アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

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【山巡じじい会】鷹取山

山巡じじい会は約10回目らしい。
毎度全員が参加しているわけではなく、さらに各自の記憶が曖昧とあって、実際のところが不明なのだ。
前回は高尾山近くの草戸山。
小田原在住のわたべさんには遠かったので、今回はわたべさんにも来やすい鷹取山とした。

二階さん
「あの岩場の公園で、赤沼のクライミング眺めながら芋煮会やろう」

赤沼
「いやなんか最近クライミングは届け出制になってるらしくて面倒くさいわ。それに火気厳禁って張り紙もあるとか。そもそも酔っ払いフリーソロなんぞやってたのは超昔の話ですよ。(やってたんかい!)」

二階さん
「じゃあ草戸山のときと一緒で山歩いてから居酒屋で下山飯(酒)な」

赤沼
「だったらザックに酒いれてきて山頂で一次会やるの禁止ですよっ」

赤沼心の声
「そうは言ってもこのじいさん達絶対酒持ってくるし、なんならガスコンロと肴もでてくるよな、自分もワンカップくらいは持って行こう」

二階さんが得意の嗅覚で追浜あたりで昼飲みの出来る居酒屋情報ゲット。

そういうわけでじいさん達、東逗子駅集合で歩き出します。
雨降ってます。寒いです。
前日までは20度超えの陽気だったのに。
予報では小雨だったけど、土砂降りです。

歩き出しはまだ小雨だった。
神武寺あたりから雨が強まりだし

雨で視界が悪いけど、煙った山の斜面にところどころ桜が色を添えていて風情があります。

神武寺の鐘あたりから土砂降り

神武寺山山頂にて。
左から惣之助さん、わたべさん、二階さん。

雨でぬれた岩場が滑ります。

懐かしの岩場に到着

宴会できるところを探して彷徨います。

あの山頂の展望台で宴会できるかも。

いやだめでしょ。風が強いし、雨も吹き込んでるよ。

公園の東屋に向かったけど先客がいるよ。女性ばかりのグループみたい。
赤沼は女性ばかりの中にじいさん達が乱入して酒飲み始めるなんてあり得ないでしょと思っていたら・・・・じいさん達はさっさとお話して、場所をつめてもらってるし。このじいさん達、妙に人懐っこいところがあるのですよ。

案の定出てくるんだな。ワインボトル2本、ガスコンロ、ビール等々
ホットワインが美味い気候でしたね。

なんだか楽しそうなじいさん達

追浜に向かって下山。桜並木ですね。天気が良かったら人が多くて宴会できなかったかも。

なかなかの桜並木

そして2次会の昼飲み。

赤沼以外の3人はもうすぐ全員が後期高齢者。
この中では赤沼、若手扱いされてます。
なんだか還暦すぎてからいろいろ楽しくなってきたよ。

男社会の猿山の価値観なのかな。
極端にいうと闘いに勝たないと幸せにはならない・・・みたいに刷り込まれた部分があったとして、そこから自由になれる感覚。
グレードとか高さとか、困難とかにこだわらないほうが楽しいって、本当に思えてきた。今頃になってね。
今までだってそうじゃないつもりでいたけど、どこかで人の評価を気にしていたり。

山岳巡礼倶楽部は登攀系の山登りを中心にやってきた会ではあるけど、決して先鋭的なほうではなく、地域研究と称して辺境に通ったり、山の映画を作る部会があったりとユニークな会だったと思ってます。
大学山岳部(当時はばりばりエリートたち)が優勢な頃に設立した下町の山岳会で、自営業や職人など、独立独歩に生きてる人が多かった印象もある。
そんな自由な気風がこのじいさん達にも残っていて、その良さに自分が年とってきてやっと気が付いてきたような気がするのね。
あと何年つづくか知らんけど、10年後の山岳巡礼倶楽部100周年に向けて、ちまちまとやっていきたいな~。

瑞牆山東尾根

寒波襲来で新雪のプチバリエーションを一人、こそこそと登ってきました。

「寒くてつらい冬壁なんぞもういかなくてもいいか・・・」
なんて思い出してからもう10年以上になるかな。
でもがりがり登ることを諦めてみたら、老化(体力の低下)を客観的に見定めつつ、「ルート発掘」ともいうべき無理のないスタイルに、自然と移行してきたようだ。
さてそんななかで今年の最大テーマは、前穂高岳東南面の情報のまったくないリッジのクライミング。
ウォルター・ウエストンやら旧制松本高校山岳部やらの、足跡を辿るクライミング旅をしているうちに見つけたところ。
ここは経験的に素敵なクライミングになるだろうと期待値が高まるところ。

昨年もここを狙っていたんだけど、天気がどうとか、熊がなんだとか・・・結局のところ、体力的な自信のなさがネックとなって言い訳つづけて登れず。

でも全装担いでとはいえ、1泊2日の無雪期登攀。
登り込んで調整のできた身体なら、この年齢でもまだまだ登れるはずだぞ。

というわけで、この何年か妻を相手にやってきたステップアップ登山を自分に課してみることにした。
つまり簡単なところから徐々にグレードアップしていって、目的達成しようというプラン。まあ普通のことなんですけど。
登山はほとんど未経験の妻とは、そのやり方で穂高岳に登頂し、雪山も登り、そしてテント泊登山や沢登りもやってきた。
今度は初心者を導く上から目線の登山ではなく、体力、気力を見定めながらの自分自身のステップアップなのだ~!・・・って挫折を防ぐためにちょっとほら吹いてみましたよ。

初回はどこがいいかな~。
ルートの楽しさよりも長く歩くことが主眼だね。
南相木サーキット(南相木村の村界尾根をすべて歩いて村を一周するプランで、南半分は終了している)でも完成させるか。
そのつもりで北杜市の別荘まで出かけたんだけど、朝起きてみたら一面の銀世界。そういえば寒波来てたっけか。
新雪に覆われた藪尾根は歩きにくいし、楽しくない。
どうせ銀世界ならもっと冬山らしい瑞牆でも行くか!
瑞牆山の東に延びる尾根には岩マークがたくさんついていて、地図には登山道もない。調べてみたら、瑞牆のバリエーションルートとして訪れる人もちょこちょこいるらしい。よし、そこへ行ってみよう。

矢印(赤)が一般登山道のアプローチ&下山ルート
破線が登山道のない東尾根

瑞牆山荘から入山。
豪雪地帯ではないけど、登山道をはずれるので念のために輪かんを持参。
岩場も出てきそうだし、ストックのほかに一応ピッケルも持ってみた。まあいつもの、持ち歩くだけの過剰装備で終わるんじゃないかと想像していたわけです。この時点では。

昨夜未明から降った雪で登山道は覆われている。
しかしまあ、そこは元のトレースがしっかりとついた百名山。
とくにラッセルということもなく、登山靴で快適に歩く。

樹林越しに東尾根あたりも見えて来た。(ピントがあわず見づらいね)

このあたりから登山道をはずれて、樹林の尾根に入るはず。
トレースをはずれて踏み込んでみたら腰まで潜った。こりゃ登山靴のみではきつい。

何年振りに輪かん装着。つけ方を思い出すのに時間がかかった。

ところどころ赤布がある。無雪期ならトレースもありそうだ。

尾根はいったん下り、コルから登り返すと岩場が増えてくる。
こんな岩峰がいくつかあるが、赤布のルートは右に迂回して大きく巻いている。無雪期に岩峰沿いを登ったら面白いかも。

尾根上にはこんな露岩がでてき始める。輪かんのまま越えて行くには結構デリケートなクライミングが求められる。

この辺が核心のようだ。
藪から巻くルートも見つからず。
右端のスラブ壁にお助け固定ロープがあるものの強度的にも、張り方も信頼が置けない。
落ちたら谷底だな。
面倒くさいけど輪かんをはずしてアイゼン装着。
ところどころに生えてるシャクナゲの根っこにピッケルのピックを叩き込みつつ、雪の中のスタンスをアイゼンの爪で探りながらじわじわと進む。
ついにピッケルまで登場してしまった。なんならもう一本アックスがあれば安定して登れたな~。

核心部を越えた。ここから先はまたラッセル&木登りになりそうだ。

上部の岩峰は赤布に従って右側を大きく巻いて行く。
疲れ果てたころ瑞牆山への一般登山道に合流。左に10分もかからず山頂。

顔が疲れ果ててます

山頂はやや曇り気味。

寒波襲来とあって、朝は地吹雪、突然晴れ、そしてまた雪てな天候。
全体的には赤布を追って歩いて行けばそんなにきつい山登りではなかった。でも寒さとこの変わりやすい天候で冬期登攀気分にもひたることができた。
行動時間約7時間半。
これでへばるのは調整の初期段階としては想定内。
一般道を走り下りて、あっというまに登山口におりてきました。
道をはずれてみて、はじめて道のありがたさがわかるな~。

天狗山ダイレクトから

あっこちゃん(中江明子さん)と天狗山。
昨年敗退した下部フェースを登るかと出かけたけど、寒さに負けて転進。天狗山ダイレクト。
(敗退の顛末はこちらに記載してます。)

天狗山南面の岩壁群では唯一、天狗山ダイレクトというルートが知られていて、あとの岩壁はほぼ情報がなかった。
情報の多い既成ルートにだけ人が集まり、あの広大な岩壁群に何もないのがもったいない。
そこに昨年から手を付け始めて、難しすぎずに登れそうなラインを狙って、6本ほど登って来た。(登ったラインの概要はこちら)
今さら一度は登った既成ルート、天狗山ダイレクトになんで行ったかと言うと、単なる宴会前のお茶濁しなんだけど・・・・壁のまんなかを一直線にあがるこのルート、実は自分の作ってきたルートのよき展望台だということがわかった。

東岩稜

いくつかの小さなフェースの連続した岩稜。
やぶ尾根歩き、ときどき岩登りというのんびり楽しめるやさしめのルート。

右壁右稜

天狗山ダイレクトに並行するように山頂に伸びあがる岩稜。
左が切れ落ちてた壁で、右は樹林帯。ちょうどその境目の岩稜を登るやさしく楽しいルート。

そして写真は撮らなかったけど南稜もよく見えた。

どれも山歩き以上、クライミング未満みたいなルートで、「ルート開拓」というよりは「ルート発掘」と言ったほうがしっくりくるようなところ。

最近はこういう山遊びが楽しくて仕方がない。
「情報のないところは怖いところ」ではないと思うよ。
情報がないから、「行って見て」、「自分に登れそうなラインにとりついてみて」、「だめならおりてくればいいんでない?」という遊び方ができるんじゃないかな。

こういうルートは誰かがすでに登っているかもしれないし、「ルート開拓」とか、「初登攀」とかいう言い方にはそぐわない。だから「ルート発掘」なんて言った方がいいのかもと思った。
最初に登ったあと、東岩稜も南稜もこの記録を見て登ってくれた人がいるし、右壁右稜も登りたいという人を案内したりもした。それがとっても嬉しい。

60歳過ぎて、クライミング人生が終わるまでに登れるルートがあと何本あるのかな。そんな想いを抱き始めて、難しいことやかっこいいことがしたいんではなく、いい仲間と「あーでもない、こーでもない」と言いながら、こうやって山と触れ合い、じゃれあって遊びたいんだよね~ということに気が付いた。

開拓とかいうもんじゃなくて、いい遊び場を発掘していきたいな~。

南相木・ずみ岩東尾根

ようやく熊出没情報も減ってきた。
夏の間不安定だった天気もこの何日かよさそう。
よし!例のやつ行っちゃえ!

てなわけで、テント持参で乗鞍界隈で藪漕ぎ・・・のはずが。
山が白いのです。

あれ?もう雪降っちゃった?
霜かもしれんけど。
霜だとしても藪漕ぎしたらずぶぬれだよね。

そういうわけで転進先は前から気になってたずみ岩。

いっつもエクストリームハイカーのブログやらなんやらを種本として、楽し気な岩場見つけたりしては遊んでいるわけですが、そんな「行ってみる」リストに載ってるずみ岩です。
なにげにレベル高いハイカーたちがなぜか岩場が怖くて引き返したとか、そういう記述が多い山です。
西の尾根から行く人が多いようですが、南相木ダム側の東尾根が最短。こっちから行ってみよう。

ご存じ、なぁ~~~~んにもない村、南相木村。
唯一の観光資源?南相木ダムのちょっと手前から歩き出し。(ちなみにとっても大きなロックフィルダム、南相木ダムはすげ~壮観だからぜひ観に行ってください。)

登山道はほぼないので、林道から適当に山腹にとりつきます。

GPS頼りで稜線目指しますが基本、斜面は急です。
紅葉を一気に飛び越えて散ってしまった赤や黄色の落ち葉のラッセル状態で、結構危険な場面が続きます。

稜線はなかなか気持ちがいいぞ。

稜線で自撮り

東の稜線を登って行くとだんだんに岩場っぽくなってきます。

山頂近くはしゃくなげが密生していますが、根本部分が少しだけ刈り払われてます。これにだいぶ助けられながら行くと、露岩に腐ったロープがだらり。

「え?これ行くんかいな?」
だいぶやばいすよ。下は切れ落ちていて、落ちたら助かりそうもないし、手がかりになりそうな木も根っこが浮いてる。そしてぶらさがったロープもぼろいし結び方もあやしい。
よく見ると、このルートはないでしょってのがわかりますな。
ロープと関係ないところが安定して登れまっせ。
なんかかなりやばい人?がルート設定したんかな~。
ハイカーが引き返したのってこのポイントかな?
ルートだと思って行ってしまって、事故が起きたりしないといいのですが。

ずみ岩。近づいてきました。

岩稜歩きも楽しめます。

振り返ると南相木ダム。

ずみ岩のピーク。

ピークでも自撮り。ウインドブレーカーをガムテープで補修してますが、背中はこの間のワイドクラック登りでずたずた。でもまだ使ってるし。買えよな!

話しそれますが、背負ってるのはグレゴリーの高級ザック。
妻とテント泊登山に行くのに、なんでもかんでも背負わされる前提で買ったいいやつで、腰ベルトやらが優秀なんで整備された登山道では最高なんですが・・・
藪はだめです。あっちこっち引っかかって歩きにくいこと。
藪は超シンプルなずだ袋型登攀ザックが一番ですね。

あのやばい岩場を下るのもなんだし、帰りはやぶ尾根をおりて茶屋ノ平なるあたりに。地図では登山道があるはずなんだけど、なぜかいきなり林道が現れる。しかも登山道とは関係のない方向に伸びてる。
林道無視してまたやぶこいで下山完了。

約3時間の楽しい藪&岩歩きでした。

冷山の黒曜石巨大露頭

山巡じじい会による黒曜石の巨大露頭探索行は、メンバーのわたべ氏の発案で始まった。
「なんでも大型バスサイズの巨大露頭が北八ヶ岳にあって、研究者たちはそれを見つけているけど場所を隠しているらしいぞ!」
というわけ。

やじうま根性にもとづくリサーチ(研究者の論文から場所を特定できそうなところを探したり、Google earthで探したり・・・)のうえで冷山周辺を散策した際、案外と簡単に露頭にたどりつけそうなヒントを得てしまった。(そのヒントを上記リンクの投稿に記載したら、それを見てたどり着いた方がいたようなので、なんかそれもいかんな・・・と当該テキストは削除いたしました。)
じじい会のおとぼけハイキングの際は時間切れでたどり着けなかったので、いつかはと思っていた露頭見学山行を今回、実行してみた。

目をつけていた某所より入山。
苔に覆われた北八ヶ岳特有の森歩きが気持ちよい。
時折現れるはいまつやシャクナゲの密集したやぶを避けつつ、いくつかの手掛かりをもとに森林内を徘徊。
ときおり現れる赤やピンクのテープに惑わされたり、以前にこのへんを探索したらしい方のGPSログなどを頼りに迷走のすえ、どうやらたどり着いたようだ。

こんなのがいきなり現れたので、例の巨大露頭なるものは近くにあると感じた。

周辺一帯、黒光りする黒曜石らしきものが顔を出していたり、落ちていたり。

巨大露頭というからには崖のようになっているはず・・・と目星をつけて地形を探るとそれらしき斜面が現れる。

この下は急傾斜に落ちているぞ。

これか?と思ったがバスほどのサイズではない。まあ研究者だって誇張はするかもね~とか思いつつ。

あったわ。10メートルはありそう。これなら大型バスと言ってもよいでしょう。お隣にも少しだけこれより小さいのがある。
ただ普通の苔に覆われた岩にしか見えない。でもところどころ黒光りするものが顔を出しているし、まあこの中が黒曜石なんでしょうね。このまわりにもいっぱい黒光りした岩があることだし。

この大岩の下は気持ちのよい広場になっていて、割れたビンやらキャンプした跡のような感じとかいろいろあって、これがその巨大露頭だと確信する。

なによりもあたりをつけていた場所にぴったりな場所。

探索行は以上でした。
ここからは研究者のつけたらしい踏み跡(と言っても結構とぎれとぎれでルーファイは難しい)を辿って30分ほどで国道に帰ることができた。(つまりこの場所さえわかればものの30分でたどり着ける場所ということですね。)

黒曜石露頭の学術的価値や興味については、素人の語ることではないので控えます。でも調べてみるととても面白い。
興味を持たれましたら、茅野市のHPや日本で唯一とかいう明治大学の黒曜石研究センターのHPをご参照ください。その他検索すると民間研究者もいろいろいるようですよ~。

佐久・天狗山「モフモフスラブ」& 宴会

「モフモフスラブ」は、昨年10月に登った右壁右稜の別名(?)ということになりますかね。これです↓。

モフモフの苔に覆われたこのピッチを登ってみた~いという、(女子だけの山岳会、銀嶺会の)宮田組長のリクエストに答えて、右壁右稜を再登攀することになった次第。まあいわゆる「観光的なクライミング」ってことですかね。

宮田組長に面子今のところ二人だから誰か誘ってもよいよ、と言ったら笹川淳子さん(通称メパンナ)を連れてきた。
「メパンナは一期生だから・・」と宮田組長。

そもそも赤沼とメパンナがFacebookを通じて知り合い、何度か一緒に山に行くうちに私のことを「開拓師匠」とか、「ボロ壁師匠」とか、はては「泥壁師匠」とか呼び始め、謎の師妹関係が生じていたらしく。
ちなみにメパンナは今やドライツーリングの世界で名をはせて、日本代表選手として世界を転戦中。
そしてメパンナ経由で知り合った宮田組長は「二期生」ということになるらしい。いや別に楽しく登っていただけで、何かを指導した覚えもないし・・・

まあそれはともかく。
割と長いおつきあいとなった仲間3人で観光クライミングに出かけたわけ。

さて10月8日(土曜)朝、川上村ナナーズで集合。
赤沼は前日五郎山あたりをうろちょろして、実はすでにお疲れモード。

左から宮田組長、赤沼、メパンナ。

赤沼は2回目なので「全部リードしていいよ」と言うと、二人でじゃんけんしてメパンナから登り始め。
「選手権を控えているので絶対怪我だけはしたくない。」とか言っているわりに泥っぽい壁をさっさと登っていきます。

宮田組長リード中

右壁右稜は有名な「天狗山ダイレクト」の右側にある樹林と接する岩稜で、樹林に逃げればいくらでも逃げられるけど、なるべく岩場の露出部分を登ろうよというルート。終了点は天狗山ダイレクトと同じ。

岩を選べばそれなりに高度感もあります。新緑が眩しい。
モフモフスラブピッチの導入部
以前より苔が白い気はする。苔がすべるが傾斜もさしてないので、難しいクライミングにはなりません。
赤沼はほぼフォロー

そして終了点。そこに腰を下ろす人影。
なんと真帆ちゃんでした。てかクライミング中のトランシーバーに割り込んできて、来ていることはわかっていたんだけど・・・

北杜市で出稼ぎしながらクライミング三昧中の真帆ちゃんは、なんと北杜市での仕事のお昼休みに天狗山山頂まで駆け上がり、終了点で待ち伏せしていた。

真帆ちゃん登場(右端)

そして午後の仕事に間に合わせるべく、山頂で記念撮影のあとさっさと下っていった。20分後には写真入りメッセージがきていたので、それくらいで駆け下りたものと思われる。

そして恒例、北杜市の赤沼家宴会。
あれ?一人増えてる?
宮田組長のお隣は越百小屋の名物のん兵衛女将、タマさん。
宮田組長の人たらし人脈の一人で、赤沼が「一緒に越百小屋行って紹介してくれ」と言っていたのだが、まさかここに連れてくるとは。
そして赤沼はすでに疲労の頂点。しばらく飲み食いしていったん退出。(寝室にね)

宴会場が騒々しくなったなと起きるとまたまた真帆ちゃん登場。
午後の仕事が終わって駆けつけてきた。ちなみに翌日も早朝から仕事。

その後タマさん、メパンナのジャニヲタ会話や、宮田、赤沼のクラリネットーギターデュオ、宮田カラオケ独演会と続き、最後は午前3時に至る女子トークとなったらしい。赤沼は日をまたぐ前に撃沈しておりました。

佐久・天狗山左壁「たまひよルート」開拓

たまひよルート開拓と言ったものの、岩登り要素よりは左壁の弱点を辿ってとりあえず左壁をトレースしたというところ。壁の正面突破はせず、田丸さんが日和ってルートどりしたから「たまひよルート」。

今回のパートナーはYCC (東京ヤングクライマーズクラブ)の家口さんと田丸さん。いつものでこぼこ酒飲みコンビ。

左壁は天狗山南面の岩場群の左端に広がるスラブ壁。

天狗山南面岩壁偵察時の写真
左壁の中心付近を田丸さんリードで離陸

一部垂直部の核心があり、ハーケンを叩き込んで突入するがかなり苦戦気味。節理の甘い岩壁なので灌木があてにならない。なんどか灌木をつかんで身体を上げようとした挙句、灌木が抜けて滑落。5~6メートル落ちてハーケンで停止。
幸い怪我もなかった様子だが、田丸さんこれでちと意地になったか?家口さんと私でルート変更を主張するが、もう一度トライするという
そして同じ場所で2度目の滑落。
「いや~あと3センチで登れたんだ!もう一度!」とか言う田丸さんを問答無用で戻って来させて、ルート変更。

左壁の岩壁基部に沿って右上。ちょっとしたテラスまで灌木、草付き帯をたどっていくと大きなテラス。というかすでにこの時点で壁全体の半分くらいまでの高さに達しているが・・・・
ここから再度、田丸さんリードで取付き。
今度は打って変わって慎重なルート選択で、バンドを2ピッチ左上していき、左壁左稜上に近いテラスに到達。
そして簡単なリッジを登って行くと終了点。
左壁の(おそらくは)初トレースとはなったものの、岩登り要素としては「巻き」に近いかな。

というわけで、田丸さんが日和って登った「たまひよルート」。
でもまあこれで左壁の様子がわかった。左壁はどこを登っても結構難しそうだな。

比志津金山塊・雨竜山

今秋狙っているヒマラヤの某山ソロクライミングの資金調達のため、北杜市で出稼ぎ中&クライミング修業中の斉藤真帆ちゃん。彼女の休日にあわせて3月8日、日帰りで山歩きに出かけた。

中央高速バスで山梨入りして真帆ちゃんの車で拾ってもらう。

男子のたしなみ(?)として運転を代わるが、道路上の雪でなんか若干滑るぞ、この車。コンパクトカーながらスタッドレスは履いているらしいんだが・・・
「中古のスタッドレスだから少しは減ってるかもしれないですけど~」とか言ってる真帆ちゃん。

もともと狙っていたのは西上州の人跡少ない岩稜なんだけど、雪に覆われた林道をかなり奥まで入る必要があり、結局あきらめて転進。転進先はいつもの比志津金山塊。主だったピークは踏んでいるけど、林道から近すぎて登り残した雨竜山。篤志家専門のマイナーピークだが、林道比志海岸寺線の途中、大尾根峠(比志津金山塊の最高峰笠無はここから北上して登れる。)から南下すれば20-30分もあれば着けそうな位置。冬期通行止めで大尾根峠まで入れないことは承知のうえで、みずがき湖側から行けるところまで車であがって歩くプラン。

塩川ダム側の県道23号から林道を1.5kmほど登ったところで倒木があって行き止まり。ここから歩きとする。

上図のスタート地点に車を停めて歩きだす。

林道を歩くつもりだったが、車を停めたところは尾根上になっていてかすかに踏み跡もある。方向的には雨竜山なのでここからいったん谷におりて山腹にとりついてみることにした。

山腹の急斜面から雨竜山に達する尾根を目指す。
土、根っこ、堆積した葉っぱのうえに中途半端に雪がついていて、かなり気を使う登り。結構危険なので、歩きやすさよりも落ちた時の安全度を考えてルート選択。

ようやく尾根に上がる。このまま尾根をあがっていくと少しずつ傾斜が落ちてきて雨竜山に達する。

山頂には一応山名標識があった。

下りは大尾根峠に向かって一気に駆け下る。こちらは北面で雪も適度についているので歩きやすい。正面は八ヶ岳。

佐久・天狗山右壁右稜

天狗山ダイレクトの右に広がる急峻なフェースの、右カンテライン(右稜)を10月21日に登ってきた。天狗山南面の岩場の中では東稜という位置づけになる。

赤線が登攀ライン。すぐ隣の左上していくリッジが天狗山ダイレクト。

天狗山南面岩壁群の偵察の際には、上図の上段岩壁、中段岩壁をまとめて上部岩壁と仮称していた。
しかしその後、3年をかけて「ひなばすビュー」というルートを開拓された方が、Rock and Snow誌の最新号(101号)への投稿で、このように記載されていたので、混乱を避けるためそちらにあわせることにした。(偵察記も後日修正予定)

青線が天狗山ダイレクト。赤線が今回のトラックレコード。

ところで10月8日に南面岩壁のまんなかあたりを登るつもりで、北杜市移住組クライマーのエリサさんと出かけた。下部岩壁のフェース部分を登り、上部岩壁(上段+中段岩壁)の左の稜へとつなげて山頂に至るプランだ。(左は下部フェース登攀中の写真)

この時は連日の山登りで疲れ切って風邪気味。しかも前夜からほとんど食事をしない状態で悪戦苦闘のクライミングをしている最中、一時的に記憶が混濁するというレアな体験をして敗退となった。

今回10月21日は関西系クライマーのアンジーと一緒にどこか登ろうと約束をしていたので、このルートの完成につきあってもらうこととした。

しかし関西から夜行バスで来たアンジーを、朝の新宿でピックアップしたはいいが、中央道の渋滞で登山口についたのは10時過ぎ。
この日は、時間のかかりそうな開拓プランは無理と判断。

馬越峠に向かう林道から見える岩壁が気になり、ではそちらを偵察し、あわよくば登ってしまおうということになった。

その岩壁は馬越峠から天狗山への登山道を歩くと、ちょうど中間くらいの小岩峰の南面にある。馬越峠側から見て天狗山の前衛峰ともいえる岩峰で、こちらも南面に上段、中段、下段とフェースが見える。ちなみに天狗山ダイレクトへのアプローチの際は、この前衛峰を越えた先のコルから南面に踏み跡を辿って下ることになる。

3つの岩場の基部を歩いてみたが、思っていたより規模が小さく、それぞれに1ピッチで終わりそう。しかも傾斜が強く結構ハードなクライミングとなりそう。う~む苦労する割に楽しいラインにはなりそうもないなぁ。

ふと天狗山ダイレクトのほうを見上げると、その右側に天狗山山頂のほうに伸びあがる岩稜がある。稜のすぐ右は樹林の尾根で、なんだか木登りになってしまう可能性も高いけど、見え隠れする岩を拾って登れば面白そうじゃない?なんてのりで、登ってみることにした。

前衛壁の下から見上げる右壁右稜。木に覆われているが岩登りの要素もありそうな予感。
稜の末端はこんな感じ。やはり木に覆われてる。ここから登ってみる。
アンジーのリードでスタート。ここからほぼつるべ(1ピッチごとにリードを交代する登り方)で登る。

すべて樹林の斜面を登ってもいけるが、あえて岩場部分を登っていく。

想像したよりも岩登りらしいところが多い。
振り返ると先ほど偵察してきた前衛壁南面の岩場が見える。
これが右壁。この稜上を登っていく。岩壁の上部と樹林の境目あたりを行くので、この辺からだいぶ高度感がでてきて楽しい。
緩やかなスラブ壁が所々出てくる。難しくはないが分厚いじゅうたんのような苔?に覆われている。足元がふわふわのスラブ登りだ。
だんだん樹林よりも岩場が多くなってくる。すでに相当楽しい気分になっている。
後半は右壁のふちを登っていくのでだいぶ高度感がある。
天狗山ダイレクトがすぐ近くになってきた。大勢登っているのがわかる。
難しくない快適岩稜。下は紅葉がまっさかり。


最後のほうは完全に岩登り。支点も木よりもカムが主流となってくる。
天狗山ダイレクトのクライマーを撮ってみた。
右稜上から、今日偵察してきた3段の岩場を振り返る。

結局10ピッチのクライミングで天狗山ダイレクトの終了点上について終了。踏み跡を辿ればすぐに山頂だ。

木登りでもいいやと登りはじめた岩稜だったが、紅葉をバックにやさしめの岩稜登りとなった。3時間ほどのことのほか楽しいクライミングだった。

こんなルートだから人が登ったような痕跡はないものの、私たちのような篤志家?が登っていないとも限らないねなどと会話しながらの下山となった。

前穂高岳・第二尾根

奥又白池で出会った79歳のオールドクライマーは、前穂三本槍や第一尾根を知っているほどのベテランだったが、第二尾根はさすがに知らなかった。
おそらくは、1930年台に奥又白を城としてきた旧制松本高校山岳部が第二尾根と名付け、信州大学山岳部と変わったあとも、唯一初期の部員だけが知っていた様子が伺える。

奥又白池から真上に伸びる奥又尾根はそのままA沢の左岸の稜を形成し、踏替点を左右に分けた手前のピークで終わる。この尾根の延長線上にあるのが第二尾根だ。つまり奥又尾根を第二尾根の下部であると言い換えることもできる。
第二尾根はA沢側に急峻な側稜を伸ばしつつ、その美しい岩稜は前穂三本槍へと収束していく。
つまり、前穂第二尾根は奥又白池から、前穂高岳山頂すぐ近くの前穂三本槍までほぼ直線的なラインとなる。

先月、前穂高岳第一尾根を登った際、この美しいラインを見て登ろうと決めた。

昨年霞沢岳で楽しいクライミングをしたメンバーで出かけた。
宮田実穂子さんは女子だけの山岳会、銀嶺会の組長。
石鍋礼くんは彼が中学生の頃からのつきあい。今年は仕事が忙しく山にはほとんど行けてない。

9月16日3連休の初日、ゆっくりと奥又白池に入り幕営。
9月17日、まだ暗い中を出発。全装備入ったザックが重い。

A沢に入り、踏替点あたりでやっと明るくなってきた。

踏替点からさらにA沢を登る。
うしろの岩峰は第一尾根第四支稜の頭。コルから右上に伸びるのが第一尾根主稜。

踏替点あたりから第二尾根を望む。
A沢をさらに少し登り、顕著なふたつの側稜(便宜上左稜、右稜と仮称)の間のルンゼに入る。どちらの稜も急峻にA沢に落ち込んでいる。左稜は美しい岩稜。右稜はハイマツと岩のミックス稜。

左稜と右稜間のルンゼをあがる。
チョックストンのところからロープを出して、赤沼リードでクライミング開始。
二つの稜が間近にせまっている。振り返ると対岸の第一尾根が見える。

チョックストーンの上は急なガレ石のルンゼ。途中から右稜のほうにスラブ壁を登って、ハイマツと岩のミックスした右稜に出て1P目終了。

背後には雲海が広がり、遠くに富士山が見える。

2P目(赤沼リード)は右稜のハイマツと岩の露出した境目あたりを登っていく。左に見えているのが左稜の頭。

ルンゼ上部から周囲の地形を赤沼が説明する。
終了点はもう近いなんて言ってるが、そうでもなかった。

主稜に抜ける手前に古いシュリンゲがあった。下降用の支点のように見える。
そういえば松高が雪崩事故を起こしたころ、このあたりを積雪を使って下降したという記述があったが・・・・90年も前の話だから違うよな~などと思いつつ。

開けた第二尾根の主稜にあがって2P目終了。

ここからは草付きと露岩の尾根となり、いったん傾斜が落ちる。

3P目(宮田リード)はルート選び放題。リードの特権?で、目の前の悪そうな露岩帯を登る。前穂三本槍の三本の意味がよくわかった。1番左の岩峰が第二尾根の終了点。

4P目は礼くんリード。やはり目の前の露岩を行くが、途中で草付きのほうに逃げていく。写真映えするスカイラインの岩稜を行けば?って言ったんだけどなぁ・・・(笑)

奥に見えるのは前穂北尾根の四峰。

5P目は赤沼。真正面に近づいてきた最後の岩稜基部までほぼ歩き。

5P目の稜線を振り返る。下の方(左端)に奥又白池がよく見える。右に見えるのが第一尾根の頭。すでにだいぶ下のほうだ。

さあここからが最後の核心部。6P目は赤沼リードで目の前のフェースを登っていく。

6P目、赤沼リードで前穂三本槍にせまっていく。

振り返ると、奥又白池からここまで、尾根が一筋に伸びあがってくる様子がよくわかる。このへんからかなり高度感がでてきて気持ちがよい。

核心部。奥又白全体に声が響きわたるのが気持ちよすぎて、いきなりイタリア歌曲を歌い出す音大出身の宮田さん。動画を撮るからもう一度歌えと言われ、かすれてしまった声でアンコールに応じる。

6P目終了点でビレイする赤沼。

ピラミダルな明神岳が遠くに見える。その白い岩壁が下又白谷奥壁。左手前が第一尾根第一支稜の頭(ウエストンピーク)。

すぐ近くにイワヒバリの巣があるらしい。

7P目赤沼リード。これが最終ピッチとなる。

目の前のフェースを越えて右の終了点に向かう。

7P目フォロー中の礼くん。

フェースを越えると右方の終了点に向かって美しいスラブ壁が伸びていた。

終了点は前穂三本槍の頭。控えめに言って最高のクライミングだった。

「こんな楽しいところ、よく見つけてきますね~」とか言われ、すっかりドヤ顔の赤沼。

前穂高岳山頂は目と鼻の先。

岳沢小屋で第一回打ち上げ。

北杜市の赤沼宅にて本格的な祝宴。

さて前穂高岳第二尾根。
変化に富んでいて、岩も脆くなく、難しすぎず、長大で、最高な景色ななかを前穂高山頂直下の三本槍まで一気につめあげる素敵なクライミングだった。今シーズンのベストクライミングと断言できる出来栄えとなった。
こんな素敵なところを見つけてくるなんてさすが~などと言われながら、「僕はずさないので」と大威張りで夜がふけていくのでありました。

そしてついにこの前穂高岳山頂部に目立つ、3つのピークすべての上に立つことができたのだ~

【メモ】
1P 4級 40m
2P 3級 25m
3P 4級 30m
4P 4級 25m
5P 2級 50m
6P 5級 50m
7P 4級 40m
使用ギア:カム1セット ハーケン2枚(回収)ダブルロープ2本 アルパインぬんちゃく適宜

2023年9月17日
奥又白池発4:00am~A沢踏替点5:30am~取付き6:10am~終了点9:30~前穂高岳山頂1015am~重太郎新道下山~上高地14:00pm

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