「あと15年で設立100周年」となる山岳巡礼倶楽部。
どんどん部員が高齢化する山巡の活動は年1回程度のハイキング&山宴会が恒例化しつつあるのみ。
「次の活動は八ヶ岳の知られざるピーク冷山付近にあるという、謎の黒曜石巨大露頭を探索に行こう!」
と言い出したのは、山巡にあってその緻密な調査力とこだわりの強さで一頭地を抜くわたべ氏。ちと面倒くさいタイプとも言うが、そのおかげで下又白谷のウエストンリッジというユニークなルートが発掘(開拓でも登攀でもなく発掘と呼ぶのが似合う山登りでした)されたのも事実。わたべ氏は「ついでにバードウォッチングがどうしたこうした・・・」とも言うがそちらは完全スル―。
要は楽しくハイキングでも探索でもやって、その話題を肴に楽しく飲めればいいやというのが本音の山巡じじい会にとっては、それはある意味最高の提案であった。奥様から「じじいは無理しないっ」とストップのかかった最高齢のSさんが不参加となり、今回はわたべ氏、二階氏と私の3人のみ。ちなみにヒマラヤカラコルム某ピーク初登頂時のサミッター二階氏は、「翌日は天狗山ダイレクトか瑞牆山本峰正面壁でクライミングな」とか言うので、納戸の奥からカビのはえたロープやらボルトキットやら引っ張りだして持って行ったのに、本人は「クライミングシューズ捨ててしまったのでズックで登れるかな?」とか言ってるし。山巡おとぼけじいさんずとでも呼び名変えようかな~
早朝都内某所で集合。一路、麦草峠へとドライブ・・・・のはずが、近づきつつある台風の影響で通行止め。大回りして現地についたときは昼をまわっていた。
前夜あたりからようやく始まった黒曜石露頭探索の作戦会議で、まずは冷山の山頂に立ち、しかるのち、ターゲットに向かう踏みあとがあるはずだから車で探すという方針が決まったばかり。
麦草峠近くに車を停め、狭霧園地から渋の湯への踏みあとへ。冷山へは登山道がないが、GPSを頼りに途中から踏みあとをはずれて小一時間であっさり山頂に至る。
この辺一帯は北八ヶ岳らしい苔むした露岩と樺類の疎林に覆われた気持ちのよいところ。歩き始めが2000mを超えていることもあって標高2193mの冷山までも楽な行程。
山頂は見晴らしもなく、さあこれで酒の肴(話題)もできたし帰るか~というとき、樹に張られたテープに「至る 冷山黒曜石」の文字が・・・
もう昼も回っているし、今夜の宴会場になる山梨の私の別宅にドライブする時間などを考えるともう引き上げたいところ。「悪いものを見つけてしまったな」と思いつつも、同じピンクのテープをたどると、わたべ氏が黒曜石露頭があると予想していた方向にまっすぐに向かっている様子。
結局、現場興奮症の二階氏を先頭にどんどんと斜面を降りて行くこととなった。わたべ氏の予想が正しいと黒曜石までは標高200-300mは下りていく必要がある。地図を見るとそこまで下りて行った場合、うまく国道に戻ることはできず、同じ踏みあとを冷山山頂まで戻ることになる。
大声で二階氏を制止し会議の結果、黒曜石は今日は無理と判断。少し登り返し、途中からGPSを頼りに麦草峠方向に山腹をトラバースして最初の踏みあとに合流することとなる。全身泥まみれのやぶ漕ぎで踏みあとになんとか帰着し無事麦草峠に。
地図を持たない二階氏は、そのまま斜面をおりて黒曜石を見たら、近くの国道に出て待っていれば、赤沼が車をとりに行くだろう( ^ω^)・・・という不埒な考えをもっていたようで。