてもつまらないので・・・・

中央がD峰の頭。右手前がC峰。D峰を登った際、頭から懸垂下降でC峰側に下りたが、その際の残置支点が途中からよく見えた。
1P目をリード中の赤沼。最後のクラック部分が1P目の核心。
ゼーハー言いながら1P目終了。30mくらい。
1P目フォロー中の中尾さん。
2P目は次のテラスまで。中尾さんリード中。20mくらい。
2P目フォロー中の赤沼。後ろ左がD峰。右がC峰。
2P目ビレイ中の中尾さん。後ろのクラックが3P目。
お天気最高。眺めも最高。
2P目終了点の小ピークからいったんクライムダウンして取付き。

3P目をリード中の赤沼。クラックをひろいながら高度を稼ぐ。
ピーク手前のクラックが難しそうなので、ブッシュ帯に入ったらピッチを切って、一番難しそうな核心部分を頼れる兄貴、中尾さんにまかせる作戦。

ビレー中の中尾さんを振り返る。D峰がだいぶ下方になってきた。

ところがブッシュ内は足場がなく、しょうがないのでそのまま核心のクラックに突っ込む。ロープはすでに30m以上出ていて重いのだが・・・
ブッシュから真上(右)のクラックを登るのが順当と思われたが、中に浮石がたくさんあって、これを落とすとビレーヤー直撃の可能性もあるので、左のクラックへ。
このクラックに移るところがかぶり気味。
フリークライミングにこだわりのない赤沼は即あぶみを取り出してカムエイド2ポイントでクラック内へ。そこから高度感のある気持ちよいクラック登り。このピッチでNo.6も含めて2セットのカムをほぼ使い切り。
でもあまりのロープの重さに終了点についてしばらくは横になってゼーハーゼーハー。
最難関の核心部で50mほどのロープピッチになってしまった。
中尾さんはここもフリーでフォロー。
「カムの回収がうまくいかなくて、1テンションやっちゃった。」とか言ってたけど、ロープが重すぎてビレーしてた赤沼は気が付かず。言わなきゃわかんないのにね。

3P目フォロー中の中尾さん。
3P目終了点。すぐ横がB峰の頭。

B峰の頭からA峰を望む。A峰につなげて、あのバルタン星人のはさみのようなチムニーを登りたかったが、ここで体力も時間もいっぱいいっぱい。
やぶのリッジを歩いて、A峰手前からルンゼ方向に行くと、下降点だった砂払いの頭に戻ることができた。
「この次はA峰を下のフェースから登って、最後のチムニーからA峰の頭に飛び出よう」と話ながら帰途についた。

B峰1ピッチ目終了点で撮影した、周辺の説明動画。

秋田駒ヶ岳&東北遊び歩き

妻の誕生祝いがてら、どこか登っておいしいものを食べてこようという計画。さあどこに行こう。

安達太良山やら黒姫山やらいろいろ考えていたけど、梅雨入りを思わせる不安定な気候でころころと変わる予報のため、行く先が決定できない。
前日の予報では唯一秋田あたりが高気圧に覆われることがわかって、急遽秋田駒ヶ岳まで足を伸ばすことにした。
夕方東京を出て、登山口まで7時間以上のロングドライブ。

コースはどれにしよう?
朝、秋田駒ヶ岳もありかね?とか言ってから仕事に出かけたので、今日家にいた妻は結構リサーチ済み。私はネットで誰かのブログを読んでみた程度。

私「一番軽そうなのは北側8合目小屋の駐車場から行くやつかな?」
妻「そこはまだ道が開通してないみたいよ。南の国見温泉からになるわね。」
私「残雪はどうかな?」
妻「去年の今頃のYou tubeを見たら、ムーミン谷というコースは木道の上をずっと歩いていて、雪の上も少し歩いているみたいだけど、私だけチェーンアイゼンがあればいいくらいかもね。」
私の心の声「ムーミン谷の写真見たら、クライミングによさげな岩峰があるぞ。偵察もしてこれるかもね~」
私「んじゃあ、国見温泉からムーミン谷のルートに入って、男岳の手前から阿弥陀池のほうに峠を越えて、山頂登ってから尾根コースを戻ればいいね。ちょっと長いけど、コースタイムで7時間程度みたい。がんばるか~!」

妻は軽登山靴にチェーンアイゼン持参。私は運動靴。
軽いノリで出発。

想定ルート。国見温泉から尾根をあがって、途中から左に入るのがムーミン谷ルート。男岳の手前から稜線にあがるつもり。

国見温泉の駐車場に午前様で到着。7時間半ほどのドライブだった。
2時間ほど車中で仮眠をとってから出発。
1時間の歩きで比較的なだらかな稜線に出る。これは秋田駒ヶ岳の一角をなす横岳から南西に伸びて来た稜線。
高山植物の多い山らしく、まだ時期は早いようだが道沿いにはそれらしき花々が。われわれお花に詳しくないので、写真を撮ってきてあとでGoogle画像検索で花名を特定する作戦だったが、いまいちわからないのが多いね~。


稜線から田沢湖を望む。
なだらかに横岳に伸びあがる稜線。空も真っ青で気持ちいい~♪

稜線の途中からムーミン谷への分岐。
左から雌岳、男岳、横岳かな。なんかそこそこ雪があるみたいだぞ。


登山道は雪渓に覆われてなくなってますよ。
妻がYou tubeで見た昨年の今頃とは状況がだいぶ違うっぽい。
これじゃあムーミン谷名物のお花はあるわけなし。
今年は残雪が多いのはわかっていたけど、だいぶ軽く考えていたね。はは。

谷の右側はデブリ(雪崩のあと)が残ってます。
小規模のブロック雪崩や落石がたまに落ちてくるので、左よりにルートをとって行く。あまり人も入っていない様子だが、同じようなラインを歩いている足跡が少しだけある。ラインどりから見て山慣れた人でしょうね。

妻もだいぶ慣れてきて、アイゼンなしでもこんなところが歩けるようになってきた。

左のなだらかな稜線から、こちらのムーミン谷にそれてきた。

妻は人生初めてのブロック雪崩と落石を見てビビり気味。

左のピークが男山。その右側の斜面を登るつもりだったけど、雪渓に覆われていて、落石も怖い。妻はこんな雪斜面登りたくないと言うし。


まあ確かに、登ろうと思っていた斜面は少しリスクが高めなので、このままムーミン谷をつめて男岳の向こう側の稜線まで回り込むことにする。

五百羅漢あたりかな?このへんの岩峰が登れるか偵察したかった。ピッチは出ないけど登れないことはなさそう。これを左からまわりこんで稜線目指します。
稜線に這い上がる手前に急な雪の斜面があって、登山道を完全にブロックしてる。雪の横の急斜面から雪の上に乗るあたりが今回のハイライト。
付近はフキノトウが群生してる。

こんなやばいところに来てしまい、妻は怒り出すかな?と思ったら、「なんかアドベンチャーで楽しいね♪」とか喜んでるわ。

ここからすぐ上が稜線。向こうに田沢湖。この稜線から登山道を歩いていくとすぐに男岳。
稜線に出た。
左側の谷(ムーミン谷)から回り込むようにこの稜線にあがってきた。まもなく男岳山頂あたりを登る妻。
男岳山頂から振り返るムーミン谷方面。この辺一帯を含めて秋田駒ヶ岳ということになる。独特の地形ですな。
山頂。天気はよいし、それなりに冒険的だったし、独特の山の雰囲気があったしと妻もここですでに大満足。ほんといい山です。
男岳からはよく整備された登山道。見えているのは阿弥陀池。ここを経由して最初に登って来たなだらかな稜線を下る。左の最高峰男女岳は割愛。もう満足したからどうでもよくなっちゃった。
ここからはよく整備された登山道を下る。ここを往復でもよかったねと言ったら、妻は「今日登って来たところのほうが楽しかった」のだそうで。
歩いてきたルートを振り返る。
花、花、花
のんびりと下る。

7時間ちょっとの山歩きでした。

へたくそなホーホケキョ。
ムーミン谷から稜線にはいあがる手前。急な雪斜面にはばまれた。

この日は秋田在住の友達から教わった水沢温泉泊。
乳頭温泉の手前の静かな温泉街。
お風呂も料理も最高でした。

さてどうしよう?
これから天気が下り坂だから、山はもういいや。
前食べておいしかった米沢牛の店でディナーしたいという妻。
では一日ゆっくりと寄り道しながら米沢までくだることとしよう。

結局歩いたルート
田沢湖ドライブ中
昨日登って来た秋田駒ヶ岳
角館の武家屋敷
この後秋田の友達から薦められた安藤醸造でだしやら、味噌やらを大人買い。
通りすがりの素敵な神社

なんだかとっても不思議で素敵な街、ますだ。

そして米沢焼肉のあとは一気に東京まで帰ってきました。

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