東京周辺の登山者にとって「近くの山」高尾山(およびその周辺エリア)は登山をはじめた原点であったり、ときおり息抜きやトレーニングのために訪れる「里山」であったりするかもしれない。
登山初心者や観光客であふれかえる山。
そんなイメージが一般的だろうが、関東ローム層特有の赤土や、小仏層群由来の粘土質の土がむき出しになった滑りやすいところも多く、初心者には案外と歩きにくいところだ。これがこのエリアでの事故の多さの原因の一つになっているとも思われる。
登山者がよく行くのは高尾山そのもの、高尾山から陣馬山への奥高尾山稜、それに北高尾山稜、南高尾山稜あたりだが、それで終わるのはもったいない。
地質的特色や、動植物の多様性はよく知られたところだし、民俗的、歴史的興味のつきないところでもある。

この周辺を深堀りした登山を日帰りでやって、高尾駅あたりで一杯やって帰ってくるような遊び方のできる楽しいフィールドと思える。
「高尾で遊んで酒を飲む作戦」と名付けて気の向くままに進めていこう。(面白いところを見つけたら当ページを随時更新していく予定)

山屋(クライマー?)の習性として、深堀りした山=バリエーション=崖を見つけてクライミング・・・・という発想になりがちなんだが、高尾周辺に目立った岩場はあまりなさそう。
となるとまずは沢を歩いてみようか。
登って楽しそうな滝でもあればめっけもの。
さてどこから手を付けようか?
高尾山を中心とした沢はすべて多摩川水系か相模川水系となり沢の数は無数ともいえる。
そのなかで、沢登りの対象として検索をすると、まずひっかかってくるのが小下沢というところ。

<小下沢(木下沢)>


高尾駅から南浅川沿いの旧甲州街道を西へ3.5キロほどのところからはじまり、奥高尾山稜(南)と北高尾山稜(北)の間を、源頭の堂所山周辺に至る沢。
小下沢とも木下沢とも書き、こげさわと読む。
沢沿いに林道が伸びており、途中から登山道となって関場峠に至る。
ここから右に北高尾山稜の縦走道、左に堂所山への道が分岐する。
小下沢の支流も南北の山稜に何本か突き上げており、支流の一つに沿った登山道から景信山に登ることもできる。
この沢自体は超初心者向け沢登り体験コースといった趣で知られているようだ。
珍しい蝶がいるらしく、採取用の網を持った人もたまに見かけるほか、スミレをはじめとする多様な植生に興味のある人、有名な木下沢梅林を訪れる人も多い。
またトレールランニングのコースとしても知られているようだ。
やるならまずは滝探しがてら支流でもつめてみるか。
ちなみに高尾在住の友人はこの辺の支流のほとんどに踏み跡をつけているらしい。

2025年8月 山巡じじい会で支流の滝を登った。

2025年8月 同じ滝を再登し、景信山まで沢(逆沢)をつめた。

<底沢>

こちらは相模川水系。
登攀価値のある滝があるとしたらここかな?と地形図を眺めていたら不思議な地形を見つけたので行ってみた。

2025年11月 底沢の謎はまだ謎なんだぞ探検隊

2.登山道のない尾根歩き

● 大久保山コース

小下沢から景信山への登山道をたどり、登山道表記のない景信山の東の尾根を下って小下沢出会いに戻ってみた。
登山道表記はないが、予想通りしっかりとした踏み跡のついた楽しい尾根道だった。
高尾山の北の比較的静かな一帯は裏高尾とも言われているらしい。
裏高尾・景信山東尾根(または大保山コース)

● 恩方アルプス(千手尾根)

北高尾山稜の陣馬街道をはさんだ北側対岸の山脈は恩方アルプス、あるいは千手尾根と呼ばれている。
高尾周辺のバリエーションルートの記録を探っていたら「弾左衛門の峰」というちょっと気になる山名を見つけた。
調べると、弾左衛門は江戸のエタ頭として世襲されていた職名のようなものだったらしい。それと弾左衛門の峰と何か関係が?
そんなことを調べはじめてみると、八王子から陣馬街道にかけての歴史的な特異性というか重要度?のようなものが見えてきた。
恩方アルプスには山の民ともいうようなある種の職業集団がいた?
そんなこんなで恩方アルプスを縦走して弾左衛門の峰を目指したが、今のところまだ山頂にはいたらず、恩方アルプスの踏み跡をつないでの縦走に終わっている。今後の踏査が楽しみなところ。

2026年4月 恩方アルプス縦走の記録

3.八王子城跡

八王子城は北条氏の拠点となった小田原城の支城。
陣馬街道の入り口付近に城跡が復元されている。
落城の際、多くの家臣や家族たちがそこで自害し身を投げたという御主殿の滝というのがある。
滝というからには登らねば・・・・というクライマー魂で訪れてみた。ただし登るならどうもスピリチュアル系の核心があるやもしれぬ。
まずは礼をつくして八王子城跡から北高尾山稜に向かい、八王子城の守り神といわれた八王子神社を参拝。北高尾山稜を少し縦走して御主殿の滝へと向かう山旅を実行した。

2025年11月 八王子城御主殿の滝偵察行

(つづく)