2015年7月25日(赤沼ほか1名)

冬の西岳から権現方面を遠望したときに見た特異な岩峰を登ってみることにした。
この八ヶ岳とは思えぬ顕著な雪稜はギボシの西面の岩稜らしい。
ちょっと調べてみるとこの辺一帯は宗教的な巡礼の対象であったようだ。

なかなか訪れるチャンスがなかったが、ようやく偵察のため間近まで登山道をたどったのはもう夏。
観音平から権現に至る道を行く。
青年小屋から少し登るとまずは西ギボシの西面の岩壁が眼前に立ちはだかる。

西ギボシの岩壁群。下の岩峰は急ながら節理が入っているので、登攀対象にはなるか。上部はかなり脆いと思われる。支点のとれない不安定な登攀になるかも。

西ギボシの稜線を超えるとすぐに東ギボシが見える。

西面に2~3本のリッジが落ちているのがわかる。顕著なスカイラインのリッジが鋸の歯のようにぎざぎざに伸びあがってるのが印象的。

偵察の次の週に登攀具を持って再訪した。
登ったのは結局このスカイラインリッジの左となりの、大きなピナクルで終るリッジの側壁。

登山道から岩壁手前のはいまつの尾根とガレ場を降りていくとあっさり取りつきに至る。

右から2本目の岩稜を20メートルほどで、2本の顕著なリッジをわけるルンゼに入る。ルンゼに下部岩稜が出会ったところはかぶり気味でしかもかなり脆い組成。カムを決めようとしたら50センチ程度の岩がはがれてきて、とっさに身をかわしてルンゼ下部に落としたものの足を若干負傷した。

はがれた岩にきめていたカムは当然落ちてしまったので、周囲の脆い岩場にようやく探したリスにハーケンを3本分散打ちしてから、かぶり気味のルンゼ内にフリーで突っ込む。

1段あがったところの上がさらに垂直となっており、ムーブ的にはフリーで越えられそうだが、いかんせん脆さも最高潮で危険極まりないので、ボルト2本を固め打ちしてじわじわと乗越す。

ここから左のリッジに向かって側壁を登って行く。

傾斜はきついがカムもそこそこ使えて、気持ちのよい登攀20メートルでリッジ上に出る。

ここからリッジを少し登るとピナクルにあたるが、下部はかぶっておりかなり難しいフリークライミングとなりそうなのと、先が見えないのとで、ルンゼのほうにトラバース気味に下降。

このままルンゼの上部を行くとすぐに東ギボシの山頂となった。