私にとってもっとも思い入れの強い山、穂高岳に登山初心者の妻とともに登ろう。
穂高に登るために必要な要素をひとつずつ積み上げていって、山頂に立つことだけを最終目標とする。
そんな楽しみ方もいいよねってことで企画しました。

まずは失敗編

これは数年前の話。
何度か東京近辺の低山歩きをしたあとは、岩場に慣れて、ある程度の高度も体験するという目的で乾徳山に登頂。
頂上付近に鎖場が多いことで有名なこの山には、テニス仲間のK夫妻と一緒に登りました。
K夫妻とも穂高まで行こうかという目論見あり。

穂高では一般ルートでも岩場や雪渓がある。万が一に備えてロープを持っていくことも検討。念のためロープワークの講習会を栃木県の岩場で行う。

さて穂高チャレンジ決行前の最終段階は八ヶ岳。ある程度の高度のある岩山を、高所に立地する小屋泊りで歩くことと、高山の楽しさを味わって、いやがおうでも穂高へのモチベーションを高めようというのが狙い。

ところがこれが大誤算。行者小屋から楽しく赤岳を越え、横岳の岩小屋泊りも楽しく過ごしたのだが、翌日がなんと横殴りの嵐。
なんとか硫黄まで歩き切ったもののK夫妻はこれで燃え尽きて穂高は脱落。我々はまだやる気でいたものの、予定日に台風がきてしまい没。

そして成功編

その後、妻とは冬の山も含めていくつかの軽めの登山を繰り返し、怖かったイメージのほとぼりも冷めた段階で穂高チャレンジをもう一度。
今回はステップアップのレベルも小刻みに、より繊細なプランニングにてスタート!

第一弾として選んだ山は西上州・毛無岩。山というより岩塔です。
かなりマニアックなところですが、小さな岩山ながら滑りやすくおっかない道が続きます。道の片側は大岩壁でかなり危険な雰囲気もあります。
ここを歩き切ることが、歩き自体の自信につながると考えたのですが、結果はちょっと過激すぎ。妻はだいぶ腰が引けていた様子。

まあそれでも、ここを歩き切ったことは自信になったと思います。はい。
ちなみにここの大岩壁は私が昔初登攀をしました。

さらに後年、もう一本ルートを追加。

第二弾と第三弾は八ヶ岳。
まだ雪の残る天狗岳と権現岳。どちらも日帰り往復。ある程度の高山に慣れるのが目的です。蓼科高原あたりでも軽い高山症状の出る妻のためには、繰り返し3000m近い山に登っておくことが大切と考えました。

さて第四弾。仕上げは北沢峠からの甲斐駒ヶ岳往復。
ほぼ3000mに届く高度に加えて、岩場も歩きます。
疲労はしたものの、これも歩ききって穂高への準備は万端です。

さあいよいよ穂高岳。本番です。
小屋泊まりでのゆっくり大名山行を目指します。
穂高岳のピークに立つことが目的なので、どこが一番楽に行けるか?
西穂高や岳沢ではなく、やはり穂高らしさを求めるなら涸沢経由でしょう。慣れない雪渓歩きを最小限にすることを考え、涸沢からの北穂高岳往復と決定。

疲れの出ないペースでゆ~っくり登るつもりなので、初日は横尾山荘までとする。明神ですでに大休止。

いきなりビール飲んでるのは誰でしょうか。

ところがのんびりしている間に雨が降り出します。まあ横尾までだし、雨具出して行きますか~♪

それにしても結構な勢いで降ってます。

だいぶ濡れぬれで横尾山荘にたどり着きました。横尾山荘には乾燥室があるので、濡れた衣類を全部干します。

若いころのクライミング友達だった横尾山荘社長とは久々の再会。いただいたワインとお風呂でリフレッシュ。

横尾山荘の社長&後継ぎ息子と記念撮影

さて涸沢に着いたのが10時ころ。この日は涸沢で小屋泊のつもりでしたが、時間もまだだいぶあるな~
涸沢に泊まるならこのままずっと暇つぶしして、翌日登って、また涸沢泊まって帰ることになります。高所にいる時間を最小化するなら、今日山頂にあがってしまい、体力に余裕がなければ北穂高小屋に泊まり、まだいけそうなら涸沢まで下りてくる。そうすれば翌日はただ上高地に帰るだけ。
そのほうがどうやら楽そうです。というわけで、このまま山頂をめざすこととします。

北穂高南稜を登る。

妻は途中からさすがに高山症状が出始めます。ゆっくり一歩ずつ進みなんとかかんとか山頂に到達!もうへろへろです。

山頂到達直後、滝谷方面からガスがあがってきて視界がなくなる。

ようやく涸沢に下山。
涸沢小屋に泊まります。
妻の体調もここまで下りてきたら少しずつ回復。

3日目。穂高の雄姿を目に焼き付けて上高地に向かう。
下山祝いは温泉旅館で~♪