群馬県南牧村の九十九谷は、特異な岩峰を連ねる西上州にあっても特に異様な雰囲気を醸し出す谷だ。
上底瀬村の黒滝山登山口を起点とすると、九十九谷を経て稜線まで約600m。右岸尾根と左岸尾根の間も600mほど。その小さなエリアのなかに、特徴的なスラブを有するリッジが何本も並んでいる。
この中間をまっすぐ主稜線につきあげている中間尾根を登るルートがゴリラルートらしい。
ちょっと八ヶ岳の家に行く用があって、ついでにこの谷を偵察がてら周辺をハイキングをしようと計画した。
ひとり宴会も寂しいので、暇そうなニコちゃん大魔王、野口さんを誘うと二つ返事でつきあってくれることになった。いちおうガチャ(クライミング道具)も持って行って、遊べそうなところがあったら遊ぶかとなった・・・・と、まあこの時点で登る気まんまんですな。ニコちゃんは肩やら腰やらを壊しているので、くれぐれも無理させないように奥様から釘を刺されていたのだがあっというまに寝返る私。
沢沿いの登山道を進むと、すぐに沢は伏流となり水がなくなる。
おっと水くむの忘れてきた。いったん登山口まで戻る。ついでにロープも忘れてきた。まあいいか。ニコちゃんのロープ一本でやっちまえ・・・って、今回はなんか適当だな~
登山道が沢を離れるところからは沢をまっすぐ。数分歩くと二股となり、この二股の間がどうやらゴリラルートのある中間尾根らしい。
二股の上に岩場が見える。
左股を少し登ったところからアプローチ(一応ロープを出したので、これが1P目)
初登者はこのスラブを30mのランナウトで登ったとか。
今は少し行ったところにリングボルトが一本あり、登ってみるとその手前にもう一本変わり型ハーケンが一本。
おそるおそる登ってみるが、リングボルトの上はたしかに支点がなさそうだ。
しかも傾斜が増してきている。
フリクションは良いものの、立ちこむべき岩の結晶がいつ崩れてもおかしくないこの西上州で、ここに突っ込むのはリスクが高いと判断。
少し右のルンゼ状を登ってみることとした。
1段傾斜の強いフェースを越えさえすればあとは灌木を支点に行けそうだ。
フェース部分にRCCボルトを打ちこんで、微妙なバランスでここを越える。案の定そのあとは問題なくスラブ途中のテラスに到着。
右のルンゼ状からテラスに到着。
3P目。テラスから左上するフェースがいけそうだが、ここも支点に乏しい。
右のカンテをまわりこむと、草付き露岩が岩塔の上に伸びている。ここから岩塔上に。カンテをまわりこむところがいやらしい。
4P目。
5P目は樹林の岩稜をコンテで。
このあたりがゴリラルートの一番楽しいあたり。
少し傾斜の増したリッジ上をあがる。難しくはないが支点もないので慎重に。
8P目。樹林の歩きで最後の岩壁まで。
フェースを超えるとあとは山頂まで樹林と露岩の歩き。
山頂からは九十九谷の周回コースから下山。
周回コースははしごあり、ナイフリッジありでスリル満点のハイキング。
ルートを登っている間ここを歩いている女性が二人いたようで、終始嬌声が聞こえておりました。