アルパインクライミング・沢登り・フリークライミング・地域研究などジャンルを問わず活動する山岳会

月: 2023年6月

金峰山・千代の吹上第四岩稜~白い尖峰

垂直の木登りで岩稜上のコルに這いあがると、目の前に真っ白な花崗岩の垂直のピナクルが立ちはだかった。
ピナクルに向かって灌木交じりのフェースを越えると、ロープを引くリードの長友さんはピナクルを左に回り込んで視界から消えた。
ロープの動きが止まる。やがて間欠的に聞こえる咆哮のたびに、じりじりとロープが伸びて行く。
いったいどんなやばいピッチなんだ?

そこは、花崗岩スラブのトラバースポイントだった。

傾斜はそれほどでもないのだが、表面が風化してザラザラとなっており、手がかり足がかりともに掘り出して探すような感じ。当然あまりまともなプロテクションはとれない。

ここでアドレナリンの出まくった長友さんは、帰りの車中に及ぶまで「ぼくすごかったよね」アピールを続けることになるのだが・・・・まあ実際やばかったし、かなり気合の入ったクライミングだったし、こういう気分になれる時ってクライミング人生における貴重な時間だったりしますね。

稜線の登山道から見下ろす千代の吹上の一部

千代の吹上というのは、金峰山の山頂すぐ近くの稜線から150m-200m規模で切れ落ちる金峰山最大の岩場。
1980年前後にその一部がRCC神奈川等のクライマーたちによって開拓されたが、その内容は日本登山大系で概要がわかるにとどまる。ネットで検索をしてみても登った記録はほぼなく、これまた「行って、見て、登る」クライミングと言える。この岩場について日本登山大系で執筆したRCC神奈川のクライマーたちとは当時おつきあいがあったという縁もあり、いつかは登ってみたい岩場の一つとしてリストアップしていた。今回ようやく足跡を残すことができたのだ。

早朝4時半に大弛峠の駐車場を出発し、金峰山を越え、岩場を偵察しながらうろちょろして、登攀を開始したのがもう9時前。このアプローチの長さも岩場がほとんど手つかずになった理由の一つだろう。
ちなみに千代の吹上は第一~第四の4つの岩稜とその間のフェースからなる岩場と紹介されているが、実際に行ってみるといくつものリッジやフェースが複雑に交錯していて、それぞれの岩稜を特定することが非常に難しかった。第二岩稜と第三岩稜の間のルンゼを歩いて下り、未踏の第三岩稜に取付いたつもりで登っていたのだが、あとでどうやら第四岩稜を登ったらしいとわかった次第。

金峰山への登山道で稜線に至ると広大な山並みと雲海が広がる。遠くに浅間山の噴煙がくっきりと見える。
実際に岩場に沿って下ってみると思った以上のスケールがあることがわかる。

さて長友さんが咆哮して登った2ピッチ目を終えると、目の前には典型的な花崗岩のスラブが広がった。

3P目のスラブ壁

今度は赤沼がリード。ここも風化が激しく、どこもがザラザラしていて手がかり足がかりはすぐにぐずぐずと崩れる状態。でもやっぱ登るなら真ん中だよね~と取付いてみる。見た目よりかなり難しくしかも上部に向かって傾斜が増してくる。
ノープロテクションで一気に超えるつもりだったが、リスク高すぎと判断してボルトを埋めることにする。穿孔作業に入るがなんとものの1分ほどで十分な大きさの穴があいてしまった・・・・こ、これはやばいかも。
とりあえずRCCボルトを埋め込むが、なぜかボルトがくるくるまわるのよね~。ボルトのエクスパンション機能は十分に働いたらしく、くさびが根本まで刺さった状態のボルトが手で抜けてきたよ???
つまり岩がボロすぎて穿孔作業の間にまわりを崩して、規定サイズ以上の穴があいてしまったらしい。
もう一本ボルトを打ってみたがまったく同じ状態。
あはは。これはやばいね~さすがに想定外だよ。
そんなわけでぐるぐるまわるボルトを梃子としてそーっと荷重をかけながらクライムダウン。もう落ちても大丈夫だろうというあたりで、近くに見える大きめのスタンス(足がかり)に飛びついてみた。案の定ぐずぐずに崩れて落ちた。ついでにボルトもきれいに抜けた。そのまま両足制動で停止。
それを間近に見ていた長友さんは相当にどきどきしていたらしいよ。

心を入れ替えて、右の節理のある方のラインからこのピッチはクリア。
登りながら右手に見えるこの岩稜が第三岩稜の下部あたりかな。かなり難しそう。これで風化してたら手が出ないかも。
4P目はさらに続くスラブ壁。

幸い3P目よりは傾斜が弱いし、風化も少なそうに見える。この先に見えてる顕著な岩塔のほうに向かって岩稜は伸びているようだ。

長友さんリードの順番。実際岩も少し硬くなり、長友さんの大好きなすたこらスラブに近い。これぞわれわれの求めていた難しすぎない快適な岩稜って~ピッチでした。いやあ楽しい楽しい。

4P目終了点でビレイする長友さん。先に見えるのが終了点あたりの岩塔。

ここからはいったん樹林の岩稜となり、ロープをつけたまま4Pほど行くと、先のほうに見えていた岩塔の取付き。

正確には岩稜がいったん藪に消え、このガレ場をはさんで岩塔が立っている。
この岩塔だけでも2~3Pは出るかというサイズ(写真は先端部分のみ)。ほぼ垂直で、クラックをつなげれば登れるかな~・・・・という気持ちにならん。だって過去最悪に近い脆さを更新したばっかりだし。

でもこの先端には立ちたいな~というわけで、一番隅っこの短かそうなラインを選んでチャレンジ。

それにしてもちょっと面白いラインで、チムニーに巨大なチョックストーンが縦に2つ引っかかってる、その間を登っていくことになる。
上のチョックストーンに乗ったところ。
この辺が核心。テクニカルでなかなか楽しいクライミングだ。

このピッチにはなんと残置ハーケンを一本発見。

岩塔の上に立つ。ちなみに手前の岩はぐらんぐらんと動くのだ。押せば落ちるなこりゃ。


岩塔のすみっこにクライムダウンできる場所を発見し、第四岩稜に戻る。

あとはハイマツとしゃくなげに覆われた岩稜を歩いて登山道へ。体力的にはここが一番つらかった。長いんだもん。

第二岩稜、第三岩稜方面を見下ろす。
動物のねぐららしき洞穴。かなり快適そうね。
登山道に戻ってきた。でもここから稜線登山道を通って駐車場までまだ3時間の歩き。
千代の吹上はガスの中。
長い歩きは淡々、粛々と。

さてと。
ヘルメットもクライミングギアも全部ザックにしまって、われわれどう見ても二人連れハイカーのおっさん達なんですが・・・・

(行き帰りに2回登った長友さん。この写真は行きのやつ。)


よせばいいのに、「五丈岩の上に立ってみたかったんです♪」と長友さん。
運動靴でひょひょいのひょいと登って、ひょいひょいと下りてきた。
それを見ていたハイカーのカップル。男子のほうがその気になって登りだしちゃったよ。ほら言わんこっちゃない。
長友さんは責任をとって、いざというときのために見守り、赤沼はさっさと下山。
結局登りだした彼、だいぶ行きつ戻りつしたあげく、下りてきてくれたそうで、長友さんも追いついてきた。

あとで日本登山大系を読み込んだり、トラックログを見たりして、登ったのは第四岩稜であり、最後にてっぺんに立った岩塔は「白い尖峰」と言われているものだろうとなった。
グレードについては脆さやプロテクションの難しさなどを加味するわけにもいかないし、つけても無駄だろうという結論。あえて言えば岩場部分は3~6級の間ってところ。最初の木登りであぶみも使ったのでA1もついちゃうのかな?

なかで歩いた4Pを入れて全9P。やぶこぎも入れれば200-300mはあろうかという大登攀でした。

トラックログ。稜線から右側ラインがアプローチ。左のラインが第四岩稜~白い尖塔~稜線

佐久・天狗山「なんやこれルート」

先週、偵察してきた天狗山の岩壁に、一本のラインを引いてきた。
ほかの山行が流れてたまたま偵察に同行することになった、銀嶺会の宮田組長。すっかりこの岩壁に魅せられて(?)、本当は谷川岳あたりでクライミングのはずが、パートナーを巻き込んでの参戦。巻き込まれたのはアンジー(ばりばりの関西系日本人)。彼女とは一度宴会を共にしている。いわゆる人たらし宮田人脈のひとり。いつもニコニコ明るく爽やか笑顔なアルパインクライマー。銀嶺会にも最近入ったらしい。

さらにさらに、八ヶ岳のわが家のご近所さんたち、エリサさんと、バンさんチームが加わって2パーティーでの山行となった。このふたりは山が好きすぎてこの地に来た移住組。バンさんとは今回が初対面。ふたりとも人たらしの大御所、寺沢ネコ人脈でもある。

左から宮田、赤沼、アンジー、バン、エリサ(敬称略)。
登山口でファイトコール・・・のまね。
さあスタート。

エリサ、バンチームはボルト、ハーケン等、行き詰ったときの逃亡キットをもっていないので、天狗山ダイレクトに行くと言っていたが、「まあ様子見て登れそうなところがあれば登ってしまえば?」とそそのかし、下部岩壁まで同行。
登山道で山頂を越え、少しおりたところから南面に下りて行く。ここは偵察の成果でまあまあスムースに下部岩壁に。
あらためて見ると下部岩壁は灌木も多く、すっきりしない印象。
下部岩壁の左稜、または左壁あたりのすっきりしたところを登るか~と岩場の基部に沿って左にトラバース。
でも、昨日の雨のせいかあんまり印象よくないんだよな。泥に足をとられて赤沼は二回もこけるし。

比較的岩の露出の多そうなところからスタートとする。あとでトラックログを見たらどうやら左壁の左稜あたりに取付いていたようだ。

一方エリサ、バンチームはここから引き返し下部岩壁を登ってみることに。

今回のトラックレコード。
天狗山南面を登ったつもりが、どこも傾斜きつくどろどろで、左に逃げて行った結果、左壁の左稜あたりから取付き、男山方面の尾根(登山道あるところ)の側壁あたりを登ったらしい。

岩壁基部をうろちょろ。昨日の雨でじと~っとしていて、よく滑る。さわやかな壁を求めてどんどん左へトラバース。

もうここ登るか!と離陸。壁はじとっと濡れてて、岩の組成も思っていたより脆い。泥に足をこすりつけながら高度を稼ぐ。
左上の立ち木のテラスを目指すのだ。
1P目終了点でビレイ中。
1P目終了点の宮田さん

この上は垂直悪絶フェース。一部人工を交えて垂直部を越えれば行けないこともないが、かなりのハードワークになるのはたしか。難しすぎないルート開拓を標榜するわれわれ向きではないな。

1P目終了点から真上の悪絶フェースを見上げてなぜか笑う二人

悪絶フェースは避けて左にトラバース。
左壁をさらにまわりこんだあたりでフェースに取付く。

2P目。組成が脆く外傾。昨日の雨で足場もどろどろ。

実はこのフェースの左側に灌木のルンゼがあり、そこに逃げれば苦労はしても安全に登れるのだが、ここまででも結構逃げのルートとなっているので、気持ちを奮い起こしてフェース部分を行く。
小さめのホールドの連なりを探しながら、右へ左へと弱点を拾ってルートを伸ばす。カムは小さいのがたまに使える程度。あとは気休めの小灌木とハーケン。ハーケンは2本打って、1本は回収できず残置。
技術的にはこのピッチが最難だった。

2P目をフォローしてくるアンジー。右に見えるスカイラインが左壁左稜かと思われる。

ところで、このピッチのリード中、苦しい態勢でハーケンを打っているあたりでエリサ、バンチームから電話がかかってきた。もちろん出られず2P目終了点から折り返すと、下部岩壁にトライしたが、ボルト、ハーケンなしでは支点がうまくとれず、下降して天狗山ダイレクトに向かったとのこと。あとで聞いたら天狗山ダイレクトから、われわれのハーケンを打つ音が聞こえたそうな。

さて最終となる3P目はこの壁。この写真はリードが終わったあと、アンジーをビレイする宮田さんを少し離れた岩峰上から撮影したもの。

二つのフェースにはさまれたルンゼの灌木で支点をとりつつ、右の壁を登ったり、左の壁を登ったり、ルンゼ内で垂直の木登りをしたり。

終了点で宮田さんを迎える。終了点で登山道に合流する。

宮田さんにとってはこういうクライミングになることは想定内。

アンジーも間もなく終了点

実はこのピッチをリードしながら、こんな泥臭いクライミングになってしまって、開拓クライミングがはじめてのアンジーに呆れられてしまうかな~と心配していたのだが・・・・

アンジーは「なんやこれ?なんやこれ?」と心のなかで呟きながらも、自然と笑いがこみあげてきて、幸せに登ってきたのだそうな。

というわけで、このルートは「なんやこれルート」となった次第。

ルートは合計3P。壁のコンディションが悪かったのもあって、逃げて逃げて、想定よりかなり左のほうを登ることになった。

使ったのはダブルロープ2本、カム小さめ数回、ハーケン2枚(1枚残置)、シュリンゲ多め

2023年6月10日のクライミング
取付き9時半~終了点12時半

山頂をもう一度越えて登山口へ。
そしてまだ明るい午後4時から宴会スタート。途中からまほちゃんも合流。

まほちゃんは山に近いこの地で働き、単身ネパールに行って山に登り、帰ってきたばかり。またしばらくはご近所で働くそうな。

さておじさんは10時半でダウン・・・したものの宴会時間はクライミングより長いね。そして女子チームは0時過ぎまで女子トークをしていたそうで。元気だね。

天狗山南面岩壁の偵察報告

天狗山南面はいくつものスラブ壁、リッジなどが交錯して複雑な地形を形成している。この中でクライミングガイドが開拓、整備した「天狗山ダイレクト」のみが頻繁に登られている。それ以外はネット情報を検索した限りでは情報が皆無なので、クライミング可能性を求めて偵察行をおこなった。

岩場構成について

天狗山南面を構成する岩壁群は複雑に入り組んでおり、それぞれの境界も明確ではないが、おおむね以下の岩壁群となる。(岩壁名は便宜上の仮称)

  • 天狗山ダイレクト
    天狗山山頂下の「上部岩壁群」から東南方向に伸びる岩尾根。人気ルート天狗山ダイレクトはこの尾根に沿って登り、途中いくつかのフェースを越える。
  • 天狗山ダイレクト側壁
    天狗山ダイレクトの南面の側壁群。地形が複雑でどこまでが側壁で、どこからが上部岩壁とは分類しにくい。いくつか支尾根状のリッジもあるようだ。登れそうなラインはいくつかあるが、下から見た限りではルートの状態予測が難しい。おそらく1ピッチ程度で天狗山ダイレクトに出るルートが多くなるように思われる。
  • 右壁
    天狗山ダイレクトの上部から右側に展開する岩壁群が、天狗山から東に延びる稜線(登山道)に沿って展開。急峻だが規模が小さい。
  • 上部岩壁
    山頂直下に展開する急峻なスラブ壁。天狗山ダイレクトの最終ピッチあたりでこの壁の右端あたりを登る。天狗山ダイレクトを開拓したクライミングガイドの佐藤勇介氏によると、上部岩壁にはひなばすビューという5ピッチ110mのルートがあるらしい。(天狗山ダイレクトの途中に木の札に書かれた情報があるとのことだが、誰が登ったかなどの詳細は不明とのこと)。垂直のスラブ壁左よりあたりを登っているように見える。
    上部岩壁の左端はリッジとなっており、比較的容易に登れそうに見える。
    下図は佐藤氏からいただいたひなばすビューの案内。天狗山ダイレクトを登っていくと、上部岩壁の部分を登る手前あたりにかかっている様子。
  • 下部岩壁
    上部岩壁の左稜取付きの下方に展開するスラブ壁で、左右の岩稜にはさまれた岩壁。左稜のさらに左にもスラブ壁があり、そのまま左壁とつながっている。左右の岩稜が比較的容易に登れそうに見える。その間のスラブ壁も弱点を選べばフリーで登れるかもしれない。
  • 左壁
    下部岩壁の左方に展開する岩壁で、2~3本の岩稜と急傾斜なスラブ壁からなる。案外と規模が大きく、登攀対象としても面白そうに見える。右方はそのまま下部岩壁へと連なる。終了点は天狗山から男山に向かう稜線の登山道のすぐ下あたりとなる。
  • 村境尾根側壁
    天狗山から左壁の終了点あたりを越え、男山に向かう稜線登山道の南側側壁にあたる岩壁が横に長く展開する。急峻だが高度差は大きくない。

各岩場の写真

偵察時のトラックレコード。

たった一回の偵察で岩場概念もよくわからない状態でやみくもに撮影してきたもの。GPSのトラックレコードの時間と、写真の時間情報を照合しながらどの岩場かを推定しているので、間違いもあるかと思う。雰囲気が伝わればよしということで。

馬越峠から天狗山への稜線を歩き、天狗山ダイレクト取付きへの下降路付近から見た天狗山ダイレクトの尾根。まずはここから天狗山ダイレクト取付きを目指す。正規の踏み跡より右寄りに岩壁を眺めながらのアプローチ。ちゃんと見ていないがクライミング対象となりそうな岩場は見られなかった。
天狗山ダイレクトの取付き。ここを左にまわりこんで偵察行は進む。この1ピッチ目は左にまわりこんで巻かれる場合もあるそう。
天狗山ダイレクトをまわりこむとすぐに側壁が眼前に。
ダイレクト側壁に沿って少しあがったあたりから撮影。左方に見えるリッジを撮ったもののようだ。下部岩壁のリッジ?
下部岩壁か?
天狗山ダイレクト側壁
天狗山ダイレクト側壁~上部岩壁の一部?
天狗山ダイレクト側壁したから上部岩壁方向を見上げる
天狗山ダイレクト側壁。この壁が上部岩壁につながるようにも見える。
沢のちょうど奥壁になるので、天狗山ダイレクト側壁か、上部岩壁の一部かいまいち判然としない。奥壁は青白いかぶり気味のフェースだが岩質は悪くない。
このあたりのフェースの弱点かと思い撮影。これを登ったら天狗山ダイレクトに出るのか、上部岩壁につながるのか・・・
上部岩壁の左稜
上部岩壁を見上げる
上部岩壁左稜?
下部岩壁終了点付近から左壁方向を見下ろす
上部岩壁左稜取付き付近
左壁上から男山方向
登山道(天狗山から男山に向かい、村境を越えるあたり)から見た、左壁のスカイライン(左稜?)
左壁のスカイライン。手前に村境尾根側壁が見える。
村境尾根側壁
村境尾根側壁
左壁左稜取付き付近
左壁左稜下部
左壁
左壁の全貌を撮影した動画(下部岩壁と言っているのはたぶん間違いで、左壁)
下部岩壁基部

各岩壁へのアプローチ

ピンクのラインは偵察で歩くことのできたところで、断続的に踏み跡がある。獣道も多いが、人跡も感じられる。おそらく何かの採取で入山した人のものではないか。

天狗山ダイレクト側壁~上部岩壁へのアクセスは、天狗山ダイレクト取付きを経由してあがっていくのが早い。

下部岩壁にアクセスするのは、天狗山の登山道を男山方面に進み、左壁上あたりから東南に入山(踏み跡が断続的にある)。上部岩壁取付きと下部岩壁終了点付近の斜面をまわりこんでいくとすぐに下部岩壁基部に到達できる。

左壁は村境尾根の岩場が終わったあたりから、側壁にそってやぶをこいでいけば早い。

最後にちょっとだけ吠えてみる

2020年の11月に、川上村の奥地にひっそりとたたずむ独立峰、五郎山の岩場に楽しい仲間と一本のルートを拓いてから、2年半ほどで派生ルートも含めると7本のラインが登られた。これで五郎山は一段落。
どれも「(自分にとって)難しすぎず、楽しく登れる」というコンセプトで登った。
未知のエリアでのルート開拓というと、どうしてもアルパインクライミング上級者の遊びと思われてしまうような節があるが、そうじゃなくて、それぞれのレベルに合わせて登れるクライミングのスタイルの一つに過ぎないのだと言いたい。

最低限、身を守る技術を身に着けたら、どこでも行ってみればいいんだと思う。行って、見て、自分のレベルで登れそうなところを登ってみて、だめなら下りてくればいい。最近とみに進化したGPS機器やアプリを持参すれば、自由度、安全度はかなりあがる。だめで敗退するときのためのボルトキットやハーケンだけは常に携帯。そうすれば自由で大らかで、うまくすれば静かで最高のクライミングができるかもしれないのだ。

こんな楽しみ方は、上級クライマーよりも筆者(山岳巡礼倶楽部、赤沼です)のような還暦すぎた元クライマーが、仲間と宴会やるための楽しい口実として登るようなスタイルにこそふさわしいようにも思う。

さて。
なんか楽しくなってきちゃったな~
五郎山の次はどこで遊ばせてもらおうか・・・・となったとき、すぐ思い浮かんだのが天狗山。
五郎山のアプローチでも毎度よく見えている大きな岩場の広がり。
でもなぜか天狗山ダイレクトしかみんな行かないみたいなんだよなぁ。
それで様子を眺めに行ってみた。
登ったら楽しそうなところあるよ、あるよ!
左壁なんてフリーの楽しいルートが何本か引けそうだし、下部岩壁から上部岩壁につなげたらマルチの登山っぽいクライミングもできそうだよ。
すげ~フリーのうまい人だったら上部岩壁とか天狗山ダイレクトの側壁なんかもおすすめ。岩は案外と固いし。

岩場へのアプローチも馬越峠から1時間もあればだいたいOK。

かなり楽しいお遊びフィールドだと思った。

自分だって天狗山ダイレクト以外はまだ登ってもいないのに、偵察結果をこうやって公開するのは同好の仲間がいたら嬉しいから。これ見て勝手に登ってもらっても構わないし、われわれもこれから登れるところは手をつけていくつもり。なんならご一緒もしましょう。

それで登ったら、できれば教えてください。ここの情報も一回ぐるっとまわってみただけのものだから、間違いが多いと思われます。そういうのも教えていただけたら嬉しいです。

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