このルートを登るのは赤沼にとって3回目。
2013年の7月に登ったのが最初で、当ブログにも記録をだしていますが、あっさりしたものです。
2016年に何人か(たしか6名?)でぞろぞろ登った際は、宴会前にフリーで登れるお気楽ルートとか言って連れて行き、あとからメンバーに「これのどこがお気楽じゃ!いらないとか言ってたあぶみいるし!」と怒られた記憶が。アッコちゃん頭から湯気でてたなぁ。

さて今回。

パートナーは山巡唯一の若手女子、ワイドクラック大好きな斉藤真帆ちゃん。
平日3日間のお休みをとって、前穂高岳でルート開拓の予定でしたが、日本列島は暑すぎて雷雨が怖い、奥又白で熊3頭の目撃情報もでたばかり(親子だよね~)、体調もなんだかな~ということで二人にとってのベース、山梨県北杜市を中心に天気のよさそうなところを登り歩く作戦に切り替え。

初日は唯一晴れマークのついている軽井沢近くの恩賀高岩を目指しましたが、想定通り(?)のヒルにおびえて敗退。

登山口付近で立ち話した地元のお二人が「大丈夫かな~」とか仰ってて、「ヒルですよね。ヒル除けのパウダー持ってきてますんで!」とか言いつつ入山して、ものの10分ほど?で帰ってきてしまった。帰りがけも地元の方は作業中で、若干気まずげに「ヒルすごかったです~」とか叫ぶ真帆ちゃん。

さて2日目。瑞牆方面が天気よさそう。
真帆ちゃんにルート選択をまかせるとワイドクラックでいじめられそうなので、「真帆ちゃんにはものたりないかもしれないけど・・・」と、以前登ったこのルートの写真などを見せると「ここいいですね!行きましょう!」となった。しめしめ。

植樹祭広場の手前から踏み跡を30分程度で取付き。
顕著なオーバーハングを目指します。
ルートはオーバーハングの右の切れ目。ここが洞穴状になっていて内面登攀でハング上に抜けられるので「中央洞穴ルート」となっています。

見た目怖いですよね~
「あれ?こんなやばそうな壁だったっけか?」と内心びびる赤沼。

なぜかハング上から固定ロープがぶらさがってます。

右側の草付きルンゼが正解なのはわかっているのですが、「真帆ちゃんには物足りないだろう」と、あえて左の岩場部分を登ってみます。
岩に穿たれたような穴を使った独特なクライミングでスタート。

あとで聞いた話ではこの紋様が梵字に見えるということで、カンマンボロン見学ハイカーの観光対象になっているとか。

かなり難しくて、あとちょっとでルンゼに合流するかというあたりでギア切れ。ピッチを切って、垂直部のどまんなかで真帆ちゃんを迎えます。

岩にあいた穴をくぐって出てくる真帆ちゃん。

ビレイしながらルートの様子を眺めていてひとつの疑念が。
これ中央洞穴ルートじゃないんじゃない?
以前に登った印象からするとやばすぎるのですよ。どう見ても。

「これルート違いだね!降りよう!」と赤沼。
「いや!見せてもらった写真の通りです!」と真帆ちゃん。

まあ何はともあれ懸垂で草付きルンゼに戻ろう。
少し先に懸垂支点になりそうなボルトがあるので、そのまま真帆ちゃんに行ってもらいます。

ここがだいぶ難しいあぶみトラバースとなり、しかも想定していたボルトは「古すぎて怖い」ということで、さらにルンゼ中央に見えている支点までトラバース。その支点を仲介してルンゼ内のテラスまで真帆ちゃんをロープダウン。

その後、赤沼が支点までトラバースしてから、真帆ちゃんにロープダウンしてもらうという凝ったロープワークでルンゼ内のテラスに無事降り立ちました。
(写真はロープダウンされてる赤沼)

ルンゼの底から上を見上げて「あ、やっぱこれが中央洞穴ルートだな~。それにしてもこんなに難しそうだったかな。」と赤沼。

真帆ちゃん怒ってるよ。
またまたパートナーを怒らす赤沼。
じいじは記憶がやばいし、トポ見ないし、適当なやつだって言ってたぢゃん!

正規ルート?に戻ったものの、この先のフェースも立ってるな~。
ここは真帆ちゃんに行ってもらおう。そうしよう。

このピッチは急なフェースを直上してからいよいよ洞穴内に突入していきます。

洞窟内に突入。
燕がやたらと飛び交う洞穴内。
やばいフェースの後は泥だか燕の糞だかのラッセルどろどろピッチ。
ラッセル汚いし、じいじはいい加減だし・・と心折れかけてる真帆ちゃん。ルートは写真左手のどろクラック?を直上。

泥壁はどうせ赤沼の出番。

泥臭いけどそれほどボロクもなく、ガバホールドも多いので見た目ほど難しくはないのですよ。

チョックストーンを廻り込んでいくといよいよハング直下のテラス。

振り返ってビレイ中の真帆ちゃん
チョックストーンを廻り込んで上のテラスから

見上げるといよいよ大ハング。
このフェースを右上トラバースしながら、小さくあいた穴に向かっていきます。

薄被りのハングを越えたり、ハング下をすこし下りながらトラバースしたりとルートファインディングがものを言います。
高度感たっぷりで楽しいピッチです。

じわりじわりと穴に向かう。

このへんのルートファインディングが難しい。

トラバース中、ビレイヤーを振り返る。

最後は足を突っ張って行くか、左のフェースを行くか。

最後のチムニー部分。真帆ちゃんはフェースを登って来た。

チムニーを抜けたあとワイドクラック少々登るとまたハングにあたる。

ハング左側のフェースを、連打されたボルトを使って人工登攀。

ハング上に出るとフリーになって、ワイドクラックのランアウトピッチ。
これでルートは終了。
カンマンボロンのピークにあがると、大面岩方面にフィックスロープがあって、大面岩とのコルに。
さらにコルから2ピッチの懸垂下降で樹林帯に戻れます。

さて。
今回もお気楽ルートだよといいながら来たわけですが、なんかやたらと難しく感じましたね~。
最初に登ったときの写真を見ると、核心部でも2~3本しかランナーとってないようだし。
今回は同じピッチで、すべての残置支点にランナーかけて、しかもテンションありあり。
ついに11年前の自分にだまされる始末となりました。

じいじはじいじを知る機会とはなりましたがね~

ところで翌日、天狗山に行った帰りにナナーズ川上村店の敷地内にあるクライミング用品の店「ルーフロック」に寄って瑞牆山の岩場のガイドブックを確認すると・・・・このルート出てないぢゃん!今回はじめて登った隣のルートの名前なんかもないかと期待していったのですが、このエリア全体が白紙となっておりました~。
瑞牆の忘れられた白紙地帯なのか?はたまた梵字のある聖地で登ってはいけなかったのか?